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「ビジネスデザイナー」という仕事について考える【声の履歴書 Vol.54】

こんにちは。Voicy代表の緒方です。

この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれると嬉しいです。

私、緒方憲太郎はいろんなプロフィール欄に、「ビジネスデザイナー」という肩書を載せています。起業家であり、ビジネスデザイナーであると名乗っています。

今日はこの不思議な肩書について書いてみます。

コンサルとビジネスデザインの違いとは

前職の話です。トーマツベンチャーサポートという会社にいたときに、僕はベンチャー支援に勤しんでいました。

いろいろな経営者に会う日々。ビジネスデザイナーという言葉を意識しはじめたのもその頃です。

これはけっこう珍しい類の肩書ですよね。あまり名乗っている人は少ないし、だいたい言っている人の95%は怪しいと思います(笑)そもそも明確な定義すらないです。

ただ、僕はビジネスにおいては「ビジネスデザイン」という概念が非常に大事だと思っているんです。なので、怪しいかもしれないけど、それはやっぱり伝えていきたい。

「じゃあコンサルとビジネスデザインはどう違うんですか?」ということをよく聞かれる。この違いについて整理しましょう。

コンサルタントはどちらかというと、出店コンサルとか営業コンサルとかいろいろありますが、過去に積み重ねてきた知見をもとに、その経験がない人に教えるということが多いです。あるいは特定の産業について調べて情報提供をするとか、そういうことも含まれます。

ビジネスデザイナーはちょっと違います。その人にヒアリングをして、「あなたのつくりたい家はこんな感じですか?」とか、何も答えがないところからスタートして、その人が目指す方向を一緒に探し出してあげる。

いまの社会の流れに合わせて、こういうビジネスもありますね、という話をして、プレイヤーと一緒に道なき道に線路をひいてあげる仕事だと思っています。

ビジネスには「デザイン」が求められている

ビジネスそのものに、広い意味での「デザイン」が大事になってきています。社会の流れにちゃんと沿っていないと、結局うまく進まないことが多くなってるからです。

ビジネスデザイナーは、関わった人の事業の潜在的価値を掘り起こして、ビジネス価値を何倍にも増やしてあげて、その人のビジネスデザインリテラシーを上げて、その人を主役にさせるみたいなもの。その人の頭の中のデザイン部門の1つとしてお付き合いをする。中の人、みたいな感じですかね。

だいたいどこの社長も同じ世界しか見ていないんです。競合とかユーザーとかいろんなものを見ながら、たとえば高価格戦略でやろうとか、いや低価格戦略だとかね。

そこに対してコンサルが「4Pだ、3Cだ」という話をするわけですが、いやいやそうじゃなくて、そもそもあなたは皆に誇れるサービスをやりたいんだよね?とか。そこをもっと大事しようという話なんです。

じゃあ「誇れる」っていうのは、老若男女のみんなが喜ぶことなんだろうか? 他とは違うオリジナリティがあるものを出したらいいんだろうか?とか?  おそらく売上を上げることを第一に考えるものではないですね。

ビジネスというのはもっと世の中に「幸せ」を増やして、関わるプレイヤーたちがみんなで満足するためにやっているんだと思っているんです。

家やライフスタイルのようにビジネスを捉えると

たとえば家をつくるときも、最もハイパフォーマンスな家をつくりたいんだったら、それはコンサルがやればいいと思うんです。

けれど、その人にとって住み心地がいいとか、この家を残せてよかったと思えるかどうかは、デザインの仕事だと思っているんです。

売上を最大化することじゃなくて、社会とプレイヤーのUXを最大化するということがビジネスにおいても求められてくると思っています。

ビジネスデザイナーというと、「マネタイズモデル」をデザイン・創出する人なんですね? と言われるんですが、真逆なんです。

ビジネスを最大成長させて最高収益をとることではなくて、「あなたが一番大事にしているものは何か」「ユーザーさんを最大級に幸せにするには何が必要か」「関係者や社員をみんな幸せにする方法は何か」「本来やりたかったことは何か」そういったものを問いかけることです。

「社会をあっと言わせたい!」。それでもいいです。じゃあどうやったら「あっと言わせる」何かが作れるのかを考えましょう。そこに付き合う仕事がビジネスデザイナーであると、僕は認識しています。

社会の流れと不確実性に対して、「足場」をデザインする

僕はビジネスを社会や生活と同じように、デザインとして、UXとしてより良くしていくところに価値を感じています。その考えが実はけっこうVoicyにも反映されている気がします。

会社のビジョンやミッション、プロダクトコンセプトにも取り入れています。自分たちの事業によってどういう世界を作りたいか、それをイメージすることがめちゃくちゃ大事。ただ収益の最大化を目指すだけの会社は評価されなくなって、そこで働きたい人も減ってきている印象です。

「売上がすべてだ」というメッセージでは人が来ない。「その会社自体が素敵なのか」はかなり大事になってきています。会社のあるべき姿というものをみんなちゃんと見ているんです。

あとは世の中の流れがどんどん早くなって、不確実な社会になってきた結果、正攻法というものが徐々になくなってきた。「これは手法として悪手だな、良手だな」みたいに方法が決まっているものをトレースしたところで上手くいかない。

社会の流れと不確実性に対して、企業がどうあるべきか。そこに立ち返ってきっちりデザインする必要がいま出てきたんじゃないか、と僕は思っています。それがビジネスデザイナーの大事なコンセプトです。


ーーではビジネスデザインの視点はVoicyの事業にどう活かされているか。続きは次回に。よかったらまた読みにきてください。

声の編集後記



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緒方憲太郎(Voicy代表)
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