2024年俺の年間ベストアルバム。
ほぼ毎年、年間ベストアルバムを選出しているが、最近は結構めんどくさくなっている。膨大な情報を処理できないまま、結局「これだ」というアルバムを選べられない。
2024年もズバ抜けた作品は無かったかな。気楽に10枚選んでみた。
The New Sound - Geordie Greep
Black Midiのジョーディー・グリープのソロ作。進化系プログレって感じだったBlack Midiよりも更に雑多なサウンドになっていて、今年一番インパクトがあった。江戸時代っぽいジャケットや演歌みたいなメロディ(プログレにはありがち)もあるので、日本人は好きだと思う。2024年にもロックの楽しさが有効だと証明した嬉しくなる作品だ。
L.A.Times - Travis
常に一定以上の作品を作り続けるベテランバンドの通算10作目。トニー・ホッファーが良い仕事をしていて、研ぎ澄まされたシンプルなアレンジがフラン・ヒーリーの曲の良さを際立たせている。特にアルバムの冒頭3曲の出来が良く、アルバムの世界にすっと入っていける。
Charm - Clairo
アメリカの若手シンガーソングライターの3作目。ベックやヘイデンといった90年代のフォークにルーツを持つシンガーソングライターに近い才能を感じている。素晴らしかった前作よりも1STに近いローファイな音になっていて、より90年代LOVEなオヤジに訴求した作品になっている。インディー界のNewJeans。
「sexy to someone」がシングルヒットしたが、アンニュイな雰囲気がタイトルと合っていなくてギャップが良い。
この90年代的作品がTikTokでヒットしているのは凄く面白い。
SHINBANGUMI - Ginger Root
ナード的な独特の雰囲気で日本で大人気のジンジャー・ルート。シティポップとか80年代の日本の大衆音楽に影響を受けたくぐもった音像と曖昧なメロディが最高。新作もいつも通りのジンジャーで良い。
In Waves - Jamie XX
ジェイミーXXのセカンド・アルバム。クラブの熱狂とベッドルームミュージックの内省を合わせもった完成度の高い作品で、前作よりも全然好きだ。シングルカットの「Waited All Night」はロミのボーカルをフィーチャリングし、さながらクラブ版XX。ちょっとメロディがあざとすぎかな。
2025年はXXでの活躍にも期待。
Honey - Caribou
ベテランサウンドクリエーターによるカリブー名義では5年ぶりの作品。前作同様心地良いベッドルームクラブサウンドになっていて楽しめる。俺の耳にはフォークミュージックに聴こえる。
BRAT - Charli xcx
ここ数年、非常にレベルの高い作品を連発していて、俺のベストアルバムセレクションでは常に常連の天才クリエーターによる、今年代表する一枚。映像が浮かぶような立体的なサウンドと、本人のキャラとギャップがある美しいメロディが最高。ただ、前作の方が完成度が高かったかな。
このヒトも70年代だったらジョニ・ミッチェルみたいなフォークシンガーとして大成してそう。
Five Dice,ALL Threes - Bright Eyes
すっかりベテランとなったコナー・オバースト率いるバンドの通算11枚目。デビュー当初の生々しさは整理され、ソングライティングの良さと演奏することの楽しさが伝わってくる清々しい作品だ。「00年代のボブ・ディラン」と称された歌声とゴタゴタしたメロディラインはアルバムの中では健在だが、この後喉を壊し活動休止を余儀なくされたのは残念。2025年は復活するようだ。フジロック(山梨開催?)に来ないかな。
No Name - Jack White
俺的にはジャック・ホワイトって過剰すぎるというか。曲単位では良いけど、アルバム一枚丸ごとだと消化不良になってしまう。アナログみたいに半分聴いて休憩、だったら多分良いのだろうけど。
このソロ6枚目は、ガレージロックに回帰した感じで、ホワイト・ストライプスみたいな曲もあり、手を広げてファンを歓迎しているような作品だ。整理されていて、俺の耳にもすんなり入ってきた。
らんど - ZAZEN BOYS
最近邦楽は正直全然だめでのめり込めないのだが、ナンバーガール再結成を経て久しぶりのザゼンボーイズの作品、洋楽とか邦楽とか枠なんか関係なく凄く出来の良い作品で何度も繰り返し聴いた。エッジの効いたサウンドだが、全体として耳触りが良く、ポップですらある。向井がずっと唱えている例のフレーズも登場しているし、余裕を感じる最高の作品だ。