映画『川っぺりムコリッタ』
2024.06.02 上記観測。
富山の片田舎で暮らしている前科者の若者の話。
小さな幸せを感じる事にすら罪悪感を感じ、時々前後不覚になりながらも、どっこい生きていこうとする。
ムコリッタは主人公が住むアパートの名前で、近隣住人もまた、どっこい生きている訳ありの人々である。
何もない。
大体仕事に行き、大体野菜を育てて、大体暑さに疲弊している。
遠くで、主人公の生き別れの父が死んだりする。
台風が来たりする。おわり。
本当に見てよかったなと噛み締めてしまう。
見れば分かる。
あれは「大半の人」のための映画だった。
松山ケンイチがご飯の匂いを嗅ぐところがいい。
吉岡秀隆が動揺すると発言の最初に変な笑い方をするのがいい。
笹野高史が「どーん!」というところがいい。
いやびっくりするけども。
文化庁だかが金を出していた。
恐ろしく敏腕のプロデューサーだと思う。
どうやって出させたのか全く見当もつかない。
シナリオがめちゃくちゃ面白くなさそうだし…
原作を持って行ったのかもしれない。
文化庁は時々映画屋に金を出す。
金を出す先を決める方法はよく分からないが、最近では『犬王』にも出資していた。
湯浅監督の映画にはよく文化庁の名前がある。
日本の誇るアニメーション映画の巨匠のうちの1人なので、まあまあ出資先としては安牌な感じ。
『川っぺりムコリッタ』はなんで出資されたのか全く分からないが、国としてもいい金の使い方だったと思う。
少なくともオガワは少し救われた。
遺骨の化粧箱が光っているという描写はしかし、他のやり方を考えなければならない。
あれは光っているとは言い難い。光を当てられていただけに見えた。
しかし自分から発光しているふうに作るのはギャグ感が出がちというか、塩梅が難しい。
悩みどころである。