Bittersweet Flowers台本 冒頭15P分無料公開
◎はじめに
「Bittersweet Flowers」は2021年11月3日(水)〜7日(日)に上演予定の舞台公演です。台本の冒頭から15P分を期間限定で無料公開します。
公演HP: https://www.bsf-2021.ofcha.biz/
これから観に来る方も、
観ようか迷っていた方も、
今初めてこの公演の存在を知った人も、
是非、作品の一部を覗いてみてみてくださいね。
**************
おぶちゃpresents
「Bittersweet Flowers」
作・演出 大部恭平
**************
《主な登場人物》
・秋原 亜珠沙(あきはら あずさ)(tamico.): 舞台女優。
・蘭 由依香(あららぎ ゆいか)(尾崎礼香):元脚本家。飲食店アルバイト。
・土岐 桔穂(とき きほ)(田中菜々):元音楽家。CA、その他副業。
・葛西 美奈絵(かさい みなえ)(河口舞華):元子役。3児の母。
・尾花 茅袮(おばな かやね)(宇野仁美):元役者。事務の契約社員。
・藤村 朱里亜(ふじむら じゅりあ)(岡野きらら):元ダンサー。美容ブロガー。
・水瀬(みなせ) ひまり(真田真帆):新婦。結婚する。
・羽那生 凛(はなき りん)(真田真帆):ひまりの教え子。
・秋原 莉々(あきはら りり)(小野里茉莉):亜珠沙の妹。
・丸場 縷々(まるば るる)(凪原志音):保育士。
・和歌山 佳乃(わかやま よしの)(鈴木莉菜):学校OG。78期の歌唱指導。
・河津 唄(かわづ うた) (荒木凪瑳):蘭のバイト先の社員。
・サプリン(大部恭平):自称サプライズ師。
× × ×
プロローグ
結婚式。全員赤のドレス。
司会 「それでは、新婦友人を代表して学生時代のご友人、 秋原亜珠沙様のスピーチを頂戴したいと思います」
拍手。
亜珠沙 「勇人さん、ひまりさん、ご結婚おめでとうございます。ただいまご紹介に預かりました秋原亜珠沙です。新婦とは学生時代の友人というかライバルというか因縁の関係というか……ね。まぁそんな関係だったので、いつも呼んでいたように『ひまり』と呼ばせていただきます。ひと言、お祝いの言葉を述べさせていただきます」
女 「なんであいつなの」
亜珠沙 「実は、こうして、ひまりの目を見て話すのは、10年ぶりくらいです」
女 「ノコノコ出て来れるなんて本当面の皮あついね」
女 「自分のことしか考えてないよね」
亜珠沙 「学生時代のひまりは……」
女 「なんであの女が帰ってきてるの」
女 「好き勝手な女」
女 「萎えるわー」
女 「うわ、こっち見たよ」
亜珠沙 「えーとても人気者で……」
赤いドレスの女たち、口々に非難を浴びせる。
陰口、笑い声。
なんとか続けようとするが、次第に俯く亜珠沙。
照明あずさのみに絞り、
亜珠沙 「Bittersweet Flowers」
× × ×
スマホのバイブ音。
蘭 「もしもし久しぶり」
亜珠沙 「久しぶりーどうしたの?」
蘭 「今度、ちょっとお願いがあるんだけど、力貸してくれない?」
亜珠沙 「いいよ」
蘭 「マジ!?ありがとう〜」
亜珠沙 「いつ?」
蘭 「詳細LINEする!」
亜珠沙 「はいー」
亜珠沙 「大学時代の友人・蘭由依香から突然の電話。同期と会うなんて何年振りだ?」
秋原家 2020年
秋原家。亜珠沙の妹、秋原莉々。
莉々 「何年ぶりなの?」
亜珠沙 「わからない。卒業してからほとんど会ってない人ばっかだし」
莉々 「じゃぁ10年くらい?」
亜珠沙 「分からない」
莉々 「なんでお姉ちゃんってなんでも分からないで済ますの」
亜珠沙 「本当に分からないんだもん」
莉々 「それで本当に行けるのー?」
亜珠沙 「行けるよ。大丈夫」
莉々 「ふーん。あ、そういえばさ」
亜珠沙 「ん?」
莉々 「今日ね。ご飯休憩で職場の周りウロウロしてたらチャリに乗ってるネパール人に声かけられて、私を指さして『見たことある』っていきなり。『知らないよ』って言ったのに『知ってる』『近所で働いてる』って言われたの」
亜珠沙 「え、怖っ」
莉々 「怖いでしょ。でナンパだと思うじゃん」
亜珠沙 「え、違うの?」
莉々 「そのネパール人が『カレー屋やってるから来るか』 って。行ったらまだ開店してないのに、開けてくれて、カレー食べた。普通にカレー食べて終わった。そんだけ」
亜珠沙「何それ。ナンパじゃないのかよ」
莉々 「え、思うよね。私も一瞬思っちゃってめちゃ勘違いでウケた」
亜珠沙「でもなんで話しかけてきたの?多少なりとも女として見てたからじゃない」
莉々 「いや違うでしょ。本当に見たことあるから話しかけてきただけだよ」
亜珠沙「ふーん。え、でもなんかいいじゃんそういう出会い。それが後の旦那になったりして」
莉々 「なんないよ」
亜珠沙 「ネパール人の旦那か。え、あんたネパール人でいいの?」
莉々 「でいいの、って失礼でしょネパール人に」
亜珠沙 「じゃぁ何人がいいの?」
莉々 「別に何人でも良いよ、好きになった人なら」
亜珠沙「え、国際結婚アリ派?有りなら選びなよもっと、パリとか、イタリアとかニューヨークとか」
莉々 「チョイス古っ。いかにも平成って感じ」
亜珠沙「令和はネパール人なのかい?」
莉々 「令和は多様性です」
亜珠沙 「あぁ」
莉々 「別に結婚しないし、興味ないから」
亜珠沙 「結婚に?」
莉々 「ネパール人に」
亜珠沙 「あぁ」
莉々 「私の人生に、あのネパール人はこの先も出てこないよ、あのカレー屋に行かない限りね」
亜珠沙 「ふーん」
莉々 「でも面白い出会いだったなぁ」
亜珠沙 「そう思うってことは何か意味があったんじゃない?」
莉々 「ないよ意味なんて。たまたま見かけてたまたま声かけられただけだよ」
亜珠沙「いや、無意識でもそれはきっとなんかしらの意味はあるはず」
莉々 「そうかな」
亜珠沙「そうだよ」
莉々 「(吹き出す)」
亜珠沙「ん?」
莉々 「なんかさ、意味を持たせたがる人、多いよね」
亜珠沙 「え?」
莉々 「偶然じゃなくて必然と思いたい勢というか。『あの 時のあれが今になってこうなった』とか、なんか好きじゃんみんな。伏線とか振りオチとか」
亜珠沙「あぁ、でもそう考えた方が楽しいじゃん」
莉々 「まぁね。人生って無意味な時間を、ただ埋め合わせるだけの作業だもんね。そう考えたくもなるのか」
亜珠沙「ずいぶんドライだね」
莉々 「そうじゃなくて、人生に意味があるかも知れない、 って思えて救われる、ってことはさ、人生に意味なんてないってどこかで自覚してる証拠じゃん」
亜珠沙「どゆこと?」
莉々 「だから。人生なんて無意味だって思っちゃったらなんのために生きてるか分からないから、伏線回収とか意味を出してくれるものに救われたりするってこと」
亜珠沙「難しいこと言うね。途中から良く分からなかった。 普段そんなこと考えながら生きてるの?」
莉々 「いや、これはなんかで読んだだけ。私は別になんも考えてないよ。まぁ共感はできるけど」
亜珠沙「ふーん。でも、意味はあると思うなぁ」
莉々 「それならそれでいいんじゃない。私もそのうち考えが変わるかもしれないし」
亜珠沙 「うん。そしたら今日の会話も意味があったことになるね」
莉々 「そうかもね。それこそ、今度の集まりも何か意味あるものなんじゃない?」
亜珠沙 「それはわかんないけどね」
莉々 「なんでよ。言ってること違うじゃん」
亜珠沙 「確かに」
2人、笑う。
亜珠沙 「妹の話はいつもまどろっこしくて、聞いているだけで頭から煙が出ます。まぁ私の脳みそが小さすぎるのも原因かもしれませんが。そんな時間が楽しかったりします。そこから数日経ち、余興の集まりの日。大学の同期たちと1人の若い女の子がいました」
× × ×
余興練習 2020年3月
レンタルスタジオ。
披露宴1週間前。亜珠沙の大学時代の友人が集う。
(蘭由依香、土岐桔穂、葛西美奈絵。)
大学生・羽那生凛は少し緊張した面持ち。
土岐、カメラのチェックをする。
亜珠沙 「何してるの?」
土岐 「メイキング。余興終わってから渡す用の」
亜珠沙 「え、あんたが編集するの」
土岐 「簡単にね。そんな凝ったのは無理だよ」
亜珠沙 「すご。あんたそんなの出来るの。電気マンじゃん」
土岐 「は?電気マン?……よし。あぁ別に気にしないでいいからね。適当に」
蘭、台本を用意する。
亜珠沙 「旦那と順調?」
葛西 「うんまぁ」
亜珠沙 「子ども今いくつ?」
葛西 「上が今年7歳で、下が5歳と3歳」
亜珠沙 「え、3人もいるの!?」
葛西 「そうだよー。ばりばりママやってるよ」
亜珠沙 「あれ、結婚したのいつだっけ?」
葛西 「8年前?そろそろ10年か」
亜珠沙 「まじか」
土岐 「もうそんな経つんだ」
葛西 「早いよねー」
蘭 「あったあった」
羽那生 「あ、私配ります」
蘭 「ありがと」
羽那生、台本を渡す。亜珠沙、熟読。
一同 「ありがとー」
蘭 「あ。このスタジオの近くにケーキ屋あったよ」
土岐 「まじ?」
蘭 「うん、めちゃ美味しそうだった」
土岐 「いいなー」
蘭 「終わったら行こうよ」
土岐 「いいね」
蘭 「そうそう、凛ちゃんには最後、生徒代表として手紙を渡してもらおうかと思ってます」
一同 「あー」
亜珠沙「手紙ね」
羽那生「よろしくお願いします」
葛西 「昔よくもらったわ」
土岐 「そうかも」
蘭 「あの子好きよね、手紙」
羽那生「卒業の時も、生徒1人1人にお手紙をくれました」
土岐 「今もやってるんだ」
葛西 「折り方からこだわったやつね」
羽那生「はい。お守りみたいにしてくれて。今でも持ってます」
葛西 「生徒の鏡」
土岐 「そんなん聞いたらひまり泣くよ」
羽那生「いえいえ」
亜珠沙「ん?この子はなんの生徒だったの?」
蘭 「え?ひまりの教え子だよ」
亜珠沙「教え子?」
葛西 「え?知らなかったの?」
亜珠沙「全然知らなかった。ひまり今何してるの?」
葛西 「音楽の先生」
蘭 「あと演劇部の顧問」
亜珠沙「そうなんだ。いつから?」
葛西 「もう結構前だよ。2〜3年くらい前じゃない?」
亜珠沙「へぇー」
土岐 「いつから止まってるの?」
蘭 「しかも凛ちゃんはうちらと同じ大学なんだよ」
一同 「へぇー」
蘭 「ひまりに憧れて決めたんだって」
羽那生「あぁ、まぁ、そうですね」
亜珠沙「凛ちゃん、何期なの?」
羽那生「90期です」
一同 「90期!?」
亜珠沙「はぁーーーーーー90。こわ」
土岐 「90か」
蘭 「うちら歳取ったね」
土岐 「そりゃそうだよ。90だもん」
羽那生「皆さんは何期なんですか?」
亜珠沙「聞きたい?78」
羽那生「あぁ」
土岐 「何個離れてるんだ?」
亜珠沙「12?え。ちょっと待って。凛ちゃん干支何?」
羽那生「辰です」
一同 「辰!?」
亜珠沙「はぁーーーーー……」
土岐 「辰……」
葛西 「干支一周だね」
羽那生「……」
蘭 「え、聞くの怖いけど、聞いていい?」
羽那生 「はい」
蘭 「……何年生まれ?」
羽那生 「2000年です」
一同 「2000年!!」
亜珠沙 「ノストラダムスじゃん……!」
羽那生 「ノストラダムス?」
亜珠沙 「はぁーーーすごい……」
口々に「恐ろしい」「予言外れて良かった」
など、ブツブツ。
羽那生「あはは……」
蘭 「てことで、90期・辰年・2000年生まれの凛ちゃんと一緒に流れをさくっと確認しちゃお」
一同、台本を見る。
蘭 「まだ台本っていうかプロットって感じなんだけど」
亜珠沙 「だねぇ」
亜珠沙、読む。
亜珠沙 「(読む)新婦役の凛ちゃん、スポットの中で足を抑えて泣いている。そこに新郎役の私がやってくる」
葛西 「2人の出会いのストーリーね」
蘭 「そう」
亜珠沙 「(読みながら)新郎が、『どうしたんですか?お嬢さん』つって、新婦が『怪我をしてしまって、この先の生きる希望をなくしてしまったのです』『それは悲しいですね。頑張ってリハビリして一緒に生きる希望をみつけましょう』え?旦那医者なの?」
蘭 「理学療法士」
土岐 「リハビリの先生よ」
亜珠沙 「へぇー。また良い男を捕まえたね」
葛西 「お金持ち?」
土岐 「いや、そこまで高給取りでもないみたいよ」
亜珠沙 「詳しいね」
土岐 「気になって調べた」
葛西 「わざわざ調べたの?」
土岐 「うん。あぁごめん。で、なんだっけ?」
亜珠沙 「で。(読みながら)ときめきシーン。キラーン。 リハビリ。なんやかんやあって、二人仲良くなっていく。からのナレーション。付き合って、抱き合う 2人。歌ったり踊ったりなんやかんや盛り上げる。 悪魔?が出てきて、新婦を襲う?新婦死んでしまうが、天使が魔法の粉をかけると復活して、なんやかんや2人で乗り越えて、新郎がプロポーズ。『結婚してください。パカッ』新婦、昇天。『ハァァ…… 生きる希望、見つかったわ』『ぼくも』『生きる希望、一緒に見つけてくれてありがとう』『……これからも僕の希望でいてください』『よろしくお願いします』で、なんやかんや今に至る」
土岐 「ざっくりしてるねー」
蘭 「まぁやりたい内容はわかったでしょ?」
土岐 「なんとなくは」
亜珠沙 「え、これ本当にやる?」
蘭 「やるよ」
亜珠沙 「あぁ……なんか、ちょっと謎すぎるかもね。シュールというか」
葛西 「まぁ確かに」
蘭 「そこはおいおい詰めていこう。初見だし」
亜珠沙 「確かに初見だけど、なんかもっと普通のにしない?」
蘭 「どういうこと?」
突然ドアが開く。一同驚く。
ドアから男が目を丸くして室内を覗く。
お互い様子を伺う。
サプ 「あ……ここ、301ですよね」
葛西 「いや、302ですね」
サプ 「あ!え?あ……。すみません申し訳ない。あーこりゃ失敬。本当に。ははは。(後ろを見て)あっちか。あぁいや鍵空いてたから。はは……(会釈)」
男、出ていく。
葛西 「びっくりしたー」
蘭 「で、なんだっけ?」
土岐 「ストーリーがシュールだって」
亜珠沙 「あーそうそう。だから、ストーリーはなくてもさ、みんなで歌うだけとかで良いでしょ。桔穂がピアノ弾いて」
土岐 「私弾くの?」
亜珠沙 「うん。くだらないの観せるより良いんじゃない?」
土岐 「あぁ」
蘭 「確かにコメディタッチにしたからくだらないかも知れないけど、今回はみんな女優として出てもらいます」
土岐 「うん。余興なんてくだらなくて良いんじゃな い?失礼なことだけしないようにしてさ」
葛西 「うん。なんか昔に戻ったみたいで良いじゃん」
亜珠沙 「大丈夫かな。ね?」
羽那生 「あぁ、どうなんでしょうね?はは」
亜珠沙 「ほら、困ってるじゃん」
羽那生 「いえいえ」
蘭 「そんなことないよね」
羽那生 「はい」
蘭 「ほら」
亜珠沙 「えーっ!?」
葛西 「凛ちゃんは、結婚式には出たことあるの?」
羽那生 「小さい頃に親戚のに出たことはありますけど、どんな感じか全然覚えてないです」
葛西 「じゃぁ実質初参加か」
蘭 「まだ19だもんね」
羽那生 「はい。なので、楽しみですけど緊張します」
土岐 「それで余興も出るのか」
葛西 「そりゃ緊張するよ」
羽那生 「はい。余興って、こんな感じで結構弾けたノリが多いんですか?」
亜珠沙 「いや、人によるんじゃない?」
蘭 「でもひまりは、『あんまり式とか気にせず、美奈絵の時みたいにうちららしい余興にしてほしい』って言ってたよ。NGもほぼないって。うちらに頼ん だってことはそういうことでしょ」
葛西 「懐かしいー、あの余興もやばかったよね」
土岐 「ひまりっぽいわー」
蘭 「だから、肩肘張らずに参加すれば大丈夫だよ」
羽那生 「そうなんですね。なんか、先生の学生時代のお友達といるのが不思議な感じです」
蘭 「そうよねー。今の凛ちゃんと同じ歳の頃からの付き合いだからね」
葛西 「19からかー。はぁー」
土岐 「変な感じするね」
蘭 「いいなー結婚。ひまりリア充すぎだー」
土岐 「それな」
蘭 「羨ましすぎ」
土岐 「凛ちゃんは結婚願望あるの?」
羽那生 「はい。それなりには」
蘭 「じゃぁ早く良い男見つけて結婚するんだよ」
亜珠沙 「うん。売れ残っちゃダメ」
羽那生 「やっぱ結婚ってした方がいいですかね?」
蘭 「うん!したいなら絶対した方がいい」
亜珠沙 「売れ残ってからはしんどいよ」
土岐 「わかる〜」
羽那生 「売れ残るってすごい表現ですね」
亜珠沙 「私らは売れ残り商品だから。もう新品の棚に並んでても、なかなかどうして誰も買ってくれないの」
蘭 「中古の棚に並んだらまだ負けない自信あるけどね」
亜珠沙 「中古の品揃えによるよね」
土岐 「もう新品には負けるよね」
3人、「わかるー」などきゃっきゃ。
葛西 「ちょっと、そんな悲しい話を楽しげにしないで」
亜珠沙 「お買い上げ商品はおだまりなさい」
葛西 「あい、毎度アリ」
3人、爆笑。
羽那生 「ははは」
亜珠沙 「あ。うん。だめだね。この話は無限にできちゃうね」
土岐 「うん。できちゃう」
蘭 「そうね。やめよう。2000年生まれに聞かせる話じゃないね」
亜珠沙 「なんかごめんねぇ」
3人 「あははは」
羽那生 「あはは……」
亜珠沙 「まぁあんたも10年後わかるよ」
羽那生 「ははは……」
土岐 「式場でイケメン見つけたら、捕まえときなよ」
葛西 「もう凛ちゃん引いてるから」
羽那生 「あ、いえいえ」
葛西 「ごめんねぇ。せっかく来てくれたのにこんな話ばっか聞かせて」
羽那生 「いえ、色々聞けて為になります」
亜珠沙 「真面目」
葛西 「ほら、脱線しないで。やろ」
一同 「そうね」
亜珠沙 「てかさ、余興のNGのライン調べておいた方が良くない?」
葛西 「確かに。一応確認しておこうか」
葛西、スマホで調べる。
蘭 「ひまりってさ、どんな先生だったの?」
羽那生 「どんな先生?うーん……優しい先生でした。常に同じ目線というか、決めつけで物を言わないし」
土岐 「あーわかるわかる」
羽那生 「私、本番直前とか結構ピリピリしちゃうんですけど、それで孤立しかけた時とか、先生にめっちゃ助けられました」
蘭 「あ、凛ちゃん、亜珠沙タイプだ」
羽那生 「そうなんですか?」
亜珠沙 「あぁ、昔はそうだったかもなぁ」
蘭 「懐かしいねー。亜珠沙の場合は、授業でクラスメイトがふざけただけで舌打ちしてたからね」
土岐 「最初こわかったよねー」
亜珠沙 「なつかし」
蘭 「ね。今じゃこんなことでもなきゃ集まらなくなったね」
亜珠沙 「昔はしょっちゅう飲み行ったりしてたのにね」
土岐 「確かに」
葛西 「あったあった」
蘭 「お。なんて?」
葛西 「んーと、例えば」
サイトを読む。
葛西 「余興は必ずしも芸達者だけによるものではありません」
土岐 「うちらは芸達者でしょ」
亜珠沙 「うるさい」
葛西 「一番大切なことは、新郎新婦へのお祝いの気持ちが滲みでた余興であることです。手を抜くことなく 一生懸命に祝おうとするその気持ちがお二人へのメッセージになるでしょう」
亜珠沙 「まぁそうだよね」
葛西 「あ。『ちょっと困った余興事例』」
土岐 「気になる」
葛西 「共感性が低い、ゲストが入り込めない1人よがりな内容。新郎新婦に負担や手間をかけさせる内容。 新郎新婦がゲストの前で暴露されて困る内容」
一同 「あー」
葛西 「うちらの大丈夫かな?」
亜珠沙 「これちょっと共感性低くない?なんか新婦死ぬし」
蘭 「新郎新婦おめでとう的なことだけじゃ薄いのか」
亜珠沙 「いや、それ以外の謎な蛇足が多いんだと思う。魔法の粉とかさ」
蘭 「そうかな?」
亜珠沙 「うん」
葛西 「まぁ確かに謎な気もするけど」
土岐 「難しいな……」
一同 「うーん」
一同、考える。少しの沈黙。
赤いドレスの女たちが背後に出てくる。
亜珠沙 「普通にスピーチとかじゃだめなの?なんか無理して芝居をやる必要ないんじゃない?」
蘭 「でもまだ時間あるし、ここから考えてみない?」
亜珠沙 「うーん……。え、式っていつ?」
羽那生 「…え?」
亜珠沙 「いや、だから、結婚式。いつなの?」
3人 「あぁ……」
羽那生 「来週ですけど」
亜珠沙 「来週!?」
羽那生 「……知らなかったんですか?」
亜珠沙 「うん。え。絶対間に合わないよ……」
蘭 「そうだよねぇ」
亜珠沙 「え、来週……」
一同 「……」
蘭 「あぁ私がいきなり誘ったから。ごめんね言ってなくて」
亜珠沙 「……ううん」
赤いドレスの女たち、口々に亜珠沙を罵る。
静かに、厳しく、激しく。嘲笑う者も。
「何来てるの」「自惚れんな」「都合良い女」
「あなたはここにいちゃいけない女」など。
照明あずさのみに絞り、
亜珠沙 「私はここにいちゃいけない女……!」
一同 「え?」
赤いドレスの女たちはいない。
亜珠沙 「ごめん。ちょっと酸素吸ってきても良い?」
蘭 「どうぞ」
羽那生 「酸素?」
葛西 「タバコ」
亜珠沙、外へ。出ていくのを確認し、
土岐 「え、大丈夫なのこれ」
蘭 「大丈夫でしょ。なんとかなるって」
土岐 「いやいや」
葛西 「多分。招待状来てるの確認してなかったとかだよね?ひまりから亜珠沙のこと招待してるよね?」
蘭 「してないよ」
羽那生 「え?」
蘭 「まさか来てくれるとは、思わなかったもん」
× × ×
*******(ここまで)*******
続きは本番をご覧いただくか、
オンラインショップで台本をお買い求めください!
https://ofcha.theshop.jp/items/53594066
【公演情報】
おぶちゃpresents
「Bittersweet Flowers」
【あらすじ】
披露宴の余興の練習。
新婦のお祝いのため、数年ぶりに集う女たち。
新婦はかつて学校の人気者だったが、
現在は学校の教師として静かに暮らす。
今はそれぞれの道に進み、
懐かしさで思い出話に花が咲く女たち。
と、1人の女が口を開く。
「ごめん。私、本当はここにいちゃいけない女なの」
垣間見える、新婦と女たちの心の溝。
かつて一花咲かせるため切磋琢磨した女たちの、甘くほろ苦い物語。
【日程】
2021年11月3日(水)〜7日(日)
3(水)19:00★
4(木)19:00☆
5(金)14:00☆/19:00☆
6(土)13:00/18:00
7(日)12:00/16:00⭐︎
★=配信回、アフタートークあり。
☆=アフタートークあり。
※受付は開演の60分前・開場は開演の30分前です。
【出演】
tamico. 尾崎礼香 田中菜々 河口舞華 宇野仁美 岡野きらら 真田真帆 小野里茉莉 凪原志音 鈴木莉菜 荒木凪瑳 大部恭平
【観劇チケット】
通常席:5,000円
特典付き席:6,500円
★特典内容★
①希望キャストの印刷サイン入り非売品ブロマイド
②前方座席の優先確保
(遅れてのご来場になる場合、ご希望に添えない場合がございます)
[観劇チケット]
https://ticket.corich.jp/apply/114437/
※日時指定、全席指定席(座席の指定はできません、ご了承ください)
◆会場:劇場MOMO
( 〒164-0001 東京都中野区中野3丁目22−8)
中野駅南口より徒歩5分。
※駐車設備はありません。車、バイクでのご来場はご遠慮下さい。
【生配信公演】
おぶちゃpresents「Bittersweet Flowers」の生配信を、スマートフォン・PCからご覧いただけます。
●販売期間:10月18日(月)21:00〜11月14日(日)22:00
2021年11月3日(水)19時の回
●配信時間:11月3日(水)18:50〜20:30
●アーカイブ配信期間:11月3日(水)20:30〜11月14日(日)23:59
2021年11月7日(日)16時の回
●配信時間:11月7日(日)15:50〜17:30
●アーカイブ配信期間:11月7日(日)17:30〜11月14日(日)23:59
※ご購入のタイミング、視聴開始のタイミングに関わらず、11月14日(日)23:59以降は映像の再生はいただけません。
◎生配信チケット(アーカイブ1週間見放題)
3500円(税込)
[配信チケット]
https://ofcha.theshop.jp/items/52224388
【出演者への祝い花、プレゼントにつきまして】
本公演では、スペースの関係上、お客様からのスタンド花・アレンジメント(楽屋花含む)共にお祝い花をお断りしております。何卒、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
感染症予防の観点から出演者のプレゼント等についてはお受け取りすることができません。
代わりに「祝電&引き出物パック」と称したキャスト応援システムがございます。3つのコースからお選びいただけます。是非ご利用ください。
◎松コース[限定5セット]
http://ofcha.theshop.jp/items/52004700
◎竹コース
http://ofcha.theshop.jp/items/52003443
◎梅コース
http://ofcha.theshop.jp/items/52000940
※売上一部をキャストに還元します♻︎
皆様に、安全に快適にご観劇いただけますよう、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
その他グッズも販売中!
https://ofcha.theshop.jp/
企画・製作:おぶちゃ