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底辺評価からモチベーションクラウドAAAに。Voicyはどうやって組織を改善したのか【声の履歴書 Vol.78】

こんにちは。Voicy代表の緒方です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

今回は社内組織の話をしようと思います。というのも、最近Voicyは「モチベーションクラウドAAA」を達成したんです。

モチベーションクラウドは会社の健康診断

モチベーションクラウドというのは、リンクアンドモチベーションのサービスで、社内の組織の状況を「健康診断」みたいに診断してくれるわけです。

それを定期的に実施していて、Voicyは直近の診断で一番良い評価を得ることができた、ということなんです。AAAはトップの数%だそうです。そんな健康的な会社のうちの1つに入っているのは嬉しいことです。

でもじつはモチベーションクラウドを取り入れたはじめたとき、最初はCCCでした。AAA、AA、A、BBB、BB…とあって、CCC。最後から2番目の評価です。かなり下のほうにいたところからジワジワと上がっていきました。苦しいこともありましたが、意識的に改善してきました。

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やっぱりこの評価が上がっていって、AAAになると同時に、Voicyのプロダクトのほうも良くなっているんです。組織とプロダクトは関連していますよね。開発スピードも、サービスのレベルも変わってきました。

「ベンチャー企業は、成長がすべてを癒す」なんてよく言われます。プロダクトの成長が組織に良い影響を与えた側面もありそうです。

「会社は1つのプロダクト」という考え方

ではなぜVoicyはCCCからAAAに改善することができたか。

結論から言うと、「会社は1つのプロダクト」だと思っていること。もう1つは、何年後かに「この会社にいて良かったと思ってほしい」という意識でやっていること。そしてもう1つ「ずっとコミュニティというものを考えてきた」ことです。

会社の姿勢として、会社にいることで幸せになってほしいし、いい仲間でいてほしい、と常々思っていて、その中で思想として会社は1つのプロダクトだと思っています。

どういうUXをユーザーに提供して、どういう独自性・オリジナリティを持っているのか。それを会社と社員にもちゃんとあてはめて考えようとしています。

僕はもともとベンチャー企業を支援する立場としていろいろな会社を見てきましたが、そばで眺めていてよくわかったのが、社長というのはちょっと変わり者だということです。

だからこそ自分で会社をつくってみたり、そもそも組織になじめないから会社を辞めて独立したという人もたくさんいました。

そんな人が投資を受けて、でかい組織をつくっていかなければいけない。スタートアップの組織なんて結構無理ゲーなんです。そういう状況のなかで、僕も組織の部分でいろいろ苦しんだりして、一時期はVoicyの社内評価がすごく低かった。

そこからようやく評価をしてもらえる場所まできました。いまVoicyという会社のなかで、「Voicyで働いて良かった」と思ってくれている人は、控えめに言っても、相当いると思います。実際、そういう声をよく聞くようになりました。

社員の居心地を良くすることがゴールではない

もちろん僕はずっと、「良い会社にしたい」と思っていました。でもずっと悩んでいたことがありました。「良い会社にしたい」と思っていない社長なんていないし、それでもほとんどの社長は組織崩壊を経験して、めちゃくちゃ疲れたりしていて、なかなか上手くいかない。

それってたぶん、「僕はいい夫婦にしたいのに…」と言っている旦那だからといって、いい夫婦関係になれるかといったら、そうでもないということと同じなんだと思います。

じゃあ、そのためには何をするべきなのか。そのためには自分はどうあるべきなのか。そういうことがたぶん、本気で考えられていなかったんだろうな、と思っています。「良い会社にしたいです」と言っているだけでは何ともならないということが、だんだんとわかってきました。

「良い組織にしたい」とは自分で思っているけれど、どんどん上手くいかなくなったとき、僕はサラリーマンから上がってきた人間だし、どちらかというとコミュニティづくりとかを経験してきたほうだったので、結果にコミットすること以上に、皆の居心地を重視したり、皆の意見をできるだけ吸い上げたり、そういうゆるい対処をしてしまっていました。

会社というのは、ミッションをちゃんと達成するところにコミットすべき存在です。目標をちゃんと達成するために組織をつくり、その組織で目標を達成するために遂行をする。その軸から外れないということが、やっぱり大事です。

目標をちょっと犠牲にしてでもいいから皆の満足度をあげる、ということは、やるものじゃないな、とあるときに気づいたんです。

「組織に興味がない人はVoicyに来なくていいです」

いろんな会社を山ほど見てきたときに、組織さえしっかりとつくることができれば、相当なことができる。一方で、組織ができていないと、何もできないと思います。

そのためにVoicyは「会社作りもプロダクトづくりと同じように全員でやります」と、ちゃんと宣言していきました。それで皆の姿勢もすごく変わっていったと思います。

つまり、「事業を遂行することがうちの会社です」「サービスをつくることがうちの会社です」という姿勢とは、また別の話ができるようになっています。

いまはもう「組織に興味がない人は、いまのところはVoicyに来なくていいです」と言い切っています。やっぱり皆を同じゴールのほうに向かせることが大事。僕も「結局、組織はプロダクトだ」と自分でどんどん言うことによって、自分のコミットを示しました。

「組織もプロダクトなんだ」と言った瞬間に、皆が「いま駄目なところ」を探さなくなりました。皆が主体的に良くしていくものだし、「会社はちゃんとしたものを与えてくれるものだ」という認識が薄まったと思います。

自分もその一員だから、良い組織は自分も一緒につくらないといけないわけです。そういうふうに思う人材を採るわけだから、これは採用ともすごく連動してくるわけです。

カンパニークリエイターという部署がある理由

あとは人事部門やコーポレートの人たちからすると、「自分たちもプロダクトを設計しているんだ、つくっているんだ」と思えることで、すごく働き甲斐が出る。

Voicyには「カンパニークリエイター」という特殊な部署があります。そこは組織というプロダクトを設計するチームなんですが、要は「会社組織のPdM」として働いている感じなんです。

そこのメンバーは、「Voicyだからこそ、どういう組織設計にしようか」ということを常に考えてくれています。組織=プロダクトという思考とカンパニークリエイターという仕組みがすごくワークしたと思っています。

「カンパニークリエイター」という肩書きをつける会社はないと思うんですけれど、そういうものって肩書きからして大事なんです。やっぱり「バックオフィス」なんて呼ぶだけで、裏方という感じがするじゃないですか。つまり、企画じゃない、クリエイティブじゃない感じがする。けれど僕らは実際は組織ができないと、何もできないんです。

新しく入ってきた人たちが主役になれるように

じつは僕は、個人でオンラインサロンもずっと運営してきました。そこで一番大事にしているのは、とにかく「新しく入ってきた人たちが主役になること」です。そして長い人が我が物顔をきかす「ヌシ」みたいな人が現れないこと。長くいる人たちのほうが偉そうにしている、居心地が良くなっている状態には、絶対にならないようにしているんです。

Voicyも同じです。新しく入ってきた人たちの居心地が良くなるように、そこに全員がちゃんとコミットしている。これができる組織はきっと、もっと強くなると思いますよ。

ーー最後まで読んでくださってありがとうございます。


この記事は社長から見た話を書きましたが、人事担当で執行役員の勝村が、人事目線で何をやったのかという記事も書いています。こちらも併せて読んでみてください。


声の編集後記

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緒方憲太郎(Voicy代表)
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