見出し画像

良運の方程式 第29話

今日は皆さんが誰でも知っているおとぎ話「かさ地蔵」を題材に、人間の思いについて考えてみたいと思います。人は皆、優しい心を持っています。それは「利他の精神」です。神仏を敬う心、他人を尊敬する心、それがいかに自然の摂理にかなっていることなのか、そして、その思いは、いずれ巡り巡って自分に返ってくることを理解し納得して頂けたら嬉しく思います。

①物語のあらすじ

とある雪深い国にひどく貧しい老夫婦が暮らしていました。年の瀬が近いというのに新年を迎えるための餅すら買うことができません。そこでおじいさんは、町に出て日々こさえてきた笠を売ろうと背負えるだけ背負って出かけて行きました。ところが残念なことに、笠は大して売れませんでした。吹雪く気配がしてきたため、おじいさんは笠を売ることをあきらめて帰路につきます。吹雪の中、おじいさんは六人のお地蔵さまを見かけると、そのいかにも寒そうな様子を見て可哀想に思い、売れ残りの笠を差し上げることにしました。おじいさんはお地蔵さまの頭に降り積もった雪を払い、一つまた一つと笠をかぶせていきました。しかし、手持ちの笠が一つ足りず、おじいさんは自分が使っている笠を最後のお地蔵さまにお被せし、何も持たずに我が家へ帰って行きました。おじいさんからわけを聴いたおばあさんは、「それはよいことをしました」と言い、結局何も買えなかったことを責めたりもしませんでした。

その夜老夫婦が寝ていると、家の外で何か重たい物が落ちたような音がします。そこで扉を開けて外の様子を伺うと、家の前に米俵や餅・野菜・魚などの様々な食料に小判などの財宝が山と積まれていました。老夫婦は、笠をかぶった六人のお地蔵さまが雪の降るなか背を向けて去ってゆくのを見送るのでした。このお地蔵さまからの贈り物のおかげで、老夫婦は良い新年を迎えることができたということです。

②良運への大切なポイント

このお話には、とても大切なポイントがいくつかあります。

1つ目は、他人を思う心です。雪を被って冷たいだろう。可哀想に。自分はさておき、何とかしてあげたいという「真心」です。

2つ目は、神仏に対する信仰心です。寒い中、帰途を急ぐ最中に、雪を被ったお地蔵さまを見て、私も含め多くの人は、お地蔵さまをただの石像と見るかもしれません。石像が雪を被っているのは当たり前。気にもせずに家路を急ぐでしょう。でも、おじいさんには、ただの石像とは見えなかったのです。仏様そのものが雪を被って寒がっていると捉えたのです。気持ちの「純粋」さがよくわかります。

3つ目は、笠が一つ足りなくて、自分の笠をお地蔵さまに被せたことです。自分が雪を被ってしまうことなど、どうでも良かったのでしょう。最後のお地蔵さままで、しっかりと被せてあげる「真面目」な気持ちがよくわかります。

4つ目は、おばあさんが、おじいさんの行為を褒めて、何も責めなかったことです。どうして売ってこなかったの!正月なのに食べる物がなくてどうするの!…普通の家庭でよく耳にする言葉のように思えてつい笑ってしまいますが、おばあさんは一言も愚痴を言わず、おじいさんと同じく、とても信仰心が厚く優しい心根の持ち主だったことがよくわかります。ここで大切なのは、夫婦が同じ考え方の「方向性」を持っていることです。

「真心」を持ち、「純粋」に物事に接し、「真面目」な行動で日々を生きることがとても大切です。そして夫婦やパートナー、恋人がいるなら、同じ「方向性」を持つことが、幸せに繋がる絶対条件になります。

③その後の展開

物語は、お地蔵さまから食べ物や財宝をもらったところで終わっていますが、もう少し想像して、その先のことを考えてみたいと思います。

この老夫婦は財宝を手にして何をしたでしょか。現代で言うなら、豪邸を建て、高級車に乗り、贅沢三昧な生活をしたでしょうか。そういう自我の強い性格なら、お地蔵さまに笠を被せる行為は考えもできなかったでしょう。想像の域ですが、たぶん、お地蔵さまが立つ場所に屋根をつけ、水差しを用意し、服を縫って着せ、お礼詣りを欠かさなかったでしょう。そして残った財宝は、村人のために今で言う集会場を作ったり、お寺や観音様を建立したかもしれません。

「真心」「純粋」「真面目」な心は一貫した「方向性」を持ちます!それは限りなく循環して、まわりを幸せにし、結果的に自分を幸せにします。この良運の循環の中に一人でも多くの方々が関わることができると素晴らしいことです。

④まとめ

いかがだったでしょうか。この物語は、とてもシンプルで大切な自然の摂理を説いています。宇宙の法則と言い換えることもできる真理です。「やったことは、すべて自分に返る」ということです。よく幸運だと言われる人がいます。あの人は運がいい!あの人はいつもラッキーだ!…まわりから羨ましがられる人がいますよね。でもそれは、その人自身が幸運の種をいつも撒いているのです。「真心」「純粋」「真面目」な良い種をいつも周囲に循環させている人なのです。そして、その人と同じ「方向性」を持つ人は同様に良運を引き寄せます!それが「自然の摂理」であり「宇宙の法則」だからです。どうかたくさんの方々が良運に導かれますように!今日もお読み頂き、ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!

小笠原正典
数多の若き英霊が海の藻屑となりました。感謝と鎮魂の誠を捧げます!合掌!