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【きーすさんもお手上げ!? ” プレスをかけさせてもらえない” チームの正体とは?】

━━━━━━ 140字じゃ語れないことがある

そんな思いを持っている方々の、それでも140字に詰め込んだ思いや感情、価値観を深掘る企画「140字じゃ語れないことがある」。

Twitterフォロワー4,000人を超え、育成年代を指導する現場の声として数々の共感を生むツイートや記事を投稿されてきた “きーすさん” をお招きしています。

▼第三章の記事↓↓(まだ読まれていない方は、ぜひ一読ください!)

今回は、「ペップ・バルサ」をヒントに「駆け引き」について存分にお話しいただきました。
最終章はこれまでとは一味違い、より “サッカー” に特化した内容になっています。

ぜひ、お楽しみください!

※インタビュアー:後藤 魁斗(ゴトウ カイト) / OFF THE PITCH Staff
※インタビュー日:2021年8月3日(火)

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【 守備側を “負のループ” に陥れるサッカーとは? 】


◉きーすさん:

そういえば、前にめちゃくちゃいいチームと対戦したことがあったな。
こっちがプレスに行ってボールを奪おうとしても、全然奪えなくて。
一見ゆっくり攻めているから、外野からは「もっとプレス行けよ!」って声が上がるんだけど、完全にこちらのプレス止められて相手の思うままに攻撃されたんよね。


◎後藤:
興味深いですねそれは!
きーすさんから見て、なぜそのチームはプレスをかわして攻めることができたんだと思いますか?


◉きーすさん:
う〜ん、どうだろうな・・・
一番は、「止まる」ってのが大きいかな。


◎後藤:

止まる・・・ですか!?


◉きーすさん:
そう。
相手が止まるから、こっちも止まってしまうっていう。止まると、何でもできちゃうから。


◎後藤:

なるほど!他にはいかがですか?


◉きーすさん:

あとは、「裏を狙われているから」やな。
ボールを動かしている中でも、10回のうちに1回くらいの頻度で裏を狙ってくる。
やっぱりサッカーは裏取られるのが一番怖いから、残りの9回は迂闊(うかつ)に出られなくなる。
一つ目の「止まる」も相まって、こっちが全然プレスにいけなくなってしまう。


◎後藤:
チーム単位で駆け引きをしていたんですね。


◉きーすさん:
まさにそう。
それこそ、約10年前の「ペップ・バルサ」がまさにそうだった。
当時のバルサは、もちろんポゼッションもすごいしメッシもすごいんだけど、それ以上に「相手のプレスを無効にしちゃうこと」が一番すごいと僕は思ったな。


◎後藤:
当時のバルサと対戦したチームは、プレスに行こうとしてるのに行けない感じがすごくありましたよね。


◉きーすさん:
下手にプレスに行けずにもどかしく守備していたら、気づけばゴール前に張り付けられて、左右に振り回されて、シャビかイニエスタがスルーパス出してメッシがサクッと決めちゃう。


◎後藤:
試合の印象としてはゆっくりでしたよね。
それも、先ほどきーすさんがおっしゃっていた「止まる」ということが関係していそうですね。


◉きーすさん:
そうやな。
そんでゆっくり回してるかと思えば、CBのピケから一本裏も狙われてしまう。
常に裏を狙われるとなると、最終ラインを上げにくくなり、コンパクトになれないからプレスも行けず、守備側はもうお手上げ状態になってしまうな。


◎後藤:
みんなが憧れるけど体現するのが難しいサッカーですよね・・・
でも、そんな当時のバルサに似たようなサッカーをするチームと対戦されたのは羨ましいです!


◉きーすさん:
ほんとに貴重な経験になったよ。
後藤くん言ってくれたように、これができるチームも指導者も少ない。
現場でも見ない。
だから、すごく興味を持った。
当時僕がいたチームが「プレス」を一番大事にしてたから、J下部とやってもプレスは止められなかったのに、そのチーム相手には止められたから本当に衝撃だった。

いわゆる、「駆け引きが上手い」ってこういうことやな〜と思ったな。


◎後藤:
こういうサッカーされると、本当に守備側はストレスになりますよね!


◉きーすさん:
飛び込めばハズされるし、行かなきゃ止まられる。
止まられるとどうしても誘われて引っ張り出されて、引っ張り出されたらその背後を取られる。
その間ずっと最終ラインの裏も狙われてるから、それが怖いから行かざるを得なくて行くと、またハズされる・・・


◎後藤:
もう負のループに入りますね。笑


【 “駆け引き” の魅力は、“サッカー” の魅力 】


◎後藤:
イニエスタなんかは、その駆け引きを “個人” でやってるのだと思いました。


◉きーすさん:
そうやね、そう思う。
イニエスタは、目に見える結果はメッシやロナウドに比較したら劣るけど、出場時の勝率なんかはめちゃくちゃ高くて、本当にスーパースターだなーって思うな。


◎後藤:
まさにですよね。
僕個人的に、イニエスタって相手を止めたい時に、身体を「横」に向けるんじゃなくて「相手の正面」に向けてプレーしているのが印象的です。
もし相手がプレスに来るのであれば、得意のダブルタッチで一瞬でかわせます。
これによって、相手は下手にプレスに行けずに止まらざるを得ないっていう!


◉きーすさん:
まさにそれあるね。
「イニエスタによる、相手を止めてしまうプレーシリーズ」で言ったら、やっぱり一番はシンプルに「行くフリ」やない?


◎後藤:
「行くフリ」ですか!?(なんですかそのシリーズ!笑)


◉きーすさん:
そう。
前に行こうとすると相手は身構えるから、それだけで相手は止まってくれる。

だから僕は指導で「相手に向かって行け!」って言う。そんで、「行っといて止めろ!」って。
自分に向かって来られると、相手は「ヤバイ来る!」って思って止まらざるを得ないっていう。


◎後藤:
なるほど!
そう考えると、やっぱりイニエスタは「相手を止めてしまう達人」ですね。
相手を止めてしまえば、こっちが主導権を握ることができるっていう。


◉きーすさん:
だから、結局は「駆け引き」やな。
イニエスタのように個人でやることもできるし、それをチーム全体でやればあの時代のバルセロナみたいになるのかなって。


◎後藤:
おもしろいです!

きーすさんが指導している「育成年代」のチームも、やはり「駆け引き」を重視してサッカーを教えていったほうがいいと思いますか?


◉きーすさん:
「駆け引き」に重きを置いたサッカーをすることのメリットって、「球際強い」とか「足が速い」とか、いわゆるフィジカル的要素が関係なくなることだと思うんよね。
それこそ、イニエスタなんかまさにそう。足も速くないし体も強くないけど、相手とぶつからへんし、ヨーイドンで競争にもならへんし。
でも、タイミングをズラしたり、今日の話題でもあったように相手を止まらせちゃってたり、とにかく「駆け引き」が上手いからフィジカル要素を無効化できるんよね。


◎後藤:
なるほど。


◉きーすさん:
もちろん、フィジカルゴリゴリのサッカーも魅力はあると思う。
速くて力強いサッカーはスペクタクルだし、それが良いっていう価値観も素敵だと思う。
でも、僕個人としては、「駆け引き」を重視するサッカーの方が、サッカーの奥深さというか、サッカーの無限の魅力があるような気がしているよ。


◎後藤:
そういった考え方が、きーすさんの日々の指導観にも現れているんでしょうか?


◉きーすさん:
そうやね。
僕も大人になって初めてこういうサッカーに出会って衝撃を受けた。
選手たちにそれを教えたら、「サッカーってこんなに奥深いんや!」って喜んでサッカーを楽しんでくれる。
そうやって選手たちがキラキラした顔でサッカーしてるのを見るのがすごくやりがいあるからこそ、今は「駆け引き」の観点を軸にして教えてるかな。


◎後藤:
ありがとうございます!
「駆け引き」を上手く指導することができた先に、より良い育成のヒントがあるのかなと思いました。僕も、日々の指導に活かしてみます!

全4章の長丁場となりましたが、きーすさんの魅力を存分に感じることができました。
ぜひまたインタビューさせてください!


◉きーすさん:
こちらこそありがとう!
ぜひ!僕も指導者としてまだまだ修行中なので、また何か発見があったりしたら共有します!

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きーすさん、本当にありがとうございました!


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「駆け引きが上手い」とは一体どういうことなのか、具体的な部分で気づきがあったのではないでしょうか?

Twitterでは歯に衣着せぬ投稿をされているきーすさん。
しかし、実際にお話しさせていただくと、Twitterのままだなと思うと同時に、指導に対して本当に謙虚に向上心を持たれていて、何よりもとことん選手想いの温かい指導者なんだなと感じさせられました。

きーすさんのように、自分の意見や軸を持ちながら、選手の成長を第一に考えられる指導者が増えればと願っています。


ここまでお読みいただいた皆さん、ありがとうございました!

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<ゲスト紹介>

◉きーす 氏
・Twitter:https://twitter.com/keith00096?s=21
・note:https://note.com/noritama96

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<運営紹介>

◎ 一般社団法人FiC
「WORK WITH PRIDE 〜誇りと共に働く〜」をコンセプトに、日本サッカー界で起きている様々な問題を解決するべく、サッカー指導者が総合的に学べるコミュニティ事業を展開。10代〜40代まで幅広い年代の、サッカーや指導に想いを持つメンバーが所属する。
現在は、関東圏のみならず関西、そして全国に200名以上の会員を抱え、サッカー指導者が学べる機会や情報のほか、会員一人一人のキャリア支援や、講演会をはじめとしたイベントの企画/運営も実施している。
2021年7月に大阪支部がスタートし、2021年秋には第6期生を募集予定。

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<作成>
◎編集/構成:八田 凌雅


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