自由と多様性のある社会に向けて、英語を道具に様々な国の人と人が話すコミュニティー創りの場を提供する Global Cafe代表 酒井 資子さん。
人と人の垣根を取り、人に対する興味と共感力・会話力を大切にすることを土台に、色々なバックグラントを持った人と人が直接顔を合わせて話せる、そんなコミュニティーを提供し共に創造したい。現在福岡市中央区に拠点を置くGlobal Cafeの代表を務める、酒井 資子(もとこ)さんにお話を伺ってきました。
酒井さんプロフィール
出身地:福岡県春日市
活動地域:福岡市中央区(大濠地区)
経歴:北九州市立大学文学部人間関係学科卒業。2003年から2008年までオーストラリアのシドニーの語学学校で日本語教師兼語学カウンセラーとして働く。
その後、2008年から2011年までシンガポールにて、三井物産の現地採用社員として勤務。 2011年末に帰国後は三井物産福岡支社、その後福岡の三井松島産業(株)に就職。
結婚と出産を機に退職し、現在は2児の母でありながらGlobal Cafe代表としてご活躍中。
記者:「オープンで楽しい社会を創造する」ことをモットーに、気軽でリーズナルで楽しく英語を話せる場所を提供することで、お客様の世界・チャンスの拡大、人生をより楽しいものにしようとする姿がとても素敵ですね。
Q:そんな酒井さんはどんな夢やVisionをお持ちでしょうか?
大きく言うと、「自由」で「多様性のある社会」を創りたいですね。若い頃は特に、日本ではみんな均一で多様性が無い感じがして、窮屈さを感じていました。特に行っていた高校は進学校だったので大学進学が全てで、全く多様性が無いように感じてしまっていました。その後、大学在学中にニュージーランドに行ったのが人生の転機になりました。ニュージーランド人の家庭で1ヶ月ホームステイしたのですが、いかに日本での生活がせかせかしていたのか、ニュージーランドではみながいかに自分たちの人生を楽しんでいるのかを知った時に、必ずしもレールの上に乗った生き方をしないでいいことに気づきましたね。
記者:酒井さんとしてはカフェを通して「自由」で「多様性」を持った人を輩出したいということでしょうか?
酒井:私が出来ることは、個人レベルだけど人と人が話す場所を作ることで「垣根をとる」ことですね。このカフェには色んな外国人講師がいて、コロンビアや南アフリカなど日本人にとってあまり馴染みのない国の出身の講師もいるけど、お互いを知らないと偏見が生まれます。だからこそ、このカフェで英語を道具に様々な人と人が話すコミュニティーを創りたいです。あえて顔を合わせて人と会うことで、色んなことを共感できたり、お互いを知りたい、英語を学びたいという気持ちが生まれると思います。ですので、講師を採用する基準は「人に興味持てるか、共感できるか、会話力があるか」ですね。
記者:酒井さんにとっての「会話力」とは何でしょうか?
酒井:人に興味を持って話したい、伝えたい、相手のことを分かりたい気持ちがあるか、ですね。どれだけ英語が上手く話せても「人に対する興味・関心」がないと会話はもちろん、人と人は始まらないですからね。これが多様性にも繋がります。カフェには高校生から70歳以上の年配の方まで幅広い年齢層のお客様がいらしていて、お客様からの刺激も多く、大きな発見・学びになっています。
記者:人に対する興味・関心が会話力に繋がるのですね。
Q:酒井さんの夢や理想の実現のために、どんな目標・計画を立てているでしょうか?
酒井:今は子どももいて主人が単身赴任をしていて中々手が回らないこともあり、カフェを出会いの場としてゆるくやっていますね。だからお客様にもゆるく楽しんでもらえたらという気持ちですね。ゆるくはやっていますが「先入観を持ったしゃべり方はやめましょう」ということだけは講師に気をつけてもらっています。
記者:具体的に酒井さんが心がけていることは何でしょうか?
酒井:人をカテゴリー・くくりで観ないで、「まっさらな状態」で人として観ることですね。先入観をとるのは難しいですが、勝手なイメージや色眼鏡で観ないように心がけています。そうすれば英語という1つの共通項で繋がれますね。
記者:酒井さんの「まっさらな状態」で人を観て、人を知ろう・理解しようという姿勢を大事にし、実践もされている感じがしました!!
Q:現在、カフェを出会いの場としてゆるく提供されている酒井さんですが、最も大切にされていることは何でしょうか?
酒井:お客様だけでなく、スタッフも楽しく過ごせるよう、基本的に講師やアシスタントの自主性に任せてやってもらっています。最初は「自分で全てやりたい!」だったけど、次男が生まれてからはスタッフに任せざるをえず、スタッフに運営を助けてもらっていますね。また信頼して裁量を与えた方が、講師もアシスタントもやりがいがあるし、成長にも繋がります。
記者:酒井さんも人に任せられて自主的にやりたいという思いを持っていたから、今の形として出てきたし、そうでないと働いていても面白いと思えないですよね。
酒井:ビジネスライクでいけば、外国人講師だけカフェにおいて、アシスタントはおかずに、代わりに券売機を置いておけば人件費もかからずいいですからね。それでもあえて日本人のアシスタントをおいているのはお客様の英語のフォローを日本語でしたり、日本語で楽しく話すのもありで、だからアシスタントにも重きを置いているんだよとアシスタントたちに直接伝えています。
記者:そうするとアシスタントや講師も、対人の興味・関心を基準に選んでいるのでしょうか?
酒井:英語を話せるだけでなく、人のケアが出来るのかが大事ですね。例えば、初心者への細かな気配りや優しさなど。だから私は英語力よりもこの部分に重きをおいて採用していますね。
記者:ところでこの場所で新たな広がりに発展したことはありますか?
酒井:例えば、講師がスウェーデン出身者で、お客様がカフェで会話をしていくうちにスウェーデンへの興味が強まり、実際に旅行に行ったということなどはあります。講師を皮切りにお客様の興味が広がったからです。これも出会いですね。
記者:ちなみにこのカフェの立ち上げで苦労したことは何かありますか?
酒井:今まであまり無いビジネスモデルだったけど、特に不安は無かったですね。起業は初めてでしたが、「なんとかなるだろう!」という気持ちでしたし、このカフェは私のニーズを具現化したものですからね。
Q:酒井さんが実現させたい夢やVision、理想を持ったキッカケはなんでしょうか?
酒井:学生の時に「不自由さ」から生きにくいと感じたのがキッカケですね。日本では均一のコンセンサスがあり、知らないうちに自分のロール(役割)をやり、外れたことをしないという暗黙の了解がまだまだあるような気がします。ちなみに私の育った家庭は母が専業主婦で、父は家事や育児はほとんどしないという昔ながらの家庭でした。
記者:このような価値観から転換し、行動をとろうと思ったのは何があるのでしょうか?
酒井:大学では心理学(ジェンダー論)を学んだ影響などで私の中に一つの女性像の理想像があったけど、実際の自分の家庭とのギャップを激しく感じていました。そんな感受性の強い時に海外に行き、まだまだ若かった私は私が求めているものは日本にはないと思い、外に行けばあると短絡的に考えていましたね。
記者:他にも何かございますか?
酒井:日本の学校英語はどちらかというと暗記中心で、「テスト文化」があるせいか、日本人は間違えるのを恐れて、英語を話すこと自体を恐れるというのがありますね。
またそれに新しいカルチャーを入れたいということもあったのが、カフェを立ち上げることに繋がりましたね。
記者:日本の「不自由さ」と「テスト文化」を越えていきたいのがあったのですね。
Q:これらの発見や出会いの背景には何があったのでしょうか?
酒井:先ほどの心理学でマイノリティーの人についてなどを学び、その後オーストラリアに行き、移民の国というだけあって、働いていた学校には色んな国の留学生もいたし、社会人が勉強しています。ライフスタイル自体に多様性がありますね。次に行ったシンガポールは多言語の国であり、違った文化が共存していて当たり前でした。これも海外で暮らして仕事をしたのが大きいですね。
記者:その後、日本に帰国していかがでしたか?
酒井:帰国してから1年間は苦しかったですね。ものすごいギャップを感じまして。外国とは違い、日本では衝突しないように、周りに合わせるようにするようなところがありまして。小さなことですが、子どもの持ち物一つとっても、他の子と同じ持ち物を持たせないと「かわいそう」ではないか、などと感じたりしますね。
記者:そんな日本に対して何が必要だとお思いでしょうか?
酒井:多様性のある社会にするためには日本の外に目を向けることが一つ大切なことだと思います。海外のニュースを見ることは勿論ですし、日本のことを取り上げた海外メディアのニュースも見てみて、海外から日本はどうみられているのかという客観的視点を持つことも必要だと思っています。そうすることで日本の意識を変えていきたいですね。
記者:一貫して「人に対する関心」を大事に「自由と多様性」を大切にされる、そんな場をつくり、そこから日本社会を変えていきたいという姿勢をみることが出来ました。そんな酒井さんを観て、まさに新しい時代を創る人だと感じられました。本日は貴重なお時間、ありがとうございました。
酒井さん基本情報
Global Cafe HP
編集後記
インタビューを担当した、緒方、丸山、梅津です。
学生時代に日本で感じた違和感から、文化や生き方の多様性を活かされる社会を実現させたい想いに、人や社会に対する愛が溢れていました。
酒井さんのカフェで英語を身につけた人たちが活躍することで、未来は世界がひとつなぎになっていくのを感じられるので、これからの酒井さんがどんなご活躍されるのかとても楽しみですね。
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この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36