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Belle & Sebastian – The Boy With The Arab Strap

98年にリリース。
UKロックシーンはブリットポップの残り火の中、ロックとクラブサウンドが盛っていた。ベルセバはそのようなシーンとは一線を画し、繊細でインディーズ志向の音楽を展開、独自のアプローチは注目を集め、日本を含むギターポップフリークから支持されていた。
発売当時、自分は大学生3年生でモラトリアムど真ん中、この作品はサントラのひとつだ。部屋で一人で聴くというよりは、仲間とわいわいしているときのBGMだった。

「The Boy With The Arab Strap」は、60〜70年代のソフトロックの影響を受けながらも、独自のアレンジと繊細なメロディで1STアルバムの世界観を深掘りしたアルバムだ。UKチャート11位まで上がり、ベルセバは立ち位置を確保した。
また、このアルバムではバンドとしての成長が見られた。これまでの2枚のアルバムは、スチュワートのソロ的な要素が強かったが、このアルバムからバンドとしてのBelle & Sebastianが本格的に成長し始め、スチュワート以外のメンバーの存在感が大きくなった。特に、初期メンバーの中で絶大な人気を誇ったイザベルは「Is It Wicked Not To Care?」をソロで歌い、「Sleep The Clock Around 」「The Rollercoaster Ride」ではスチュワートと闇を感じさせるデュエットを披露した。スティービー・ジャクソンも「Seymour Stein」「Chickfactor」で洒落たセンスのボーカルを担当し、スチュワート・デヴィッドもクールな演奏が素晴らしい「A Space Boy Dream」で素朴な語りで存在感を示した。

2017年の朝霧JAMで彼らのライブを観た。アルバムのタイトル曲「The Boy With The Arab Strap」では、観客がステージに上がり、ステージ全体に一体感が生まれ、やたらと盛りあがった。それもあって、この作品はサークル的な連帯感や多幸感を強く感じさせる。

プロデュースはトニー・ドゥーガンが手掛け、バンドの個性を引き出した。

「The Boy With The Arab Strap」のタイトルは、変態ユニット「Arab Strap」から取られており、このアルバムを通じて彼らの名前が広まったが、そもそも「Arab Strap」自体が下ネタだ。
「少年とArab Strap」、ジャニー●じゃないが、このバンドの変態性を明確に示したタイトルだ。光の背後の闇を強く感じさせる。そういった点も、ソフトロックやスミスの伝統をしっかり引き継いでいると言える。

バンドを代表する傑作だ。


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