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シグナル&ノイズ ~情報のとり方・伝え方~

こんにちは、おふとんと申します。

細々と続けてきたノートも3回目ということでいっちょ前にそれっぽいタイトルをつけてみました。このタイトルは先日自分が読んだデータ分析と予測に関する本からとっています。(その本がこちら↓)
シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」 | ネイト・シルバー, 西内啓, 川添節子 |本 | 通販 | Amazon

この本では、データに基づいた予測をする際(例えば天気予報)に、得られる情報はシグナル(正しい予測につながる情報)とノイズ(正しい予測につながらない情報)の2種類に分けられ、精度の高い予測をするには手に入れた情報の中からいかにノイズを無視して、シグナルを見つけ出すかが重要であるといったことが書いてあります。

この考え方をシージを応用できないかと考えて、自分の中でいろいろと考えてまとめてみました。よかったら最後まで読んでいただければと思います。



1.シージと情報

おそらくですが、シージは今ある主要な爆破系FPSタイトルの中において、1ラウンドあたりにプレイヤーが触れる情報量が最も多く、またプレイヤーが適切な判断を下すために必要な情報も最も多いでしょう。

攻撃側はドローンを10個所持し、防衛側はデフォルトカメラを使用できます。またオペレーターによってはその固有アビリティにより、さらに多くの情報を取得できます。ここまで情報をとるためのアビリティが多いFPSは他を探してもなかなか見つかりません。
さらにマップの構造も複雑であり、勝利に向けてラウンドを進めるために必要な情報量も多くなっています。
(使えるドローンの個数やマップの複雑さの話はVALORANTと比較するとよりわかりやすいかもしれません。)

一般的にFPSにおいて情報は多ければ多いほど良いとされています。しかしながらシージにおいてはその複雑さと情報量の多さから意識的にラウンド内で扱う情報量を絞ったほうが良いケースも多々あります。

冒頭で紹介した「シグナル&ノイズ 天才データアナリストの『予測学』」でもこのような記述があります。

複雑なモデルは、シグナルよりノイズにとらわれ、基本的な構造を再現することができず、予測をますます悪くする。(第7章 「インフルエンザと予測モデル」より引用)

つまりシージという複雑なゲームにおいて、やみくもに情報をとろうとしてしまうとノイズが多くなってしまい、勝ちにつながるどころか判断の精度を悪くしてしまい、逆に勝ちから遠ざかってしまうことも考えられるわけです。

2.シージにおけるノイズとシグナル

「シグナル」と「ノイズ」という単語は冒頭にも書いた通り、「シグナル&ノイズ 天才データアナリストの『予測学』」から引っ張ってきたものです。この本ではシグナルとノイズは以下のように使われています。

シグナル:予測の精度を高めることに貢献する情報
ノイズ:予測の精度を高めることに貢献しない情報

今回の記事では、この単語をよりシージ向けにカスタマイズし、以下のように使いたいと思います。

シグナル:勝ちにつながる判断をサポートする情報
ノイズ:勝ちにつながる判断をサポートしない情報

急に定義してもイメージがわかないと思うので例を出します。
・シグナルの例
これからプラントしようとしている状況において、「プラントを阻止できる位置に敵はいないし、入ってくるルートもすべてロック出来ている」という報告
・ノイズの例
ラウンド終盤にカフェドストエフスキーの3階でプラントしようとしている状況において、「1階の手荷物部屋にフロストマットがある」という報告

シグナルの例は非常にわかりやすいと思います。このような報告があれば安全にプラントすることが可能であるという判断ができるので、勝ちにつながるでしょう。
ノイズも極端な例を出したのでわかりやすいと思いますが、これからカフェの3階でプラントしている状況において1階にフロストマットがあるかどうかは3階でプラントができるかどうかに全く関係がないため明確なノイズであると言えます。
鬼気迫った声でこんな報告をしてくるような人は世が世なら市中引き回しの上、打ち首獄門に処されても文句は言えません。

第一章でも書いた通り、シージはFPSの中でも特に取り扱う情報の量が多いので、判断するプレイヤーの頭がパンクしないように意図的に情報量を絞ることが重要です。その情報量を絞る際に如何にシグナルを残し、ノイズを排除するかが勝ちに直結してくると言えます。

3.勝ちにつながる情報のとり方・伝え方・活かし方

1章と2章において以下の点を確認しました。
・取り扱う情報量が多いシージでは判断するプレイヤーの頭がパンクしないよう意図的に情報量を絞る必要がある
・情報にはシグナルとノイズの2種類があり、情報量を絞る際にシグナルを残し、ノイズを排除する必要がある

3章ではこれらの点を達成するにあたって、どういったことを意識すれば良いのかを情報のとり方・伝え方という2つの観点から考えていきたいと思います。

3-1.勝ちにつながる情報のとり方

以下の2つの情報は明確なノイズになることは極めて少ないので、ここの情報を重点的にとるようにすれば問題はないと言えます。
・バイタルエリア(※)の情報
・敵の位置情報

※バイタルエリアって何?という人はこの記事を参照してください。
エリアコントロール序論|おふとん|note

しかしながら注意すべき点として、情報の鮮度があります。
一般的にシージにおいて、情報は取得した5~7秒後には古くなり、使えないとされています。この5~7秒という時間が情報の鮮度です。(あくまで一般論であり、5~7秒という数字に絶対的な根拠があるわけではないです。)
例えば、敵の位置情報をドローンで取得したとしても、そのドローンを壊されてから5~7秒の間に味方がその敵にアプローチできないのであれば、その情報はとっていないのと同じことになってしまいます。

つまりバイタルエリアの情報や敵の位置情報であっても「20秒前まではその部屋はクリアだった」や「15秒前にそこに敵がいた」という情報・報告はノイズになってしまう可能性があるということを意識する必要があります。

3-2.勝ちにつながる情報の伝え方

シージは5人でやるゲームなので、一人一人が取ることができる情報は異なります。チームとして共通認識を持ち、連携をするには各プレイヤーが持っている情報を伝えることが必要です。

もちろんここで伝える情報がノイズではなくシグナルであることが重要なのですが、注意すべき点が1つあります。
それは自分にとってシグナルであっても、他のプレイヤーにとってはノイズである情報が存在することです。

なかなかイメージしづらいと思うので、以下の図を使って説明します。

まず前提の状況を説明します。
・①~⑤は攻め側のプレイヤー
・ボムは図中央の部屋に存在
・①のプレイヤーが1人で左側から攻める
・②~⑤のプレイヤーが4人で右側から攻める
・最終的に挟み撃ちの形で①~⑤全員が攻めることができる状況を用意することが目的で、それまでのプロセスは何をしてもよい

これらの前提を考慮しつつ図を見てみると吹き出しで表示した「ここの通路はクリア」「カプカン罠がある」「バリケードがある」といった情報は①のプレイヤーにとってはシグナルです。ボムの左側のエリアをとるにあたって、これらの情報を有効活用することは大いにできるでしょう。

しかしながらこれをわざわざ②~⑤のプレイヤーに報告する必要はあるでしょうか?
右側のエリアをとることが目的である②~⑤のプレイヤーにとって自分たちと逆の左側のエリアのどこにカプカンがあるかやどこがバリケードでしまっているかという情報は「右側のエリアをとる」という目標を達成するためには基本的に必要のない情報、つまりノイズになってしまいます。

当然こうした情報を報告したほうが良いケースもあります。
図の例で言えば、①のプレイヤーが「左側のエリアに敵が全くいない」という情報を得ることができれば、逆算して右側のエリアに敵が多くいることが推測できるので右側のエリアを攻めている②~⑤のプレイヤーにとっても有益な情報であると言えます。

このときに重要なのは情報を解釈し、加工して伝えることです。ただ「左側のエリアに敵がいない」と報告するのではなく、「左側のエリアに敵がいないから、右側のエリアは敵が強めにあたってくるのを警戒したほうがいい」といったように、自分が得た情報の意味を解釈し、その情報を伝える相手にどういうアクションをとって欲しいのかまでイメージしたうえで、伝える内容を加工することで、情報の受け手が情報を処理する手間が省けたり、話し手と受け手の情報の解釈の違いが発生を防いだりすることで、チーム内でスムーズな意思伝達ができます。
こうしたことを意識することで、より伝え方の質を高めることにつながるはずです。


ここまでシグナル・ノイズという観点から質の高い情報のとり方や伝え方について書いてきました。
いかがでしたか?

ここまで書いてきた内容はぶっちゃけたことを言ってしまうとかなりレベルの高い内容だと思います。

もし自分のチームが、情報のとり方がうまくなかったり、声が出ていなかったりで、そもそも情報量が足りていない場合はいきなりこの記事に書いてあることをやるのはオススメしません。何もないところからいきなり無駄のない状態を目指すより、無駄がたくさんある状態から無駄をそぎ落とすことの方がよほど簡単だからです。いきなりこの記事に書いてあるような状態を目指すと、情報を伝えることを躊躇してしまう人もいると思うので、まずは出せるだけの声を出していくことを意識していくことをオススメします。

チームで声が出ているのに何故かその情報を上手く活かせていないと感じるような方はぜひこの記事の内容を試してみてください。

今回は以上になります。読んでいただきありがとうございました。

それではまた。


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