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#読書記録

読書『カジュアル・ベイカンシー 突然の空席』:希望がないお話

読書『カジュアル・ベイカンシー 突然の空席』:希望がないお話

「ハリー・ポッター」作者J・K・ローリングによる、大人向け小説を見つけて読んでみた!

登場人物がやたら多く、最初はそれぞれの人物についての描写が延々と続くので読みづらかった。
1巻の途中から人間関係とそれぞれの思惑が分かり、ストーリーが動き始めて面白くなってきた。

どうしようもない格差・いじめ・家庭内暴力・ゴシップ・性被害・ドラッグ…。

自分の都合しか考えない大人の裏をかく、したたかな子ども

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読書『香君』:人間はちっぽけだし間違う

読書『香君』:人間はちっぽけだし間違う

図書館で上橋菜穂子さんの新刊『香君(こうくん)』を発見して小躍りして借りた。
上橋菜穂子さんといえば、『精霊の守り人』『獣の奏者』『鹿の王』の作者。

今回は「人並み外れた嗅覚で神羅万象を知る少女」と「謎に包まれた奇跡の稲」のお話。

自然の為すことの広大さと人間の小ささ、どことなく『獣の奏者』を思い出す。

国の政策(思惑)や神話の裏側など、世界観が作り込まれている。内容は全体的に固い。
語り口

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読書『きみは赤ちゃん』:妊娠出産の闇と光

読書『きみは赤ちゃん』:妊娠出産の闇と光

川上未映子さんの妊娠出産エッセイ『きみは赤ちゃん』読んでみた!

各種痛みの話が出てきて、あぁ、そうだった…と共感の嵐だった。

根強い「痛み信仰」やっぱり痛みの代表格は出産。

作者さんは無痛分娩を選択。日本は費用が多くかかることに加え「無痛分娩はねえ…」という意見が根強い。
私の義妹ちゃんは生後3週間くらいの大変なときに、見に来た義父の姉に「産むときの痛みがないと愛がないから…」と言われたらし

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読書『正体』:早々に「今年イチ」出たかも

読書『正体』:早々に「今年イチ」出たかも

お正月に読んだ、染井為人さんの『正体』。
面白かったーーー!!面白いだけじゃなくて最後重くて放心した。ずっと読んでたから読後のロスがやばい。

それぞれの人物への共感主人公は脱獄し、名前や姿を変えながら生きている。お金を得るために日雇い、在宅ライター、住み込みリゾバなどを転々とする。語られるのは本人ではなく各地で出会う人の目線。

作者さんは芸能界でマネージャーやプロデューサーをしていたらしい。描

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読書『異邦人』:世界観に引きずり込まれる愉しみ

読書『異邦人』:世界観に引きずり込まれる愉しみ

私が本を選ぶ基準はいくつかある。

1つは、書店や図書館でパラパラめくってみて。あらすじの紹介やたまたま目に留まった数行が好きかどうかで決める。
もう1つは、SNSなどで見て面白そうと思ったもの。
あとは、「この作家さんなら絶対面白い!」という方の作品を端から読む。

私的ハズレがない作家さんの1人が、原田マハさん。

自らも美術館のキュレーターである原田さんは美術史や絵画をベースにした作品が多い

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読書『マジカルグランマ』:マジカルマミーもあると思う

読書『マジカルグランマ』:マジカルマミーもあると思う

柚木麻子さんの『マジカルグランマ』を読んでみた!

パワフルな主人公、正子が痛快だった!

この本に出会うまで知らなかった言葉、「マジカル ニグロ」。
検索しまくったところ、物語の主人公の白人を助けるためだけに存在し、魔法のような力を使う黒人のステレオタイプのことを指すらしい。

正子は自分が演じてきた「日本のおばあちゃんの顔」こそが「マジカルグランマ」だったのでは、都合のいいステレオタイプを演じ

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「私子育て向いてないかも」と何度思っただろう

「私子育て向いてないかも」と何度思っただろう

キャッチーな題名に惹かれてこの本を読んでみた!

この本は基本的に4歳から12歳対象。

作者は「モラハラ対策」のカウンセラー。親自身も幼少期に過酷な環境を経験、我が子をどう育てていいか分からないという方向けに書かれていた。

手に取る前のイメージとちょっと違ったし、「植え付け」「カッコいい母親」など用語も独特、提唱されているコミュニケーションの取り方も独特。

でも読んでいてカーーン!と頭を叩か

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読書『猫を処方いたします。』

読書『猫を処方いたします。』

久しぶりに実母に会った。彼女は無類の猫好き。猫の描いてあるハンカチや靴下、バッグのチャームなど、つい買ってしまうひと。娘にも町田尚子さん(インパクトある猫の絵が印象的)の絵本を買ってくれたりする。

そんな母が何も言わずに差し出してきたのが今回の本だった。自身は読んだのか読まないのか、何のコメントもなしに。
絶対表紙の絵が可愛いからという理由のジャケ買いだと思った(失礼)。知らない作者さんだし、設

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読書『クスノキの番人』読んでみた

読書『クスノキの番人』読んでみた

東野圭吾さんの『クスノキの番人』を読んでみた。今続編が出ているけど、文庫になっている1巻のほうを読んだ。

ミステリーではなく感動ファンタジー系(こういう系統も書けて多作な東野さん天才だと思う)。
描写はミステリー作家さんならではなのか、とても細かい。会話のテンポが若干遅い気がするが、最後伏線も回収しキレイに終わるので爽快感がある。映画化したら映えそう。

(今までで会話を書くのが上手だなあと思っ

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読書『2030年』:どんな世界がやってくるか?

読書『2030年』:どんな世界がやってくるか?

最近読んで面白かった本。 
『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』

2030年にできることこの本にはテクノロジーを組み合わせた技術革新が様々な分野で起こると書かれている。

SFみたいでとてもおもしろい。

たとえば車は空を飛び、猛スピードの自動運転で目的地まで送り届けてくれる。

服が欲しければ、AIが自分の好みに最も合う洋服を提案してくれる。サイズもセンサーで採寸済み。レジを通さず

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読書『九年目の魔法』 私が大好きなファンタジー

読書『九年目の魔法』 私が大好きなファンタジー

私は本が好き。
どんな本でも読むんだけど、最近は1周回って児童文学がおもしろい。特に好きなのは、「ハウルの動く城」や「アーヤと魔女」の作者、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ。

最近この著者の「九年目の魔法」を読んだ。

最初はテンポがゆっくりに感じたけど、上巻の終わりくらいからグッッと面白くなった。
ダイアナさんのすごいところは前半の伏線をものすごい勢いで全部回収していくところ。いつも頭がついていか

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