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ピーター・ティールがもっとも恐れていること【Off Topic Ep240】
宮武徹郎と草野美木が、アメリカを中心とした最新テクノロジーやスタートアップビジネスの情報を、広く掘り下げながら紹介するポッドキャスト「Off Topic」。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップして再構成したものをお届けする。
今回は「#240 【PART3】ピーター・ティールが最も恐れているシナリオ」から。彼が、イノベーションが減速していると主張し続けるのは、彼がもっとも恐れているシナリオを避けたいと願っているからであると、宮武は語る。では、そのもっとも恐れているシナリオとは何か? 「いま足りていないのは天才ではなく、勇気をもった人間である」というティールの言葉から、社会的分裂の根底にあるイノベーション減速の背景を紐解いていく。
イノベーションと社会的分裂
ピーター・ティールは、アメリカにおけるイノベーションが過去50年間で減速していると一貫して主張している。表面的には、アメリカは他国と比べて依然として優位に立っており、特にソフトウェア分野での急成長が目立つため、多くの人はこの減速を感じにくい。しかし、ティールは全体的なイノベーションの勢いが鈍化していると見ており、それがアメリカ社会の分裂を招いているとも考えている。
ティールの見解によれば、イノベーションが進んでいる時期には、新たな成長が生まれ、それに伴い予算や資源が豊富に分配されるため、社会的な不満や対立が抑えられる。豊かさが広く行き渡る状況では、リスクや問題があっても分裂は生じにくい。しかし、イノベーションが減速すると、成長から取り残される層が現れ、不満が蓄積され、社会的分裂が生じる。そして、その分裂がポピュリズムの台頭を促し、課題に対するスケープゴートが生まれるという悪循環が生まれる。
このような状況は、企業内でも同様に見られると、宮武は指摘する。例えば、経済状況が悪化した際に、スタートアップが全社員の給与を10%削減する決定を下した場合、社員の一部はその決定を受け入れる一方で、不満を抱く者も出てくる。「なぜ我々が10%削減されなければならないのか」といった対立が生じるのは、成長が停滞し、リソースが限られる中でのゼロサムゲームが原因にある。成長していないからこそ、限られたリソースを巡って争いが生じ、それが分裂を深める要因となるのだ。
ティールが危険視する「イノベーションは起き続けている」という幻想
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