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【毎日投稿】”文章”と”文字”の違い【3分記事】
『文章』と『文字』という言葉を区別して使っていますか?
テキストを作る仕事をする場合『文章』と『文字』を区別して扱うことは重要です。
今回は、『文章』と『文字』が全く別物だという話をします。
『文章』と『文字』の違い
『文章』と『文字』は下記のような性質の違いがあります。
・『文章』は「読む」もの
・『文字』は「見る」もの
これだけではまだ分かりにくいので例を示します。
北海道の牛乳は口当たりが滑らかで、とても美味しいです。
濃厚なめらか!北海道牛乳
1つ目は左から右に読んだのに対して、2つ目は絵のように形として眼に飛び込んできたのではないでしょうか。
1つ目は『文書』、2つ目は『文字』です。
これら2つの『文章』&『文字』は使用している単語こそ同じではありますが、格助詞の有無(の、は、等)や単語の順番変更によって、読み手は異なった受け取り方をします。
『文章』と『文字』、それぞれが読み手に与える印象や効果が異なってくるのであれば、この2つはビジネスシーンにおける役割も変わってくることでしょう。
例えば『文章』は資料に向いていますし『文字』は広告に向いているでしょう。
『文章』が用いられている場所
テキストコンテンツにおける本文
報告書、資料等のドキュメント類
『文字』が用いられている場所
テキストコンテンツにおけるタイトルや見出し部分
広告などのキャッチコピー
パワーポイント等のプレゼン用スライド
このように『文章』は読んで理解させることを狙いとしており、『文字』は見せて理解させることを狙いとしています。
より具体的な違いとしては、『文字』の方が直感的かつ素早くメッセージを伝えるので、エンゲージメントの低い読者、またはやる気の低い人を引き込むのに向いています。
一方、『文章』は、ある程度エンゲージメントが高いユーザー(長い文章を読んでくれるぐらい)であることは前提となっており、やる気の高い人がさらに没頭するためのものになっていると私は考えます。
『文章』と『文字』の明らかな違いについて自覚的になるのは、私たちの仕事(職種に関わらず)をする上で極めて重要なことだとは思っているのですが、『文章』と『文字』の2種が区別できていないビジネスマンはかなり多いと感じます。
例えば、イケてない営業マンは、プレゼン用パワポのスライドに長々と『文章』を書いてしまい「どうかんがえても、お客さんコレ読めないだろ」的なイケてないスライドを作ってきてしまうでしょう。
これは『文章』と『文字』が別物であるという意識が無いのが原因です。
よって、彼に施すべきアドバイスは「君の『文章』は長すぎる」ではなく「一目でわかる『文字』を作ってこい」でしょう。
“書く”と“作る”の違い
さらに私は『文章』と『文字』の”作り方”についても明確に区別をした方が良いと考えています。具体的には下記のとおりです。
・『文章』は“書く”もの
・『文字』は“作る”もの
“書く”と“作る”、この2つには求められる能力が全く異なります。ライターとコピーライターが全く異なった職種として存在しているのは、これが理由だといえます。『文章』を書くのが上手な人が必ずしも『文字』を作るのが上手というわけではありません。逆もまた然りでしょう。
ライターには『文章』を“書く”能力が求められ、コピーライターには『文字』を“作る”能力が求められます。
すなわち、最も理にかなったテキストコンテンツとは、本文の『文章』はライターが書いて、タイトルと見出しはコピーライターが作った『文字』であることがいえるでしょう。
ちなみに一般的な編集者は、本文、見出し、タイトル、サムネイルの文字、全てに携わることになるので両方の能力が求められます。よって、編集者は(私たち編集者が)思っている以上に多彩でなければならないのです。残念ながら、それを自覚していないのに編集者を名乗っている人は多いです。
『文章』と『文字』で儲かるのはどちらか?
余談ですが、『文章』よりも『文字』の方が儲かります。『文章』を書くよりも、『文字』を作れる人間の方が求められる能力が高く、ビジネスにあたえるインパクトが大きく市場価値が高いとされています。
ライターが10000文字の文章を書いても5,000円~20,000円程が相場なのに対して、コピーライターがたった数文字のキャッチコピーで100万以上稼ぐのはこれが理由です。
『文字』と『文章』では市場的価値が全く違うのです。
『文字』を制作する過程において、正しい『文章』の書き方のノウハウは全く通用しません。
「ら抜き言葉」など『文章』を書く上では当たり前のルールも『文字』作りでは当てはまりません。
『文字』作りの世界では、文法としての正しさではなく、読み心地や形状のカッコ良さ、伝わる印象の方が優先されるのです。
さいごに
最後まで読んで頂きありがとうございました。纏めると『文字』と『文章』は明確な違いがあること。『文字』と『文章』は全く異なる性質を持っているので、頭を切り替える必要があること。
『文字』と『文章』を混同して作られてしまった残念なコンテンツはこの世に沢山あるということです。