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2024年、洋楽好きにおすすめのラジオ

かつては、AMは邦楽、FMは洋楽がかかるというざっくりとしたイメージがあり、J-WAVEやinterFMのように洋楽をかけまくる個性的なラジオ局もあった。俺は、ラジオから流れる魅力的な洋楽ナンバーに、胸躍らされた田舎の中学生だった。圏外のラジオを聴くために必死でアンテナを調整したり、電波を強化するため変なブースターを設置したり(大体失敗)。今に至るまで、ラジオは常に自分の傍にあった。
洋楽不況が騒がれる昨今、残念ながら、ゴキゲンな洋楽ナンバーをラジオで聴く機会はめっきり減ってしまった。洋楽中心の番組は僅かになってしまったが、その中でも自分が愛してやまない幾つかの番組を紹介する。

Barakan Beat

良い音楽の宣教師、ピーター・バラカンのライフワーク的音楽番組。スタート当初はワクワクしながら生放送を聞いていたが、最近は裏でやっているビーテンあたりを聴く方が多く、こちらはもっぱらタイムフリー。
音楽中心を謳いながらも、介護や老齢に伴う生活苦を訴える投稿が読まれる事が多く、正直げんなりすることもある。日曜の夜に聴かない理由はそれ。生活感あるお便りは読まず、リクエスト紹介だけでいいのにと思う。

RADIO NME JAPAN

元ロッキング・オン、現NMEジャパンの編集長古川氏が進行役の、洋楽最新情報を伝えてくれる今では珍しいタイプの純洋楽番組。前半が情報中心、後半はゲストが登場することが多い。ぶっちゃけ前半しか聴いていない。
二重敬語などが多発する独特の鈍臭い語り口調が気になるが、貴重な情報源でもあり、なんとかサバイヴしていって欲しい。

Daisy Holiday

インターFMの日曜深夜を締める長寿番組。細野晴臣の優しい語り口調が最高だ。特集をやったり、ゲストが来たりと内容は結構多彩。たまに、トークや選曲で別世界に連れて行ってくれる。

Third Stone From The Sun

月2回になったが、相変わらず音楽への愛を感じられる温かい1時間。マニアックになり過ぎない自然体の選曲も良い。ラブサイケデリコってデビュー当時クールで近寄り難い感じだったが、随分フレンドリーになったもんだ。

TOKYO MOON

「時代とジャンルを超えここではない何処かへいざなう1時間のサウンドジャーニー」まさに言いえて妙。時間の感覚が薄れて世界が朧気になる。誰も起きていない早朝に一人で聴いてトリップすると最高。

LIVE BUZZ

目下絶好調の永野が、ミッキーこと幹治とともにライブ情報を中心にべしゃる番組。自分の好きなアーティストじゃない場合の永野の引き具合も自然体で良い。嘘がつけないヒトは信頼できる。更に本音で楽しませて欲しい。

A.O.R

癒し系おばさんユキ・ラインハートが毎日のんびりオンエアするデイワークに疲れたおっさんのための夕暮れ番組。多くの同胞と同様、俺も帰り車の中で聴くことが多い。ラジオ局によって1時間バージョンと2時間バージョンがあり、2時間バージョンの後半が制作側の色が強くて面白い。月に1回ピーター・バラカンも登場し名盤を紹介する。

RADIO.RADIO.

4月から復活したジョージ・ウィリアムズの番組。金曜夜のわくわく感を凝縮したような楽しい選曲。特に1曲目が毎回選び抜かれていてしびれまくる。後半のゲストもバラエティに富んでいて面白い。
もはやこの番組を聞かないと週末じゃない。ちなみにジョージ、18時~19時は湘南ビーチFMでもうちょいレイドバックした番組をやっていて、こっちも良い。ただタイムフリーがない。
昔みたいにほぼ毎日ジョージの番組やってほしいな、インターFM。(当時はジョージの生活感あふれる話が微妙だったが。)

Night Fishing Radio

毎回テーマ(ひとつのアルバムが多い)を決めて担当者(大学生とか)が音楽評論家等にインタビューを行い、レポートを山口氏と共有する形で進んでいく音楽深堀り番組。フィルターが素人なので、普通じゃない視点での捉え方があったり、自分が知らないアルバムのときは凄く勉強になったり。毎回楽しめる。

ジャズ・トゥナイト

幅広い音楽性の持ち主である大友良英が、非常にまじめにジャズを突き詰めている長寿番組。熱心なジャズ好きではない俺あたりからすると、この番組を聴いていればジャズは十分って感じ。月一回の特集「JAZZジャイアンツ」は、初心者の俺でもわかるようなレベルで良さを伝えてくれる。再放送しているトワイライトアワーにぴったり合う。

洋楽シーカーズ

洋楽DJのレジェンドである大貫憲章と伊藤政則による音楽専門番組で、二人の掛け合いが楽しい。元々ワム!からパンクまで守備範囲が広かった大貫氏はともかく、メタル・ゴッドのマサ伊藤が普通の洋楽を紹介するのが、昔から2人を知る者としては面白い。そういえば、この二人は確か30年以上前にFM富士で「ザ・ロック」という番組をやっていて、毎晩KANの「愛は勝つ」や「踊るポンポコリン」をかけさせられていた(俺らのリクエストによって)。
一線を退いてだいぶ経つ渋谷陽一が、いつかこの番組に登場するのを楽しみに待っている。

世界の快適音楽セレクション

ゴンチチの二人による長寿番組で、土曜日のNHK FMの顔的存在。ゴンチチの世界観そのままに、ゆったりとした独特の時間が流れる。湯浅学氏らが担当する選曲も、オールジャンルで心地良い曲ばかりだ。天気の良い昼間、ぼーっとしたいときに聴いている。

ウィークエンドサンシャイン

ピーター・バラカンの長寿番組。この番組のおかげで良さがわかったバンドは数知れず。特集が素晴らしい。最近だとジェフ・ベック追悼特集は凄くまとまっていて良かった。下手な雑誌や本より俯瞰的にキャリアがわかる。夏場の「50年前特集」も毎年楽しみにしている。レココレが音楽地図特集を止めてしまったので、バラカンの一人勝ちだ。
バラカンビートよりも音楽中心なのでストレス無く聴ける。オールジャンルなので、自分に合わないもの(特にフォーク系邦楽がきつい)もかかるけど。ただ、喋る声が小さくて運転中は聴き取れない(俺の耳のせい?)。

山本さゆりのミュージックパーク

幾多の修羅場をくぐり抜けてきたであろうラジオ界のゴッド姐さんこと山本さゆりが、時折毒舌も織り交ぜつつ基本60歳以上に送るラジオ。選曲がなかなか洒落ていて、展開もスムーズなので、なんだかんだで毎回聴き続けている。とにかくパワフルな姐さんからエネルギーを貰える。ラジオ界のモンスターエナジー。

宮治淳一のラジオ名盤アワー

サザン桑田、山下達郎という大御所の代役でステータスを高めた宮治淳一氏がマニアックなオールディーズナンバーを紹介する存在自体が神な番組。ライバルはサザエさんか。選曲は宮治氏の独壇場で、いったん特集をやると3〜4週続くのも自由そのもの。山下氏の番組と違い、邦楽が一切かからないのが最高で、オールディーズナンバーを骨の髄まで楽しめる。至福のサザエさんアワーだ。

バカボン鬼塚 アナログアワー「ログあわ!」

面白ラジオの印象があるバカボン鬼塚(YBSによく出ていた)が、アナログ盤を丸々一枚紹介する洋楽中心番組。他局(確かNACK5)でやっていたがいつの間にか音楽に熱心なラジオ日本に異動していた。清水出身なのにやたらと音楽に詳しくてびっくり。YBSでワイド番組をやっていた印象が強いので、こんなに音楽愛に溢れた人とは思っていなかった。もっと普通に洋楽紹介番組をやっても良いと思う(山本さゆり姐さんみたいなリクエスト系の番組とか)。
ただ、ジョージ「radio.radio.」もそうだが、ラジオでアナログかけても、ラジコや車のボロいラジオで聴いている限り、DJのこだわりがリスナーに伝わることは無い。

THE BEATLES10

毎週ビートルズだけのチャートをカウントダウンするというギャグみたいな番組だが、長く続く日曜の顔。俺のビートルズはこの番組によって毎週更新される。聴くたびにいろいろ発見がある。メンバーの誕生日のソロチャートも毎年楽しみにしている。
20周年記念と称し、最近「ビートルズ20」として20曲をカウントダウンする形になった。コーナーを制作する余裕がなくなったのかな。20曲だとちょっと冗長なので、元に戻してほしいのは俺だけか。

全米トップ40

80年代に人気を博した「アメリカントップ40」を当時の放送を含めて再編成して今に蘇らす番組。ラジオが一番輝いていた時代の雰囲気(特にジングル)を伝える貴重な1時間だ。紹介する矢口清治氏のダンディな語り口調が聴きやすい。矢口氏の番組が減ってしまって寂しい限り。今やこの番組だけか。

BIBLIOTHECA

架空の図書館を舞台に、毎回一つのトピックを山口周氏の豊富な知識を活かして解説する番組。こういう「架空の◯◯」設定の番組は昔から大好きだ。ラジオだからこそ作りやすいし、リスナーも入り込みやすい。とりあげるトピックは、ビジネスでも日々の生活でも指針として使えるものばかりだ。長濱ねるのギリギリなリアクションも番組の幅を広げている。選曲も素晴らしく、音楽番組としても十分楽しめる。
この番組とは関係無いが、昔「キッチュのバーチャルプレイゾーン」というSF的ラジオ番組があった。未来からやってきた松尾貴史が20世紀のロックなどをクラシックとして聴くみたいな設定で、無茶苦茶面白かった。今も番組を聴いていた時間を思い出せるぐらい俺にはインパクトがあった番組。こういうの今こそやってほしいんだけど。キッチュ、頼みます。

TUDOR TRAVELLING WITHOUT MOVING

日曜日の夜のサウンドトラック。俺らのラジオ。同年代だし、訓さんのトークも、選曲も、全て「わかる」感じでノンストレスで最高、完璧な1時間。リニューアルしたCMだけはちょっと微妙かな。
リアルタイム(酩酊状態)はもとより、日が昇るか昇らないかのタイミングでの早朝ランニングにもピッタリハマる。朝の方が訓市さんの話がアタマに入ってくる感じだ。
年末には忘年会が開かれ、羊文学らスターもこの番組から羽ばたいていった。いつまでも続いてほしい番組だ。

みのらじ

youtubeでおなじみみの氏の番組。番組開始時は曲中にみののtalkが入るなど試行錯誤していたが、今はひとつのテーマに沿った選曲というオーソドックスなスタイルでやっている。ジンジャー・ルートやニュー・ジャック・スウィング等かなり攻めた特集をする傾向にあり、早朝という時間帯を活かして自由にブチかましていて面白い。最近では「山に興味がある」「草津温泉はレベルが違う」等音楽以外のつぶやきも。長く続いてほしい。

MURO PRESENTS KING OF DIGGIN'

ディガーのカリスマMURO氏のDJが楽しめる30分。知識の片隅を毎週知れるだけでも凄く貴重。長く続いてほしい。

FLAG RADIO

FM京都の看板番組で、くるり、コーネリアス、ジム・オルーク、折坂悠太、青葉市子、UAなどがDJを務める。内容もそれぞれで違うが、やはりコーネリアスの選曲が相当面白い。文化はやはり京都から始まるって感じで、意識高めの内容が素晴らしい。

前回の特集記事。

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