「ボイスドラマ」ってなんですか? Voicyの新たなチャレンジ
こんにちは。Voicy代表の緒方です。
この「声の履歴書」という連載は、Voicyがこれまで歩んできた道のりや、いま考えていることについて創業者の私があれこれ語っていこうというシリーズです。よかったらマガジンをフォローしてくれるとうれしいです。
突然ですが、Voicyが久々に大きなチャレンジをします!
7月5日(水)、新サービス「ボイスドラマ」と新機能「毎日¥0」をリリースしました。
この2つの大きな取り組み、じつは緒方はほとんど関わっていません。GOサインを出しただけです。メンバー発のプロジェクトがゼロからリリースされたことをとても誇らしく思いますし、みなさんにちゃんと使ってもらえることでVoicyはまた次のフェーズに入ることでしょう。
そんなチャレンジについて僕の思うところを今回は書いてみたいと思います。
「ユニーク&ユーモア」でVoicyならではの価値を
昔からVoicyは「ユニーク&ユーモア」とか「常にユニークであれ」という価値観をとても大事にしていて、「この音声産業をみんなで盛り上げたい」と願ってきました。
その中でVoicyのオリジナルな価値は何かというと、まず1つはパーソナリティが”声のブログ”のように発信するという、パーソナリティボイスメディアという点にありました。
そしてもう1つ、Voicyのオリジナルコンテンツとして人気を集めているのがニュース番組です。スマホ1つで簡単にニュースを提供できるのが強みで、たくさんのメディアが参加してくれていますし、Voicy独自のニュースチャンネルも好調です。
さて、今回発表した「ボイスドラマ」はいままでにない、新しいエンタメのジャンルそのものを創り出すつもりで取り組んでいます。
どんなものかというと、これは名前のとおり、声で届けるエンタメコンテンツです。プレスリリースから引っ張ってみましょう。
これまでもオーディオブックというサービスはありましたし、ラジオドラマもありました。
ではボイスドラマは何が違うのか?
それはやはり声で表現するドラマということです。「オーディオ」ドラマではなく、「ボイス」ドラマですから。
そしてサービスそのものの成り立ちや発想としては、音声コンテンツというよりは、漫画アプリに近いです。音声版ウェブトゥーンと僕の中では位置づけています。
ウェブトゥーンの世界で起きていること
もともとの漫画の制作過程では、出版社と編集者がいて、作家と一緒にしっかりとコンテンツを作り上げ、満を持して雑誌や単行本として出版してきました。
それがウェブトゥーンと言われる、いわゆるWeb漫画・漫画アプリの世界では、まずはたくさんの連載企画を一気にスタートさせてみて、話が進むに連れて、「この作品は伸びるな」というものがあれば継続し、伸びなければ閉じることを繰り返しています。
これによってユーザー行動やあらゆる視聴データを取れるようになり、読者がより楽しんでくれるように内容をブラッシュアップしながら作品を作っていくことができるようになりました。
これはNetflixやAmazonプライムビデオではすでに当たり前でしたが、PDCAを重ねながらエンタメ作品をつくる文化が漫画の世界にも広がったおかげで、昨今の漫画ブームが起きています。
こうした要素を音声に取り入れたものが、今回Voicyがはじめるボイスドラマなんですが、じつはこのあたりの動きはすでにインドや中国でも起きており、ヒット作品がけっこう出ています。
まずは10作品でスタート
Voicyでも4月ごろから、脚本や声優など、ボイスドラマのために集まったチームが最速で仕込んでようやくリリースできました。いきなり10作品ものボイスドラマがスタートします。
いままでのリスナーさんはまったく新しいタイプのVoicyコンテンツを楽しめるようになりますし、これまでVoicyを聴いたことがなかった方にも、あらためてVoicyを知ってもらったり、興味を持ってもらったりできるんじゃないかと期待しています。
もちろん、逆の反応だってあるでしょう。「Voicyの世界観が変わっちゃったね」と言われるかもしれないです。
それでもVoicyに多様なコンテンツがあることによって、訪れる人が増えていき、既存のパーソナリティさんのチャンネルにも新しいリスナーさんがついてくれるといいなと思っています。
僕はこのボイスドラマのプロジェクトにはほとんど関わっていません。アプリ上の表示・デザインも、サービス設計も、価格設計も、コンテンツ選定も、僕は全部やっていなくて。
でもリリース前に実際に聞いてみたら、これがかなりおもしろいんです。初めて使ってみたときの感覚が想像の何倍も良かったので、「これはいけるんじゃないか」と期待しています。
リリースしてから改善するまでの流れがサービスの勝負どころだと思っているので、おそらくはじめは「は?なんだこれ」という意見も来ると思っていますが、まずは出してみて社会に問うてみます。
ボイスドラマがここからどう伸びていくか、日本のコンテンツ文化の1つになっていくのか、というところは僕らとしても楽しみにしていますし、ひとつのジャンルが生まれるワクワク感でいっぱいです。
ドラマこそ、ながら聴きで楽しめる
きっと聴くスタイルそのものから新しくなると思っています。
物語は、話題になった漫画を題材としています。漫画の原作に絵をつけるのではなく、声をつけるイメージで脚本をつくってもらっています。
1つのエピソードは5分から10分の長さになっているので、「ながら聴き」ができて、かつ隙間時間に気軽に追いかけられるドラマになっています。
よく聞かれるのですが、これまでの音声番組は聞き流しても楽しめたけど、エンタメコンテンツやボイスドラマって聞き流しても大丈夫なの?ということです。
これは自分で試してみた結果、全然聞き流せます。むしろドラマは聞き流しにちょうどいい。部屋の掃除や家事をしながらでも頭だけはストーリーに没入できるんです。
外でウォーキングしながら耳だけホラー番組で恐怖を感じているというのはすごく面白い体験です。
たとえば海外ドラマを日本語吹き替えにして、声だけを流し聞きすることってありますよね。なかには「字幕にするとながら聞きできないから嫌だ」という人もいるくらいです。
形式としては1話につき1チャプターのみになっています。時間としては10分くらい。NHKの朝ドラよりもちょっと短いイメージですね。
毎朝おきて、「今日もこのドラマの続きを聞こう」「明日の1話が楽しみだな」と思ってくれたり、「気になるから買っちゃおう」みたいな行動が起きるといいな、と思っています。
みなさんにも是非一度聞いてみてほしいです。
スタートアップとして挑戦を続けたい
一番大事なのは、最後まで聞かれるような人気番組が定期的に生まれてくることです。あとは、1日1話無料で聞けるので、毎日1つずつ楽しむ習慣になってくれたらいいな、と。
初めの4話くらいまでが無料で、24時間待てば無料になる「毎日0円」という機能もありますし、それよりももっと早く続きを聞きたければ50円払ってもらう、というような機能もありますから、そこで次の1話を買ってもらえたらいいな、と思っています。
本当に漫画アプリそのままです。ですから、漫画アプリのスタイルがボイスドラマでも成り立つかを検証したいな、と。この決済システムはいままでのVoicyにはなかったものなので、今回のリリースに合わせてすごいスピードで開発しました。
ボイスドラマは基本的にすべてVoicyオリジナルで監修していますが、たとえば今後はコンテンツメーカーと組んでボイスドラマをつくることもあるかもしれません。
Voicyは音声のプラットフォームですから、「わたしたちの声優チームもあそこにコンテンツを出してみよう」という人たちが出てきたらうれしいです。そうしたら、Voicy主催のボイスドラマアワードみたいなものが開かれる可能性もありますね。
そう。これって大きな挑戦でしょう?
これまでのVoicyは自分に合わないなと思った人にとっても、あらたな体験になると思います。むしろ、まったく違うユーザー層を狙っているところもあります。そこは会社としても大きな賭けです。
Voicyの世界観を少しだけ壊すことになると思いますし、いまのユーザーさんから不満が出るかもしれませんが、スタートアップとしては何も変化しないことが最も良くない。だからこそ覚悟を持ってやろうと思っています。
まだまだ完成品ではありません。ここから試行錯誤をどんどん繰り返していきます。久々の大きなチャレンジです。エンタメの世界にVoicyが名乗り出る感じでしょうか。
豪快に空振るかもしれませんが、こういう挑戦を続けていくのがスタートアップなのです。
ーー最後まで読んでいただきありがとうございました。
声の編集後記
今回のテーマについて、音声でも話しています。よかったらこちらもお聞きください。
スキやフォローしてくれたら嬉しいです。