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2000年代洋楽、オルタナ目線での名曲30
twitter(現X)の企画 #00年代洋楽ベストソング100 に参加した際の筆者の「00年代洋楽名曲」30曲が以下。1アーティストにつき1曲とした。
ストレートに頭に浮かんだ曲をガンガン選んでいって、最終的に削ぎ落とした。時代を反映した王道のプレイリストになったと思う。
1.Wilco - Everlasting Everything
90年代後半から00年代にかけて、60〜70年代のアーティストと変わらないクオリティでロックな名曲を連発したのがウィルコ。この曲は、ロック的なエキセントリックさと、スケールのデカさと、美メロが炸裂したウィルコらしさ全開の名曲だ。
2.Elliott Smith - Easy Way Out
エリオット・スミスのスタイルはシンプルだが、結局誰も継承できていない。ギリギリのところで紡がれるメロディと透明感のある歌声は唯一無比だ。オルタナロックのエモく繊細な部分の、純度を高めまくった結果がこれだ。大きな犠牲を伴ったが・・・。聴けない時期が長かったが、ようやく距離を置いて作品を楽しめるようになった。
3.Coldplay - Yellow
夜明けの海岸を歩くクリス・マーティンが印象的なMVで初めてこの曲に触れて「なんつう名曲だ」と絶句、何回も繰り返し視聴したことをはっきりと覚えている。繊細なメロディから、カート・コバーンやトム・ヨーク、エリオット・スミスに近い感性の持ち主かと思ったら、第一回サマソニで来日した際のポジティブな感じにぶっ飛んだ。この曲を聞いた時点では、その後の活躍まで読めなかったな。
4.Badly Drawn Boy - Silent Sigh
「酔っ払い詩人」なんて代名詞で呼ばれていたメロディ・メイカー。酩酊感を通り越した圧倒的な透明感が最高な名曲だ。
ニック・ホーンビィ原作「アバウト・ア・ボーイ」のサントラの中の1曲。「アバウト・ア・ボーイ」はストーリーの中でカート・コバーンやボン・ジョビが大きな役割を果たすなど、非常にロックな映画だった。「午前十時の映画祭」で再上映しないかな。
5.The Killers - Somebody Told Me
2024年のフジロック、圧巻のステージで日本におけるアーティストレベルを一気にぶち上げたキラーズ。初っ端で演奏されたグループを代表する名曲。ロス出身のくせにやたらとUKっぽい。サビ前の「ダンダン」という2連発のドラムが好きだ。
6.The Kooks - She Moves In Her Own Way
ソングライティングの能力が非常に高いUKロックバンド。バンドを代表する名曲。そこら辺を散歩しながら聴きたい感じ。何も背負っていない気楽な名曲で、孤独のグルメ的に言えば「こういうのでいいだよ、こういうので」ってやつだ。
7.The Coral - In the Morning
デビュー当時はミステリアスな曲を作るやたらとサイケデリックなバンドという感じだったが、2枚目以降徐々に真価を発揮し、SFA等と同様にビートルズが比較対象に挙げられる正統派UKサイケロックバンドになった。根幹にあるのは素晴らしいメロディだ。
この曲は朝のサイケデリックな感じを、耳に優しい音でポップに表現している。クオリティは相当で、サージェントペッパーズに入っていてもおかしくない名曲だ。
ちなみに、この曲が入っているアルバム「The Invisible Invasion」のプロデュースはポーティスヘッドのエイドリアン・アトリーとジェフ・バーロウ。いい塩梅にハマっている。
8.Grandaddy - Hewletts Daughter
日常の延長上にあるサイケという感じでとても好きだったバンド。1stと2ndは唯一無比の大傑作だ。独特の穏やかな音に、空間を歪ませ、色を変えるぐらいのパワーがある。この曲は2ndを代表する曲だが、このバンドの良さがストレートに出ている佳曲だ。
未だに強烈に覚えている第一回サマーソニックの地獄の体育館ステージで、灼熱の中の扇風機のような存在だった。
9.The Vines - Winning Days
あえて言ってしまうと、ニルヴァーナの混沌とエリオット・スミスの繊細さを併せ持ったバンド。死にそうなメロディは、エリオット、ブライアン・ウィルソン、ニック・ドレイクと並べて良い程素晴らしい。
この曲はウタ、メロディがあの世と現世を言ったり来たりする感じで圧倒的、ロック的な高揚感を持ったアレンジと凄く合っている。サイケデリック・ロックバラッドの傑曲で、もっと評価されるべき。
2ndアルバムは酩酊ロックの傑作だ。
10.Portishead - The Rip
08年発表の「third」は、それまでのシアトリカルな要素に加え、ニューウェイヴ・パンクに寄せた音になっていて、個人的にはポーティスヘッドのカタログの中で一番好きだ。
この曲は、ドロドロした情念に対しサウンドのクールさが優っている感じで、盛り上がりそうになりながらそのまま終わってしまう中途半端さも良い。この先が見たいが。
11.The Raconteurs - Steady As She Goes
ホワイトストライプスやジャックのソロは、ロック過ぎてちょっと聴きづらい。パワーポップの雄として日本で人気が高いブレンダン・ベンソンを相方に迎えたこの4人組は、ブレンダンの持つポップさがいい感じにジャックの毒気を消していて、良い塩梅。ドラム・ベースのバタバタ感もグルーヴがあって、シンプルにロックの楽しさを伝えてくれるバンドだ。
フジロックの夕方グリーンでこの曲が鳴り響いた時の高揚感、未だにリアルだ。
12.The Libertines - Music When The Lights Go Out
リバティーンズは、パンクの疾走感とロック的ながらメロディアスな二面性を高いレベルで合わせ持ったバンドで、幾つも素晴らしい曲がある。曲の出来でいえば、オアシスよりもずっとビートルズに近いバンドだと思う。この曲の、サイケながらUK独特の品がある感じのメロディ、最高だ。
ゴシップの餌食となってあっという間に全盛期が終わってしまったのがほんとに残念だ。
13.The Strokes - Juicebox
ベースをフィーチャーしたクソかっこいい曲。激しくシャウトするジュリアンのボーカルも良い。この曲が収録された3RDは、ハードロックに少し寄った内容で賛否があったが、俺はキャリアの中でもかなり好きな作品。ストロークスは常にちょっと未来的なサウンドなのが最高。
14.Radio 4 - Dance To The Underground
DFAがプロデュースした「Gotham!」。その前にシングルでヒットしたのがこの曲。DFAなニューウェイヴ+ダンスなサウンドが無茶苦茶かっこいい。00年代前半にちょっとしたブームとなったこの手のサウンド、凄く好きだった。踊れるしロック的なかっこよさもある。このバンドはDFA界隈でも、ギターサウンドがリアルで好きだったな。
15.LCD Soundsystem - Yeah
04年にリリース。DFAサウンドの象徴とも言える名曲で、エッジの効いたニューウェイヴなダンスサウンドにフックの効いたメロディが気持ち良い。間違いなく00年代の顔役。俺は大好きです。
16.Doves - There Goes The Fear
どきゅんと遠くへ飛ばされるような唯一無比のトリップ感、覚醒感。
一方で、UKのロックバンドらしく、ライブ(フジロック)は全然大したことがなかった。苦労人がスタジオワークの末たどり着いた「最果ての音」だ。未だに圧倒的な破壊力を持つスーパーチューン。
17.Daft Punk - One More Time
暗い90年代をサヴァイヴしたオーディエンス全員を祝福するような、00年代を代表するオートチューンのフレンチハウス。光の洪水の中で音を浴びているような多幸感が、素面でもはっきり体感できる。永遠に鳴り続ける音楽はないことは知っているが、この歌が流れている間だけは永遠を手にしたかのような錯覚に気持ちよく嵌まれる。
18.Yo La Tengo - You Can Have It All
00年に発表された「And Then Nothing Turned Itself Inside-Out」収録。00年の作品だと思っておたら、アルバムに先駆けて99年にシングルで世に出ていた。更に、ヨラテンゴのオリジナルかと思ったらカバーだった。
いずれにしても、バンドにとってはライブのハイライトの一つとなる重要な曲。夜のしじまにぴったりな、静かで穏やかな名曲だ。
19.Radiohead - 15 Step
07年の「in raibows」は、発表当初はダウンロードでの販売に注目が集まり、中身にあまり話題が向かなかったと記憶している。プロモーションもそれほど活発ではなく、日本では地味なアルバムとして扱われていた感があるが、時間が経つにつれ00年代の重要作品のひとつとして評価が固まりつつある。
アルバムの冒頭を飾るこの曲は、エレクトロニックとロックがしっかり混ざり合い、最終的にレディオヘッドの中でも稀なほどポップに昇華している。09年のグラミー賞でのマーチングバンドとのパフォーマンスは圧巻だった。
20.MGMT - Kids
最高のイントロ。00年代最大の出オチソングとも言える。WEEZER、クークス等多くのバンドがカバーしていることが、この曲の素晴らしさを物語っている。
21.Phoenix - Too Young
素晴らしい1STの一発屋で終わるかと思ったらその後も良い作品を出し続け、パリオリンピックにも登場したのはびっくりした。
22.Röyksopp - Eple
クラブサウンドとポップの融合。ドラムサウンドが気持ち良い。
23.The Postal Service - Such Great Heights
一瞬の花火。最高のエレクトロユニット。復活求む!!
24.U2 - City Of Blinding Lights
90年代からの苦節の末辿り着いた「00年代のWhere the Streets Have No Name」。完璧なアレンジ。
25.The Rapture - House Of Jealous Lovers
ポストパンクなクラブサウンドが、最初は全然わからなかったが、突如「入ってきた」。サマソニでもちょっと異様な感じだったな。00年代の定番。
26.M83 - Graveyard Girl
00年代から今に至るまでシューゲイザーはジャンルの一部からギターロックの主流に成長した。最もポップな亜流、最高にドリーミンだ。
27.Deerhunter - Agoraphobia
こちらもシューゲイザーなサウンド。霞が非常に濃い感じ。ただ霞の奥にあるのは、60年代のソフトロックの狂い方にも近い倒錯した美しいメロディだ。
28.R.E.M. - Imitation Of Life
00年代のR.E.M.はサウンドの形を作っては壊していった。その上で、曲はどんどん自由に磨かれていった。この曲は、バンド史上最もポップな方向に振れ、メロディがマイケル・スタイプを乗せてそのまま空へ消え去るような感じ。いつ聴いても、このバンドには似つかわしくない爽快感がある。
29.the bird and the bee - Again & Again
プロデューサーとして大きな成功を収めるグレッグ・カースティンと、リトルフィートの末裔イナラ・ジョージによるユニット。フェニックス一輝とバルコシャカとの戦いを思い出すような「輪廻」を感じるトリップポップ。宝石のようにキラキラしたアレンジが素晴らしい。
30.mogwai-Take Me Somewhere Nice
00年代初頭にポストロックブームがあり、トータスなどと共に先頭を走っていたのがモグワイだ。ジャンルとして語られなくなってしまったのは寂しい。朝霧JAMで広い夜空を見ながら芝生に寝っ転がって聴いたのが忘れられない。
この曲をはじめ、ポップなメロディとわかりやすい展開がモグワイの強みのひとつだ。