Paul Weller – Sonik Kicks
2012年発表。全英1位。日本ではメディアに取り上げられることが少なくなったウェラーだが、実はUKチャート上ではアルバムが連続で1位を獲得し90年代以上に成功している。
このアルバムにはブラーのグレアム・コクソン、ノエル・ギャラガー、元ストーンローゼズのアジズ、ショーン・オヘイガンらが参加。プロデュースはウェラーとこの頃の片腕サイモン・ダインで、このコンビのピークといえる作品だ。
2010年から禁酒をスタートしたウェラー。
禁酒が、沈み込むようなサウンドから開放的でアッパーな音に変貌していった要因のひとつかもしれない。
ジャケットから感じるカラフルさがアルバムのトーンに繋がっている。当時のノエル・ギャラガーのソロにも近いハンマービートとUKギターロックを組み合わせたようなサウンド。その上で結構やりたい放題やっている。
ウェラーのこれまでのキャリアの中だと、音の質感や歌い方、曲調が「サウンド・アフェクト」「ザ・ギフト」に近い感じ。JAM後期もモッズやパンクから開放され自由にやっていた。
00年代後半から10年代にはかけてのウェラーは、スティーブ・ホワイトのリズムから自由になったことで、60年代〜70年代のモッズやビートルズ、スティーヴ・マリオットらの枠から飛び出し、自分の好きな音を思うままに鳴らしている。多分、このモードこそが本来のウェラーなんだろう。
ただ、個人的にはこのアルバムの落ち着きのない音が合わないのと、アイデア一発の曲作りの甘さが気になって仕方ない。家族に捧げられた「Be Happy Children」ぐらい丁寧に作ってほしい。
JAMから聴いている永年のファンには合う作品かと思う。