『きおいもん』 あらすじ
文政の江戸。
版元、永寿堂の店主・西村屋与八は、旅に出て一向に帰らぬ人気絵師・北斎に代わり、北斎の娘のお栄に筆を取らせ、北斎の新作と偽り店に並べていた。しかし、父親譲りで気まぐれなお栄は扱いづらく、西村屋は、番頭が止めるのも聞かず、“きおいもん”の絵師・芳三郎に北斎の偽モノを描かせる。
“きおいもん”とは気負った者、血気盛んで向こうっ気が強い者のこと。芳三郎は喧嘩っ早いが、筆はさらに早く、北斎の贋作を次々と描き上げる。
勢いづいた西村屋は、人気の読本『南総里見八犬伝』の新作の挿絵を芳三郎に描かせ、北斎の挿絵として売り出そうと企むが、肝心の芳三郎が喧嘩で利き腕を怪我してしまう。
途方にくれた西村屋は内職を求めてやって来た定火消し侍・安藤重右衛門に八犬伝の挿絵を描かせることにするのだが……
後に歌川国芳、歌川広重、葛飾応為として名を馳せる若き絵師達の青春群像劇!