【毎週月曜日更新】最高の服と、最低の服のこと。「チープシック」ということばについて。


「最高の服か、最低の服しか買わない」と、アニキ的存在でもあるボスが言う。

今までもふたりのあいだでは何度かこの話題になったことがあったけど

ようやくその感覚に自分がおいついてきたのか、

少し前に話したときに、なんとなく言わんとしてることがわかったような気がした。


「最高の服」と「最低の服」って、本質的には変わらないんです。

むしろ、おいくらするのかっていうくくりで服の価値を決めてしまうのは、

すこし乱暴なんじゃないかと、実は思ってる。


原価が何パーセントで、計算して、だからこういう値段になります。

というのはすごく明快で、納得できる仕組みではある。

でも、それはなんだか「ファッション」じゃない?

うまく言葉にはできないのですが、ファッションは

おカネが入りこめないところに本当のたのしみが隠れているのかもしれない。


そういう、「明快で納得できる仕組み」からはなれたところでいうと

いわゆる古着の「ヴィンテージ」がある。

服はどういう生まれ方をして、どういう時代を経験して、今何歳なのか

だれがつくったのか、どういうブランドか、だれが着たのか、いま流行ってるのか

そういう明快じゃない仕組みでおいくらするのかが決められる

おかしな世界ではあります。


そして、ボスはマルタン・マルジェラとミリタリーの古着を合わせて着る。

それって、なんだかすごくファッションだ、と思った。


極端な話をしてしまうと、100万円する服も、100円の服も

おなじ「服」という名前のモノなんだ。

「おいくらするのか」という部分は値段じゃないところで決まる。

自分がその服を見て、話を聞いて、着て、どう思うのか。

おカネの力が届かないところで、自分にとってその服の価値が決まること。

そして、それがひとによって100万円にも、100円にもなる。

なんだか、それってすごくワクワクしませんか?

自分にとっての100万円の価値がある服を、値段のつけられないような服を見つけたい。


Of the Shopで扱う商品は、いまのところ、「最高」のほうばかりです。

いつか、自分の思いどおりにお店をつくれるのなら

「最低の服」をいっしょに「最低の服」も並べたい。


「チープシック」という言葉が好きです。

チップシックを日本語に訳すると、「見立て」だとおもう。

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