Voicyにたくさんの中古Androidを寄付してくれたユーザーさんの話 【声の履歴書 Vol.50】
こんにちは。Voicy代表の緒方です。
この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。
今回はVoicyアプリのAndroid版ができた背景について振り返ってみます。実はほんのつい最近、数年前までVoicyはiPhoneでしか使えませんでした。もちろんAndroid版もつくりたいと思っていましたが、なんとそこで助けてくれたのが、ユーザーさんたちでした。
Twitterをエゴサしまくる毎日
Voicyを立ち上げて以来、僕と共同創業者の窪田はひたすらTwitterでエゴサーチをし続けていました。何かあったら緒方が走って行って話を聞く。そんなことを繰り返していたんです。
もちろん新しいサービスを世の中に生み出すには、ユーザーの意見を聞きながらではなく、自分なりに「こんな世界をつくりたい!」という想いが大事です。
でも、そういう自分の指針みたいなものって、やっぱりそこに対しては大量のインプットを入れる必要はあると思っています。自分では思いつかないようなアイデアも入れないといけません。
自分がつくったサービスに対して、他者がどういうふうに感じているのかという知識は必要だと思っています。
なので、ポジティブな話も、ネガティブな話も、みんながどういうふうに感じているのか、とにかく貪欲に集めたくて毎日Twitterを見ていました。
近くにいる人だったりすると、「実際に会ってくれ」と言って、話を聞きに行っていました。
Voicyのことを大好きな人を増やすために
文化ができあがるときって、「これめっちゃいいよね」と言ってくれる人たちがいて、支えてくれるものだと思っているので、ユーザー数をただ増やせばいいわけではありません。
おそらくユーザーさんの中にも、Voicyに対する愛情がS、A、B、Cみたいなランクがおそらくあると思うんです。その中から「Voicyのことが大好き!」みたいなSランクやAランクの人たちをどれだけ増やしていけるか、がめちゃくちゃ大事です。
下手したら、社員以上に良いインパクトを与えてくれる人だっています。社員以上にバグを発見してくれて、一生懸命報告してくれる人がいることに驚きました。
例えば「毎日朝晩配信してくれ」と言っても、それは社員だって大変だったりするわけですよね。それでも欠かさず配信してくれたりとか、いろんな面白い使い方を発見してくれる人もいる。
あとは「Voicyはいいよ」と言って、一生懸命他の人に紹介してくれる人とか、「Voicyのパーソナリティとしての名刺をくれ、配るんだ」と言って配ってくれたりとか、自作のポスターを用意してくれたりとか、なんなら僕らの働きすぎを心配して差し入れを送ってくれる人とか、いろんなユーザーさんが出てくるわけです。
そういう人たちが文化の最初のきっかけをつくっていくし、元気を与えてくれると思っていて、サービスを立ち上げるときはその熱量を育てないといけないんです。
僕もそうでしたが、コンサルあがりの人って「このマーケットにはこうやったらこう刺さります」とかよく言いますけど、コンシューマー向けに新たな文化が生まれるときに、「早い」「安い」「うまい」では物足りない。コンサルロジックじゃないんです。愛されないとだめだし、そのために必要なのは、やっぱり会って話を聞くことなんです。
リリース後、まだ誰も使ってないのにユーザーイベントを開いた
Voicyはなぜかリリース直後にいろんなイベントをやりました。
サービスリリースは2016年9月23日ですけど、まだ誰も知らないのに、パーソナリティのオーディションを10月7日に開始しました。
めちゃくちゃ早かった。まだ認知度ゼロです。
でも、「オーディションするくらいのサービスなんだ」みたいに思って申し込んでくれる人が40人くらいいて、その人たちが最初のパーソナリティになりました。
そしてさらに年が明けて1月15日にパーソナリティ感謝祭をやっているんですよ。これはリスナーさんも集まってもらって、いつも配信してくれるパーソナリティのみんなに感謝を伝えようというイベントでした。
でも、やっぱりですね、当たり前なんですけれど、パーソナリティしか来なかったんです(笑)リスナーが来ないんですね。パーソナリティはいるけれど、リスナーはまだ全然いなかった。
なので、残念ながらリスナーの気持ちはほとんど聞けず、パーソナリティからの「もっとこうしてほしい」という要望をひたすら聞かせてもらいました。
そういう感じで走り回っていて、とにかく自分たちのことを発信しながら、会える人にはどんどん会って、話を聞いてきました。
当時はいろんなスタートアップの人からも、「緒方さんが走り回っているのを勉強していました」みたいなことを言われました。とにかく声を聞くことを心がけていた。
Android版の開発はお金がかかるが…
その中で、意外と「困っていること」も言ってみるべきかもしれないと思い始めました。
当時のVoicyはまだiPhoneアプリしかなかったので、Androidでも出してくれとずっと言われていました。聞くほうのアプリですね。
2017年のあたりは僕らは一生懸命、地方自治体にも営業に行っていました。「ぜひ番組をやりましょう」と。
でも「iPhoneしかないのではちょっと住民の方に刺さらないので…」みたいな感じに言われて、やっぱりAndroidは必要だなと痛感しました。いまから考えると当たり前です。Androidがないというのはあり得ないですね。
でもそう簡単には作れなかった事情もありました。Androidは同じOSでもたくさんの機種があって、めちゃくちゃ難しいんです。iPhoneってすごく音声にこだわって作られていますが、Andoroidは機種によってバラバラ。なかには相当音質が悪い機種もありました。
端末でのチェックも大変です。とにかく種類が多くて、お金もかかる。
そこで「使わなくなったandroid端末をください」と、Twitterでユーザーさんに呼びかけてみたんです。本当におんぶにだっこ感丸出しで恥ずかしいですが(笑)
そうしたら、届くんですよ。Andoroid端末がどんどん送られてきました。その中で一番「おお…!」と驚いたのは、突然連絡がきて、「中古屋で買っていきます。なので、いま足りていない端末を教えてください」って言われたことです。
中古Androidを買ってきてくれたお兄さんのおかげで
「いやいや、そんなの恐縮です、でもArrowsのこれとこれが…」みたいな感じでご説明したら、次の日くらいに実際にいらっしゃった。
うちはオフィスの入り口を開けっ放しにしていたんですけれど、知らないお兄さんが入り口に立って、ずっとこっちを見ているんですよ。
なんだろう、飛び込み営業の人かな、入社希望かなって思って、「どうしました?」って聞いたら、「連絡した者ですけれど、中古の端末を持ってきました」と。本当に持ってきてくれたんですよ。
そんなことが度々あったりして、やっぱり本当にいろんな人に助けられてここまで来たんだなと思っています。
今はもう、IOSエンジニアもAndroidエンジニアもいて、ゴリゴリつくってくれています。聞くだけじゃなくて、収録もAndroid端末からできるようになりました。
これはパーソナリティさんからもずっと言われていました。「Androidでも収録をしたい」と。これがまた機種ごとにマイクの品質が違うから大変で…。
ようやく最近です。聞くアプリと録るアプリを、iOSとAndroidで作れるようになったのは。僕らはVoicyという1つのサービスを運営していますが、実は4アプリをいつも同時に出しているんですね。
でもいま思えば、あのお兄さんのおかげで、Androidアプリがあるわけですからね。
本当にお世話になりました。ありがとうございます。
ーー次回もユーザーさんとの交流について振り返ってみたいと思います。よかったらまた読みにきてください。
声の編集後記
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