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tahiti80をもう一度 初期タヒチのアルバムレビュー

久々に20年以上前の音楽番組(DVDに落としてあったOFS)を観たら、tahiti80のCMが流れていて。「おおいいじゃん」ってなり、そこから俺の中でタヒチの再ブームが到来している。

タヒチ80は90年代にフランスで結成されたバンド。2024年の現在まで解散せず続いており、オリジナルアルバムを(多分)8枚出している。
音楽性は、「とにかくお洒落」で、日本の渋谷系を彷彿とさせるネオアコ系の音と、00年代的な未来っぽいビートが合体したようなサウンドが持ち味だ。

99年発表の「パズル」がヒット、特に日本では大きな注目を集めた。タヒチが最も活躍した00年代前半は、フェニックスやエール、もちろんダフトパンクなど、フランスのバンドのブームが一時的にあった。その中で、タヒチはトップランナー的な印象だったが、今や最も影の薄い存在のような感じだ。パリオリンピックに出たフェニックスやエールの活躍を目の当たりにすると、00年代のタヒチの活躍を知る者としては、置いてかれたような感じで正直ちょっと寂しい。


Puzzle

トーレ・ヨハンソンも関わった99年のデビューアルバム「パズル」はこのバンドの代表作。

ネオアコ、ソウル、ロックの要素を、90年代を通り抜けたバンドらしい編集感覚とバンド独特のドライな音作りで非常に爽やかな作品にまとめている。「ハートビート」「Yellow Butterfly」あたりのメロディの良さは敵無しだ。非の打ちどころの無い完璧なビーチ・チル・アルバム。

Wallpaper For The Soul

2002年発表。
1stでの大成功後「the other side of タヒチ」を示そうとしたセカンドで失敗した感じだ。
キャリアの中でこのアルバムだけバンド独特の軽さが無く、ぬるっとした感じのグルーヴが音楽性とマッチしていない。
おそらく1stの成功を期待する外部のプレッシャーに対抗した漢気アルバムなのだが、せっかく獲得したリスナーを失う結果となった。

Fosbury

2005年発表の3rd。
ソウルとバンド独特の魅力が高いレベルで混ざった感じの傑作だ。2ndの重さは消え、初期のビーチ的な軽さが未来型ファンクサウンドに置き換わった。
フックの効いたサビが素晴らしい、シングル「Changes」はアルバムの象徴。フランスのバンドらしいお洒落なメロディに磨きがかかっている。
混迷の時期を乗り越えたバンドの躍動感が楽しい隠れた傑作だ。

この後も一定のクオリティを保ったポップアルバムを発表し続けている。
今や話題になることはほとんど無いが、消えるのは勿体無い、独特の輝きを持ったバンドだ。

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