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Spencer Dickinson – Spencer Dickinson
2001年に発表。
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当時、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンで旬を超えた感があったジョン・スペンサーが、初見でガツンときたノース・ミシシッピ・オールスターズのコーディとルーサーのディッキンソン兄弟(リズム隊)と組んだバンドだ。
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ディッキンソン兄弟は、メンフィスの大物プロデューサー、ジム・ディッキンソンの息子。血を裏切らないソウル&ブルースフィーリングにあふれた「血が沸き立つような」グルーヴを生み出している。さらに、制約の多いJSBXから離れて自由を手にしたジョンが思い切り吠えている。オールドロックをモダンにしたスタイルで、JSBXよりもわかりやすいメロディの曲が多く、親しみやすくノリやすい。ジョンが非常に躍動している。
現在では、配信サービスにも入っていないため、完全に歴史の陰に隠れた感があるが、クラシックロックのフォーミュラが00年代でも全然通用することを証明した素晴らしい作品である。
この後、ジョン・スペンサーは急激に力を失っていく。日本のミッシェルやブルーハーツなどもそうだが、血管が切れそうなエネルギーを注ぎ込んだロックは、長くは続かない刹那の華だ。