レジェンドアーティストのどうにかなっちゃったライブ三選(ASKA, Q+PR, Yoshiki)
みなさまこんにちは。あやめです。
ライブ、コンサートという究極のアナログが、また日常に戻ってきて嬉しい限りですね。
そこに展開されるパフォーマンスは勿論、自分自身のライブイベント、会場のジンクス、オーディエンスの熱狂も合わせて、ひとつとして同じ体験は有り得ないのが、まさにアナログ。
涙が流れるぐらいは、毎公演のことなのでノーカウントとして、どうにかなっちゃったライブとして思い出深いものを綴らせてください。
みなさんの「分からされ」自慢も聞きたいので、ぜひ教えて下さい!
ASKA CONCERT TOUR 10>>11 FACES 宇都宮公演
もともと、ASKAさん(たち)のライブといえば母や親戚が行く公演におまけで連れて行ってもらうものでした。
そんな筆者にチケットを分けてくれる方がいらして、ちょっと背伸びして足を伸ばしてみました。そわそわした非日常の緊張感も手伝って、ここでは最も強烈な体験をしました。
あ〜。ASKAさん今日もあんまり目を開けてくれないなあ。なんか寂しいなあ…と10年代あるあるな気持ちを抱きつつ、少しずつなじんできて、素直に胸がとろけていきます(ライブ冒頭、ステージと客席でお互いにチューニングしていく時間も、いいですよね。)。
ちなみに20年代になると、ちゃんと「みんなの顔を見ながら歌いたい」って言ってくれるから安心してくれよな。
中盤、シンセがふわあと空間に広がって、重たいギターがギシギシのしかかって、甘くて冷たいピアノがグレーズを垂らすように降ってくる。
「君の知らない君の歌」バージョンのFar Awayでした。TRIP、girlに並ぶトリップ系ラブソングで、砂糖を口に詰めて窒息させられそうな、仄暗い甘さが最高なんです。
(う…今あたまがとろけているのにまずい…)と逃げ出したくなったのを覚えてます。
「紅い爪を夜の真ん中で切る」澤近さんのピアノの雫に打たれながら意識が沈んでいきます。
「どんな愛がいいの 君に答えるなら黒い髪を撫でる僕の吐息」一気に空に連れて行かれつつ、なんとか一番は切り抜けたのですが、もう息も絶え絶えでした。
「恋のうちに君を抱いていたいな 恋のうちに君と死ねたらいいね」当時、筆者は素敵な恋をしていたので、その二行でASKAさんの声に捕まってしまいます。
「どんな愛がいいの 君を守るならば たたむ腕の中で鳥になって」もう許して!と思ってたら、なんだか視界がぼんやりと白くなっていき、自分の体が濡れた紙のように撹拌されてちぎれて、ホールの空間にたくさんの鳥のように広がっていくのが見えました。
広がっていった鳥は、アイスティーに溶かしたミルクのように、はじめの姿をなくしてもう戻らなくなってしまいました。
その後の記憶がないですが、無事にホテルに戻れたようです。当時の日記とか読んでみたいですね。
軽い臨死体験というか、トランス状態というか、後にも先にもあんな音楽体験はありません。
ASKAさんのライブでは、身体性で押し負けるというか、声だけでなく会場中に大きく広がったからだに飲み込まれて、何も分からなくなってしまいます。
あの「負けた」瞬間はファンとして嬉しいです。(よね?)
Queen+Paul Rodgers 横浜アリーナ公演
初めてのアリーナで前から8列目、キャットウォークかぶりつきのとんでもない席でした。
といっても、これもチケットを取って下さった方がいたので、本来ならその方がかぶりつくべきだったのに、なんて優しい大人に囲まれていたことか。
もみくちゃにされながら、誰かが下から抱き上げてくれて、ポール・ロジャースさんがにこにこ握手してくれた! 手が柔らかくて「あったかい中トロみたいだなぁ」と思いました。
一番の衝撃は、ロジャーがバスドラを踏んだ瞬間、おなかを銃で撃たれたような鋭い衝撃と風が吹き抜けていったことでした。
今思えば、どう考えてもステージ奥のバスドラから客席に風が届くはずはないのですが、服の裾がめくれ上がって、おなかの汗がひやっとしたのを覚えています。
天井に届きそうな高いスピーカーが設置されていたので、音圧のいたずらということにさせて下さい。
もみくちゃになったせいか全身が痛くなり、ロックってすごいな〜と思いました。
当時は有難みが分かっていませんでしたが、フレディ亡き後の再始動、ポール・ロジャースの芳醇なブルースの世界、奇跡のような座席も相俟って、あまりにも贅沢な経験でした。
ロジャーは全然こっち見てくれなかった🥺笑
YOSHIKI CLASSICAL with orchestra 2022 in Japan
hideさんのメモリアル公演の「俺がいいって言うんだからいいんだよ」事件(※)もあって、この公演からスマホでの撮影・録画が解禁されたことがとても嬉しかったです。
※ 事件ってほどでもないですが…
母も気が滅入っていた時期だったので、元気を出してもらうべく、今度は私が連れていきました。
仕事の都合もあり、長いことライブから遠ざかっていた私は、もっと能動的に観る方法はないかなぁと考え、Forever LoveやEndless Rainの練習を始めました。
特に、メインビジュアルにマキバレエ団の皆さんのお姿があったので、まあFLは鉄板でしょうということで。
「ピアノは叩いたら鳴るから打楽器でしょ♪」とご本人がきゅーとに仰っていた(正確には打弦楽器というそうです)のも背中を押してくれました。
さて当日、ドレスアップしたお客様の姿や、誘導スタッフさん(まるでSPのようなホテルマンのような)の上品な対応に感動して、私は早くもふわふわし始めていました。
クラシックに詳しい方から、国際フォーラムは音の指向性が高く、ステージの配置通りにオーケストラの音が聴こえてくるんだよと教わっていたので、最初はがんばって気にしていたものの、やはり意識が溶けてきました。
そこへForever LoveとEndless Rainです。
私は初心者用に簡略化されたスコアで練習していたのですが、今まで身体で受け取るばかりだった音が、明らかに脳の違う回路を流れて、膨らんで聴こえてきました。
うまく言語化できないのですが、耳で受け取っている音(今ステージから届いている音)に加えて、運指の感覚や、身体全体がこう流れるんだという気づき、そういった情報が重なって、大きな扉が開いたような奥行きを感じました。
聴覚野に加えて運動野にまで、文字通り脳に新しい回路が生まれた瞬間でした。
そして、余韻が長い!
映画館から外に出た時の、街の景色と自分の次元がズレているようなあの感覚が、一週間近く続いていました。
もともとそんなに近しい人でない限り、一度会えば数ヶ月ぐらい平気でいられる(その人の感覚をからだに留めておける)筆者も、もう寂しくて寂しくて、なぜか本気で泣いてしまい驚きました。
君を捜す、たぐる、また空へ連れてく
こうして並べると、やっぱり母のお腹の中にいた頃から通いつめているASKAさんの公演は、記憶の厚みが違うので、やばいですね(やばい)。
特に、映像だけでもあたまがどろどろになるこのシンフォニックツアーを、「バンドツアーじゃないのかぁ」とスルーしてしまったことがとても悔やまれます。
慣れない雰囲気でふわふわして、どうにかなりがちな筆者には、すごい体験ができたようにも思うんですよね。今となってはですが。笑
ということで、これからも音楽で最高の贅沢をしましょう。
おしまい🕊️🪄︎︎💫