読書『猫を処方いたします。』
久しぶりに実母に会った。彼女は無類の猫好き。猫の描いてあるハンカチや靴下、バッグのチャームなど、つい買ってしまうひと。娘にも町田尚子さん(インパクトある猫の絵が印象的)の絵本を買ってくれたりする。
そんな母が何も言わずに差し出してきたのが今回の本だった。自身は読んだのか読まないのか、何のコメントもなしに。
絶対表紙の絵が可愛いからという理由のジャケ買いだと思った(失礼)。知らない作者さんだし、設定も突飛だし、正直あまり期待してなかった(失礼)。
それが、読んだら面白かった。
語り口はスマート。登場する患者さんは毎回違うが、何話か読むと「ん、もしかして…?」と根本の謎が気になってきて、最終的につながった。
ほっこりもしたし、ウッカリ涙が出そうな場面もあった。
猫はどうしてこんなにも人を魅了するのだろう。
作中にも猫を前にして人格が変わってしまう人が何人も出てきた。母も元々はそんなに猫好きじゃなかったと思う。私が学校の友達から猫の子を譲り受けてから豹変した。
その実家で飼っていた猫は、懐かない猫だった。それでも可愛かった。しばらく前に亡くなってしまい、母はペットロスでおかしくなっちゃうんじゃないかと本気で心配した。
今は近所の飼い猫(どなたの家の子か不明なままらしい)が家に入ってくるのを喜び、オヤツをあげるなどしている。オイオイ。いいのか。
最近近所に猫カフェがあるのを見つけ、娘と行ってみた。たいへん癒され素晴らしい時間だった。
人間は一度猫好きになってしまうとあらゆる猫モチーフが目につき、猫好き同士で結束を固める。
ふわふわで愛くるしいくせにこちらになびかず、我が道をいく。出産育児で忘れてたけど、そういえば私も相当の猫好きだったんだ。
また、猫買いたくなっちゃった。
別に猫好きだからではなく、この小説は面白かった。猫は好きじゃないという人も是非。