日本円とドルの暴落に備える通貨防衛の方法

はじめに

日本円とドルは、世界の主要な通貨として広く使われていますが、その安定性には疑問符がついています。特に、米国のインフレ率が高止まりし、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを続ける可能性がある中、日本円とドルは暴落するリスクが高まっています。このような状況下で、自分の資産を守るためには、通貨防衛をする必要があります。通貨防衛とは、自国通貨の急落を防ぐために、他国通貨に資産を移すことです1 。通貨防衛で有効な通貨の一つがスイスフランです。スイスフランは、安定性と信頼性が高く、価値向上の見通しもあります。この記事では、なぜ日本円とドルは危ないのか、なぜスイスフランで持つことが良いのか、どうやってスイスフランで持つことができるのかについて説明します。

1.日本円とドルの暴落のリスク

日本円とドルは、両国の経済状況や金融政策に影響されます。現在、米国ではインフレ率が高水準にあります。2022年12月に発表された消費者物価指数(CPI)は前年比7.0%となり、40年ぶりの高さでした2 。インフレ率が高いということは、物価が上昇し、購買力が低下することを意味します。インフレ率が高いままだと、ドルの価値も下落します。

FRBはインフレ率を抑えるために利上げを行う可能性があります。利上げとは、FRBが金融市場に供給する資金量を減らし、金利水準を上げることです3 。利上げによって、借り入れや投資などの経済活動が抑制され、インフレ圧力が緩和されます。しかし、利上げによって経済成長も減速し、景気悪化や株価下落などのリスクも高まります。また、利上げによって金利差が拡大し、ドル高・円安になる可能性もあります。

日本円は、マイナス金利政策や貿易赤字などによって弱含みです。マイナス金利政策とは、日本銀行(日銀)が金融機関から預かる一部の資金に対してマイナスの金利を適用することです 。マイナス金利政策は、金利をマイナスにすることで、金融機関に資金を貸し出したり、投資したりすることを促すことを目的としています。マイナス金利政策は、経済活動を活性化し、インフレ率を上げる効果が期待されます。しかし、マイナス金利政策によって、日本の金利水準は他国よりも低くなります。これによって、日本円は他国通貨に比べて魅力が低くなり、円売り・外貨買いの動きが強まります。つまり、マイナス金利政策は、円安を招く可能性があります。

貿易赤字とは、輸出額よりも輸入額が多い状態のことです。貿易赤字が続くと、国内で消費される商品やサービスの多くが外国からのものになります。これによって、国内で生産される商品やサービスの需要が減少し、経済成長が低下するリスクがあります。また、貿易赤字は、通貨防衛の必要性を高めます。通貨防衛とは、自国通貨の急落を防ぐために、他国通貨に資産を移すことです2 。通貨防衛をすることで、自国通貨の価値が下がるリスクを回避できます。しかし、通貨防衛をすることで、自国通貨の需要が減少し、円安を加速させる可能性もあります。

2.スイスフランで持つメリット

スイスフランは、通貨防衛で有効な通貨の一つです。スイスフランは、安定性と信頼性が高く、価値向上の見通しもあります。スイスフランで持つメリットは以下の通りです。

・スイスは政治的・経済的に安定している

スイスは中立国であり、政治的な混乱や紛争に巻き込まれるリスクが低いです。また、スイスは高度な産業や金融サービスを持ち、経済的な基盤も強固です。このため、スイスフランは世界的な不安や危機が高まる時にも安全な資産として求められやすくなります。

・スイスはインフレ率が低い

スイスはインフレ率が低く、物価安定を重視する金融政策を行っています。インフレ率が低いということは、物価が上昇せず、購買力が維持されることを意味します。

・スイスは金準備が豊富である

スイスは、世界で最も金準備の多い国の一つです。スイス国立銀行は、2021年6月末時点で約1040トンの金を保有しており、世界第7位の規模です1。また、金準備の対GDP比は約6.5%と、世界で最も高い水準です2。金は、不安定な時代において価値が安定する資産として重視されます。そのため、スイスフランは金との相関性が高く、金価格の上昇に伴ってスイスフランも上昇する傾向があります。

・スイスは独自の通貨政策を行っている

スイスは、EUに加盟していないため、ユーロ圏の影響を受けにくい通貨政策を行っています。スイス国立銀行は、自国の経済状況やインフレ率に応じて、政策金利や為替介入などの金融政策を実施しています。しかし、スイスフランはユーロと密接な貿易関係にあるため、ユーロ圏の経済動向やユーロ価格にも影響されます。そのため、スイス国立銀行は、ユーロ圏との競争力を維持するために、過度なスイスフラン高を防ぐために為替介入を行うことがあります。

・地政学的リスクに強い

スイスフランは、世界的な金融危機や地政学的なリスクが高まると、安全な資産として買われやすい通貨です。現在、ロシアとウクライナの戦争や新型コロナウイルスの変異株の拡大など、不安定な要因が多く存在します。そのため、スイスフランに対する需要は高まりそうです。

また、スイス国立銀行は、インフレ圧力に対応して利上げを進めています。今年6月には、マイナス0.75%だった政策金利をマイナス0.25%に引き上げ、今後もさらなる利上げを検討しています12。これに対し、日本銀行は、物価目標の達成に遠く及ばない状況で、マイナス0.1%の政策金利を維持しています2。この金利差は、スイスフランの魅力を高める要因となります。

さらに、スイスは安定的な貿易収支の黒字国であり、自国通貨の価値を守るために為替介入を行うこともあります13。これは、スイスフランの下落圧力を抑える効果があります。一方、日本は貿易収支の赤字体質が定着しており、円余剰・外貨不足の状態が続いています3。これは、円安圧力を強める要因となります。

以上のように、スイスフランは今後も上昇する可能性があると考えられます。特に、日本円に対しては歴史的な高値圏で推移する見通しです3。そのため、投資家や事業者は、為替リスクに注意する必要があります。

3.スイスフランで持つデメリット

・スイスフランは高値圏にある

スイスフランは、長期的に見ても強い通貨であり、他国通貨に比べて高値圏にあると言えます。そのため、スイスフランで購入する商品やサービスは高くなりやすく、消費者にとっては不利になります。また、投資家にとっても、高値圏から下落するリスクが高まります。特に、2015年のような突発的な変動がある場合は、大きな損失を被る可能性があります。

・スイスフランは低金利である

前述したように、スイスフランは低金利政策を継続しており、現在はマイナス金利水準です。そのため、スイスフランで預金や債券などの金利収入を得ることは難しくなっています。また、低金利政策は円安要因となります。低金利の通貨を借りて高金利の通貨に投資するキャリートレードが行われることで、低金利の通貨は売られやすくなります。そのため、キャリートレードが活発化する場合は、円安圧力が強まる可能性があります。

4.スイスフランに投資する際の注意点は何か

・スイスフランは安全資産としての需要が高い

スイスフランは、スイスが永世中立国であり、政治的・経済的に安定していることから、世界的な不安や危機が高まると、リスク回避のために買われやすい通貨です。そのため、地政学的なリスクや金融危機などのニュースに敏感に反応し、急激な値動きをする可能性があります。スイスフランに投資する際には、常に市場の動向やニュースをチェックし、適切なリスク管理を行うことが重要です。

・スイスフランはユーロとの関係性が強い

スイスフランは、ユーロ圏との経済的なつながりが深く、ユーロの動きに影響を受けやすい通貨です。特に、2015年1月にスイス国立銀行(SNB)がユーロとの固定相場制を解除したことで、ユーロとの連動性が高まりました。そのため、ユーロ圏の金融政策や経済指標などの発表にも注目し、ユーロ円との相関関係を把握することが必要です。

・スイスフランは金相場との関係性もある

スイスフランは、金と同様に安全資産としての需要が高い通貨です。また、スイスはIMF(国際通貨基金)加盟国であり、金準備を保有しています。そのため、金相場との関係性も無視できません。金価格が上昇すると、金準備を持つ国の通貨価値も上昇する傾向にあります。逆に、金価格が下落すると、通貨価値も下落する可能性があります。スイスフランに投資する際には、金相場の動きもチェックすることが有効です。



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