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NETFLIX等の動画視聴は何回か?年代性別デバイスごとに推定してみた。

私には社会人と4歳の娘がいます。下の娘が好きなものは?と聞かれたら迷わずNETFLIXと答えます。本noteのキービジュアルの写真はフリー素材ですが、食い入る様に見る感じがまさに笑。

今は独立してマーケティングアドバイザーなどの仕事をしています。以前は広告会社やデジタルマーケティング会社に勤めており、仕事のために6年前からスマートテレビで複数の動画サービスを利用してきました。今、課金してるのはNETFLIX、Amazon、Hulu、ディズニーチャンネル、Paraviです。U-NEXTやAbemaTVも課金していた頃もありましたが、今はお休み中です。

娘はAmazonのFireスティックを操作して好きなプラットフォームを選んでお気に入りの動画にアクセスできます。子供向けYouTuberのオモチャ動画が本人のお気に入りですが、わが家のローカルルールではオモチャ動画はお母さんに内緒でたまに見ることができるもの、平日の保育園に行く前と夕食前に見るのはNETFLIXのアニメ、休日はディズニーが多いです。

スマートテレビを買ったばかりの頃はテレビで動画を見る体験が新鮮でしたが、今はあたりまえの日常です。

「マーケティング利用の許可を得て収集されたインテージのスマートテレビ視聴データ「Media Gauge(メディアゲージ)」の中で、アプリも含めて分析可能な約100万台(2021年3月時点)」(以下記事より引用)を分析した結果からYouTubeの視聴が地上波を侵食していることが分かります。

私もリアルタイムで見る地上波は朝の情報番組くらいでテレビ視聴時間の1割くらいです。残り9割はストリーミング動画。前述した娘が見る動画と娘が寝た後に家内とNETFLIXで見る海外ドラマか映画。私1人の時は日本のドラマやバラエティを見るのにNETFLIX、Hulu、TVerあたりをウロウロ。あとはYouTuberの動画を見たり、仕事用のビジネス番組を見たり。

私のようにテレビで見るのは動画がほとんどという方も増えていると思います。実際に他のみなさんは何回見ているのか?知りたくなりました。調査と確率モデルの分析で分かります。Excelで分析する方法を体系化しています。

note後半では、確率モデルの分析に使っているマーケティングリサーチ手法を紹介し、分析ファイルを共有します。さらに詳しく学ぶことができる講義も紹介します。

【更新情報2024年5月26日】

「その決定に根拠はありますか?」

確率思考でビジネスの成果を確実化するエビデンス・ベースド・マーケティング

戦略を導く為の「エビデンスの作り方」をテーマに、これまで体系化してきたノウハウを紹介したマーケティング・インテリジェンスの書籍を出版致しました。5問の調査でTVCM(施策)→コンビニで商品を見た(要因)→売上がいくら増えたか?→年間16.67億円(効果)の様に経路ごとに構造的に効果を把握する国際特許(PCT)を出願した分析法など、確率モデルや因果推論をプロジェクトで実際に活用している方法を特典の動画講義も活用して実装レベルの知識まで提供しています。

今回の分析でわかったこと

スマートテレビ、スマートフォン、タブレットまたはパソコン、3種類のデバイスごとにどの年代性別で1日あたり(正確には12時間あたり)何回動画が見られているかをプラットフォームごとに調べました。3デバイスごとに、20代男性、20代女性、など60代男女まで10セグメント、7プラットフォーム、デバイスごとの視聴回数と視聴人数を推定しました。

視聴回数

視聴回数

無料で見れるYoutube強し!30~40代男性のテレビでの視聴回数が突出しています。有料ではAmazon、次いでNETFLIXの視聴回数が多く、特に男性30~60代はテレビでAmazonを見る回数が多くなっています。他サービスとの差が大きいですが、気になったのはディズニープラスのTVで見る視聴が男女ともに30代が突出しています。私は40代ですが、娘のために契約しているようなものなので、小さいお子様が多い世代としての傾向でしょうか?細かく見ていくと、さまざな考察ができますが、大枠で捉えると、各プラットフォームともテレビでの視聴回数がもっとも多いことが分かりました。

視聴回数の各デバイスの合計値はテレビが1.54億回、スマートフォンが1.41億回に対して、PCタブレットは8,383万回でした。

以下グーグルの記事にあるよう、テレビでYouTubeを見る人が月間で2,000万人(全国)という数字も頷ける結果でした。


視聴人数

視聴人数

視聴回数を人数で割れば、1人あたりの平均視聴回数も分かります。ここでもYoutube強し!ですが、人数はスマートフォンのほうが若干多い様です。

平均視聴回数

平均回数

※視聴回数、視聴人数、平均回数ごとに3デバイス7プラットフォームの範囲で値が大きい箇所を赤、少ない箇所を青の諧調で着色しています。

3デバイスの視聴回数を合算した合計視聴回数を求め、デバイスごとの視聴回数のシェアを見てみます。総じて、どの性別年代もテレビで見られている回数のシェアが高いことが分かります。私の頭の中でもYouTubeはTVで見るのが最も楽しいし、子供も見るので回数が多い実感があります。20代女性はNETFLIX、Youtube、ディズニープラスを見る回数のシェアがスマートフォンが多い様です。

回数シェア

※合計回数、回数シェアごとに3デバイス7プラットフォームの範囲で値が大きい箇所を赤、少ない箇所を青の諧調で着色しています。


どうやってこの結果を導いたのか?

数学を駆使したマーケティング意思決定で成功されている森岡毅さんと今西聖貴さんというマーケターお二方の共著、確率思考の戦略論で紹介された消費者行動の確率分布の数式を用いて「あなたは最後にいつ○○しましたか?」と聞いた結果から分析すれば○○の行動をする方の人数と回数を推定することができます。

9月30日の調査で1都6県の20代から60代男女10,000人(10歳ごと各性別1,000人ずつ)に調査しました。
NETFLIX、Amazon、Hulu、AbemaTV、Tver、ディズニーチャンネル、YouTubeの7つのプラットフォームで何回見られたか?デバイスごと(スマートフォン、タブレットまたはパソコン、スマートテレビ)、年代性別ごとに算出します。

例として、あなたは最後にいつスマートフォンでNETFLIXを見ましたか?と20代女性に聞いた結果がこちらです。

※各ブランドの認知(助成想起)も確認しており、認知している方のみを対象とした結果です

NETFLIX20代女性アンケート結果

調査結果から私が使用している分析用Excelシートで計算します。書籍で紹介された公式は以下です。

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右辺の公式にあるMKという2つの係数が決まれば、調査日からさかのぼった任意の期間(ここではA8セルで指定した0.5日(12時間))で、20代女性(ここでは26行目に入力した212万人)のうち、0回動画を見た人、1回、2回、3回・・・見た人がそれぞれ何%かを回数ごとに割りだすことができます。これが回数別市場浸透率(Pr)となります。最後にアクションを行ったのが○日から○日の人が何パーセントか?期間別市場浸透率(Pn)を求める公式も書籍で紹介されています。それらの公式を入力したExcelでE列上部のアンケート結果(実績値)の値とD列上部の予測値の誤差を最小化するMKをExcelのソルバーで計算します。

20代女性ネトフリ分析結果

M0.26272です。母集団の人数(ここでは首都圏20代女性のうちNETFLIXを知っている方)にMをかけ合わせれば、のべ視聴回数(緑色のE30セルの55.8万回)となります。のべ視聴回数を人数で割った値がMです。Kは分布の形を決める係数です。Kが決まれば、1回以上見た人が何人か?(ピンク色のD30セルの20.9万人)も分かります。

ここでは調査日からさかのぼって0.5日(12時間)の視聴人数と回数を推定しています。何日さかのぼるかは分析者が指定します。通常は特定の商品を買ったか?などのアクションで調べるので月次で推定することが多いです。

今回はデモ分析として、動画の視聴回数で分析しましたが、本来はマーケティング意思決定として、戦略を仮説するために興味のある商品やサービスの需要を推定し、市場を俯瞰して理解するために活用しています。

ここで紹介した分析結果を導くには、アンケート結果データからデバイス、年代性別、プラットフォームの任意の値を抜き出して合計210回ソルバーを実行する必要があります。(今回は各3回繰り返して630回)手作業でそれを行うと間違えやすいし時間もかかります。任意の値を抜き出して貼り付けてソルバーを3回実行するまでを1回として、その作業時間を3分で見積もっても10時間半かかるのでExcelのVBAを使って分析時間を10分程度にしています。

分析方法の工夫①:
任意の値を貼り付けソルバーを連続実行するVBAを活用

ここで行う最適化計算(ソルバー)の問題は複数回実行することで解(≒推定精度)がよくなることがあったので、3回ソルバーを自動実行するVBAを組んでいます。Excelのオプション>アドイン>設定を開いて頂き、「ソルバーアドイン」にチェックを入れて頂ければ動きます。

筆者の環境(Windouw10、office365)では動作確認していますが、全環境の動作検証はできておりません。

アドイン設定

スマートフォンの分析ファイルを例に簡単にご紹介します。

上記のExcel(マクロ有効ファイル)を開いて頂くと、デフォルトで「集計」というSheetが開かれます。K列の上部に設置したのが、各年代ごとの集計を行うマクロ実行ボタンです。開いた状態では20~60代男女すべての分析が終わった状態になっています。(最後に実行した60代男性の分析結果となっています)

20代女性の分析結果を見たい場合は、「20代女性」のボタンを押してみてください。

説明1

(筆者の環境で)30秒ほどで集計が終わります。

※ソルバー計算と値の貼り付けが自動実行されているか?を確認されたい場合は回数(D列からJ列の6行目から15行目)と、人数(D列からJ列の18行目から27行目)の値を0にするまたは消してからマクロを実行してください。

Excelの「ブランド1~7」Sheetがそれぞれ下記に対する20代女性の分析結果に変わります。

ブランド1 NETFLIX
ブランド2 Amazon
ブランド3 Hulu
ブランド4 AbemaTV
ブランド5 Tver
ブランド6 ディズニープラス
ブランド7 ユーチューブ

「ブランド1」(NETFLIX)Sheetを例にどういう自動計算を実行しているかを説明します。

おおまかには「年代性別クロス集計」というSheetに張り付けた調査結果の集計値を自動で貼り付けてから、ソルバーを3回実行し、得られた結果を「集計」Sheetに貼り付けるプログラムです。

ブランド1結果

「年代性別クロス集計」の上部(ブランド1「NETFLIX」はJ列)で、アンケート結果から得られた認知率(NETFLIX20代女性は93.6%)から、2,125,656万人(首都圏のNETFLIX認知者)を自動計算しており、この値を参照しています。

認知人数

「年代性別クロス集計」の120行目以下に張り付けた、最後にいつ〇〇しましたか?(各ブランド認知者にのみ聞いた結果)のアンケート結果の年代性別のクロス集計のうち、ブランド1(NETFLIX)の20代女性、D列~G列の121行目を参照しています。

アンケート結果

この分析ファイルでは、20~60代男女それぞれ、7ブランドの認知と(認知者に対して)聞いた最後にいつ観たか?のクロス集計をペタっと張り付ければあとはVBAの実行ボタンを押すだけで、各年代性別の結果を「集計」Sheetで把握できる様にしています。

分析結果を直観的に把握しやすくするために「マトリクスバブルチャート」というSheetも用意しています。このファイルではデフォルトは人口に対する人数のシェアの値を参照しています。

マトリクスバブルチャート

テレビとPCタブレットの分析ファイルもアップロードします。

分析方法の工夫②:
調査も集計も簡単でローデータの管理がしやすいセルフリサーチ「Freesy」を活用

認知度と最後にいつ〇〇したか?のクロス集計結果をサクっと吐き出せるので、ここで紹介した分析を行う際によく活用しているセルフ型アンケートリサーチツールがFreeasyです。

料金もリーズナブルです。

気に入っているのは、実行から分析まですべてがスピーディであることです。以下はFreeasyの管理画面のキャプチャですが、実行した結果から分析に用いるローデータや単純集計が吐き出せるだけでなく、

「属性クロス集計」もさまざまな切り口ですぐに吐き出すことができます。ここで紹介した分析では、年代&性別で%表示でダウンロードしたCSVから得た値を「年代性別クロス集計」Sheetにペタっと貼り付けてマクロ実行ボタンを押すだけで、「集計」Sheet、「マトリクスバブルチャート」Sheetのアウトプットを得ることができます。10分もあれば作れます。

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質問票もすべて管理画面で作ることができるので、1問目に聞いた7ブランドのいずれかを知っている方にのみ、最終購買タイミングを聞く。最終アクションタイミングを聞く際は、知っているブランドのみ設問項目として表示する、ブランドの並び順をランダムに表示させるなどの設定を管理画面でサクっと行うことができます。

モニター数も450万人いるので、今回の1万人の調査回答が集まるのには配信から24時間かかっていません。さらに、管理画面上で半分くらい集まった時点で集計してCSVを吐き出して、途中段階で分析を行って「概ねイケそうだ!」と確認してから最終調査結果を待つ、そんな風に使っています。

【更新情報2024年5月26日】

「その決定に根拠はありますか?」

確率思考でビジネスの成果を確実化するエビデンス・ベースド・マーケティング

戦略を導く為の「エビデンスの作り方」をテーマに、これまで体系化してきたノウハウを紹介したマーケティング・インテリジェンスの書籍を出版致しました。5問の調査でTVCM(施策)→コンビニで商品を見た(要因)→売上がいくら増えたか?→年間16.67億円(効果)の様に経路ごとに構造的に効果を把握する国際特許(PCT)を出願した分析法など、確率モデルや因果推論をプロジェクトで実際に活用している方法を特典の動画講義も活用して実装レベルの知識まで提供しています。