マンガと動画でよくわかる!上から目先生が教える「マントル」と『ゼロトレーニング』
マントル序章
上から目先生とは、いつも上から目線で厳しく、時にまじめにおぶざけして(?)ボルダリングを指導してくれるプロクライマー尾川とも子のSNSでたびたび登場してきた四角めがねをギラつかせている先生です。コスプレが大好きでいろんなキャラに変装してレッスンを行っています。
ぼる子ちゃんはボルダリング歴3年の学生クライマーです。実はイケメン好き、彼氏募集中です。上から目先生のおふざけに構わず突っ込みができる強いメンタルは、ボルダリングにも生かされている!?
先生のマントルについてのエピソード、思い出をお話ししましょう。
家の父ちゃんはマントルが大得意なのです。本当に一度もマントルで落ちたところを見たことがありません。
特に小川山の「豊の海」という三/四段の課題があるのですが、マントルを返すだけのムーブしかなく、それだけでこのグレードですので、非常に難しいのですが、1撃して、そんなに難しくなかったと言っていました。
「どんなに他の人がマントルが難しいといっても、自分には難しく感じたことがない」とも言っていました(驚)
この当時の私はやみくもに、力任せにマントルを返していました。技術もなにもなかったです。
美しくしなやかな登る方がいいのは、ムダがなく、省エネになるからです。ボルダリングは、いかに省エネになる登りをするかで、完登できるか?どうかが決まります。なるべくドタバタ登らないようにトレーニングしましょう。
ハイボールとは、非常に高いボルダーのことです。マントルを返して乗りあがった後も、まだまだ頂上まで続くようなハイボールだと、恐怖と闘いながら精神をすり減らして登らなければなりません。
4,5メートルの平均的なボルダーでしたら、ヘリ(リップ)でマントルを返したら頂上に立ち上がれるので、マントルは最後の最後に行うムーヴと言えます。
最後の最後だから、力を出し切ってどんなにドタバタ登ってもでも構わない!?
たしかにある意味、本当に最後の最後は気合いも大事だと思います(^-^;
私もムーヴの中で得意、不得意がありますが、マントルは実は不得意なのです。しかし、その分、どうやったら登れるのか?と考える時間は多かったです。その方法をお伝えします。
マントルって何?
マントルとは、手のひらで押して、身体を持ち上げるムーブです。
真下から上に身体を押し上げるマントルもあれば、真横(右から左、左から右)に手のひらを押して身体を押し、移動させることもあります。
愛知県の豊田市の岩に「へそ」というe難度の課題があるようです。豊田の岩の難易度の表し方は独特で、a,b,c・・・と表記します。eは初段くらいになります。
マントルを攻略するための身体の使い方を学んでいきましょう。
マントルの基本
リップとは岩の傾斜が強傾斜から緩傾斜に変わるヘリになります。特に目立った突起や凹みなど掴めるところがなく、手のひらのプッシュで身体を押し上げていくマントルもあります。それをぼる子ちゃんに登ってもらいます。
どんなにヒールフックで途中までマントルが返っても、最後の最後はつま先に変えないとマントルは返りません。もし、運よくヒールフックのまま返っても、次回から同じ手は使えないと思ってください。また、ヒールのままマントルを返そうと思って外れてしまい、上部から落下し、ケガをする人も多いです。ヒールフックは楽にパワーが出ますが、繊細さに欠けます。気を付けましょう。
ぼる子ちゃんはマントルの基本と逆の手で身体を押し上げようとしていました、これではマントルは返りません。
まだまだ、このままでは、マントルは返りませんが、
マントルの基本「内側の手でプッシュして返す」「ヒールフックは外してつま先で返す」は覚えておきましょう。
マントル攻略のための体の軸の使い方
つま先で置ける場所がより身体の近くのほうがマントルが返りやすいです。もし、より身体の近くにフットがあれば、この時にフットを移動させてみましょう。
緩傾斜に沿って身体を寝かせていってしまうと、せっかくここまで来たのに身体が持ち上がっていきません。胸と岩に空間を作るように、胸を開いて軸を立てていきましょう。
岩や課題によっては、この状態の時、先に外側の手が返ってしまうことがあります。その場合は、外側の手を返して、その後、岩と胸をに空間を作るように胸を開いて、軸を立てていきましょう。
「怒り」が影響を与える登りに関しては、次回、「恐怖の攻略」で詳しくまとめます。
もちろん、ぼる子ちゃんのように、あれほどはっきり軸の意識や移動ができないことが多くあります。その場合は1センチでも、ココロの中でも意識しているだけで登りが変わってきます。とにかく試してきちんと「意識」していくことが大切です。
この動きを応用して、いろんなタイプの課題を登ってみましょう。両手が斜めのホールドを持っている状態でマントルを返すタイプ、先に内側の手が上部に上がっている状態でマントルを返すタイプ。いろんなタイプのマントルをチャレンジしてみましょう。
マントルの体の軸の基本「軸を縦に起こして」「胸を開いて壁との空間を開けるように軸を立てる」を覚えておきましょう。
マントルのプッシュをレベルアップさせるための『ゼロトレーニング』とは?
身体の使い方がわかっても、プッシュする力がもっとあれば楽にマントルを返すことができます。そのトレーニングを学んでいきましょう。
人間は、意識していないと、ひとつの部位を動かすのに、知らず知らずほかの部位の筋肉を使って動かしている、ということです。
無意識で入ってしまう力を意識的に使わないようにする、また、無意識では力が入らない筋肉を意識的に力が入るようにする。「無意識」から「有意識」化。逆に意識的力が入ってしまう力を無意識で入れられるようにする、意識的に力を抜いている筋肉を無意識で力を抜けるようにする。「有意識」から「無意識」化。これをトレーニングしていきます。体中のありとあらゆる筋肉を、自分の有意識の下で動かしたり、止めたり、また、無意識でできるようにするのがトレーニングです。
まずは、意外と無意識で力が入っている部位があることに気づきましょう。
これができるようになると、自分の脳と体を「ボディコントロール」ができるようになります。
催眠術ではありません(笑)実際に腕だけで身体を押し上げようとするとなかなか持ち上がらないのが現実です。
現実的に0というのはあり得ませんが、限りなく0に近づけて、腕の力だけで押し上げるようにトレーニングしましょう。
ぼる子ちゃんの絵のように、腕の力だけでやろうとすると頸椎の力も0にするので、首もだらんとするはずです。ほら、意外と無意識にいろんなところに力が入っているでしょう?
『ゼロトレーニング』はどんな場面で発揮される?
他の部位は限界近くの力が使われていると思ってください。まだ、あと少し余裕がある腕のパワーが欲しいところ、という場面です。
上から目先生がエヴァンゲリオンに詳しいのは、大学の時、現代映画評論のクラスを受けていて、エヴァンゲリオンのレポートをたんまり書かされたためです。
どうでしょうか?このマンガで腕だけの力で押し上げたときの効果が、このようして発揮されるということがわかるでしょうか?
この質問は非常によくされます。
先生のコスプレのせいではありません!腕だけの力が欲しいと思っているのに、他の部位にも無意識で力の入るトレーニングをしていては、それがクセになってシンクロさせてしまうので、他の部位がオーバーヒートしてしまいます。
じゃあ、もっと、もっと、キャパを増やすトレーニングをした方が手っ取り早いでしょ!と、これもよく質問されます。さて、どうなるでしょうか?
力を抜く『ゼロトレーニング』をやる意味は?
年を取れば取るほど、この現実を実感します。私も確かに、若いときはキャパを増やすだけ増やして、風船を膨らませ続けていました。しかし、いつしか風船のゴムの劣化し、割れやすくなり、これ以上膨らませると、パーン!と弾けてしまうと、実感するのです。
若いうちは、この、「力を抜くゼロトレ」の意義は全く気がつきませんでしたし、きっと今の若い選手でもなかなか気が付かないでしょう。もし、気が付いている人がいたら、きっと息の長い、ケガもしない競技者でいられるでしょう。
腕立ての体勢でゼロを意識するのは非常に難しいです。あの体勢を保つだけでいろんな部位に力が入ってしまいます。
腕立ての体勢はムダな力ではなく、必要な力、とぼる子ちゃんは考えています。腕立てすれば、腕もほかの部位である体幹も一緒に鍛えられてお得だと考えています。もちろん、腕立ての体勢をするには腕以外の力を入れるのは必要な力です。しかし、ゼロトレには不向きなだけです。
それに、腕立てがたくさんできるようになったところで、あの体勢で返すマントルは限られてしまいます。もし、いろんな角度、腕の開きで腕立てをしていたら、他の部位にムダな力が入ってしまいますが、マントルのプッシュは強くなると思います。しかし、なかなかしんどいですし、大変ですよね。それに、毎日、毎日続けられるでしょうか?
ボディービルダーさんが筋肉はあるのにボルダリングはできないのと同じで、ボルダリングに必要な筋肉、やり方をしないと現場で発揮されません。
結局、ボルダリングの筋肉はボルダリングでしか鍛えられません。腕立てをしたら、ボルダリングもサッカーも野球もうまくなるということはないですよね。その岩が登りたいなら、その岩に行ってその動きの筋肉を練習するしかないのです。
いかに必要な筋肉を、他の部位に負荷を与えることなく鍛えられるか?これがゼロトレです。懸垂の時も、腕を鍛えたいなら、背筋、腹筋をゼロにして腕だけで。重りで脚を鍛えたいなら、他の部位に力を入れないようにゼロを意識して。どこを鍛えたいのか、はっきりさせることがまずは大切です。
これを意識するだけで、強度をや重りを増やすことなく意識したい部位だけに集中して、『相対的に強度を上げて』トレーニングできます。つまり強度や重りを増やさないので、まず、ケガがなくなります。しかし、ゼロトレはその分、何キロまでできた!のような達成感はなくなります。
意識する部位の力を、少な目、多目など、いろんな数字の力が出せるようになったら達人です。最初は50、100の2種類の力でできるようにしてみましょう。うつ伏せで押し上げのトレーニングをするなら、50の時は身体は半分しか押しあがらないと思います。100の力の時に上半身が全部持ち上がるような力配分でやってみましょう。
最初はこのゼロトレの意味ややり方がわかりにくいかもしれませんが、わからなければコメントも受けております。
『ゼロトレーニング』を効果的にやってみるには?
大好きなぺこぱです(笑)
ボルダリングの筋肉はボルダリングでしか付かない。だからこそ、目標の課題があれば、家でのゼロトレはその動きを床でトレーニングしましょう。
今後どんな課題でも、どんな位置の手でも対応できるように、いろんな手の位置で家トレはやりましょう。1か所だけ鍛えるのはもったいないです。
1日ですべての手の位置をまんべんなくやるのはたいへんですので、1日3か所の手の置き方で10日サイクルでまんべんなくできるように・・・など私は日をまたいでやっています。
力を入れるだけがトレーニングではありません。力を抜くのもトレーニングだと、意識改革してみましょう。武道をやっている方はなじみやすいトレーニングかと思います。酔拳とか、まさしく力を抜いていますよね。力を抜いているのに強力。ご年配の方が力のある若い方を背負い投げてしまえるのも、この力を抜くトレーニングを習得てきているからです。
重りの数字が上がったり、ゴムの強度が上がったりする、目に見えた結果が出ないので、残念ながら達成感が全くありません。
年を取って私も気が付きましたので、気が付くのに時間や経験、挫折など必要かもしれません。でも、その過去があったからこそ、達成感のないゼロトレもと続けてできているのだと思います。
力を抜くには、「リラックス」「脱力」があると思いますが、この2つは全く違います。詳しく話すと、1記事分になってしまいますので、割愛しますが、簡単に言うと、軸や芯に力が意識が行っているか?だと思います。
また、人は力を入れることは簡単にできますが、力を抜けと言ってもなかなか抜けないものです。意外と難しいのです。その抜き方も、1記事分かかってしまうので、次回まで割愛しますが、マンガのタコ踊り??も活用して、まずは、自分なりに力を抜いてみましょう。
ホールドが持てたら怖くないと、ぼる子ちゃんがモテたいをかけました←説明しないとわからない(笑)
家トレは「いかに必要な筋肉を他の部位に負荷をかけることなく鍛えるか?」「全体的な強度を上げていくのでなく、他の部位を力を抜くことで、相対的に鍛えたい部位の強度を上げる」と効率的ということを意識してやってみましょう!
マンガがよくわかる!見本解説動画
3つのマントルを動画でまとめました。特に最後の旦那さんのマントルはスイスの三/四段くらいの課題で難度も高いですがとてもきれいに返っていますので必見です。私のマントルは一生懸命で動きも汚くてすみません(涙)←一応、マンガで謝りましたが(汗)
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