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CP3は何度でも。

「Point God」。日本語で訳すとするなら「ポイント神」とか?

自分で言っといてなんだけど、クソダサいな。

NBAでは。特に2010年代後半からは「PGの時代」と呼ばれている。それまでの型にはまらないスコアリング・ガードの登場。ビッグマン顔負けのリバウンドを量産するトリプルダブル・マシーン。絶対的なクラッチシュート・メイカー、神に認めらたクロスオーバー使い...

そんな群雄割拠のNBA、PG戦国時代にあって「Point God」の称号を手にした男こそ、CP3。クリス・ポールだ。

クリス・ポールは、長らくビッグマンが支配した時代からコービー・ブライアントやレブロン・ジェームス、同期のドウェイン・ウェイド、マグレディ、ヴィンス・カーター。ポール・ピアースなどウィングの選手が主役に時代が移り変わった、ちょうどその2005年にNBA入りした。

183cm(どうやら本当は180cm程らしい)と決して大きくない背と、幼そうに見えるベビー・フェイスからは想像できない卓越したハンドリング能力と視野の広さ、相手ディフェンダーを抜き去るスピードでリーグを代表するPGになるのに時間はかからなかった。

でも、知っての通りCP3の最大の武器は単にバスケットボールの上手さだけではない。その強靭なメンタルの強さ。何よりもバスケに真摯に取り組む熱意にこそ、その真価がある。

高校時代、尊敬する祖父が強盗に襲われ殺害される悲劇があった。祖父の葬式に出席した翌日の試合で祖父の年齢と同じ61得点を挙げた。62得点目のFTをわざと外したのはあまりにも有名なエピソードだ。

ルーキーの時、大先輩のデズモンド・メイソンに指示しすぎてベンチで険悪な雰囲気になったらしい。

JR・スミスが練習に遅刻しないように毎朝車で迎えに行ってたらしい。JRの方が先輩なんだ。

ちなみにこの時はハリケーン・カトリーナの影響でニューオーリンズからオクラホマ・シティに算定的にホームを移してた時期。Thunderより前のOKC。

ルキーイヤーに同期のデロン・ウィリアムズを寄せ付けずに新人王を獲得すると、あとは怖いもの知らずだった。

そんなHornets時代、クリス・ポールはあと一歩で勝者になれるところまで手をかけた。

2008年、初代相棒のデビッド・ウエストやペジャ、タイソン・チャンドラーを中心に一気に56勝を挙げてシンデレラチームに成り上がる。クリス・ポールの3年目。モーリス・ペーターソンと「初代コーリー・ブリュワー」ことラジュール・バトラーが意外と活躍してた思い出。「初代コーリー・ブリュワー」は多分俺しか使ってないと思う。

POでも初戦でMavsを倒すと、前年王者のSpursともGame 7まで縺れ込む大激戦だった。惜しくも最後はジノビリとダンカンの前に屈するも、あのSpursとよく戦った。まだクリス・ポールは22歳。未来は明るかった。デビット・ウエストとチヤンドラーがダンカンにビビらなければ勝てたよな。

ただ、その後はなかなかあと一歩で勝利の女神に見放される日々が続く。

期待された次のシーズンには優勝請負人ジェームズ・ポージーをチームに加えるもいまいち波に乗れず、POでは「Mr. ビッグショット」ことビラップスの前に屈する。ネネとかすごい速いしデカイし強かった。

Lakersへのトレードが直前で破談になると、「もう一つのLAのチーム」であるClippersに移籍。ちなみにこの時のちにRocketsでチームメイトになるエリック・ゴードンとウェイクフォレスト大学の後輩アル・ファルーク・アミヌとのトレードだったりする。

クリッパーズ移籍以降はモンスター・ダンクマン、グリフィンやデアンドレ・ジョーダンと「ロブ・シティ」を結成。レイカーズが一時代の終焉を迎えるのを傍目にチャンピオンリングへひた走った。

それでも、あと一歩で「Point God」に女神は振り向かない。

OKCに残り50秒7点差を逆転されたこともあった。

ハーデンのいないRockets相手に試合をひっくり返されたこともあった。ジョッシュ・スミスは神。

因縁の相手Spursをクリス・ポール自身のクラッチ・レイアップで倒した時はグリフィンの負傷という大きすぎる代償を払った。

ハーデンとともに絶対王者となったWarriorsに挑んだRockets時代も、あと一歩手の届く距離で今度は自分のハムストリングが悲鳴を挙げた。

いつしかクリス・ポールは「あと一歩で勝てなかったね」と言われ始めた。

そして、ラッセル・ウエストブルックとのトレードでOKCに移籍したシーズン。「最後にタイトルコンテンダーに加入してリング取れるといいね」と言われた。レイカーズか、バックスか。76ersでもいいかもね。

世界中が次のPGに目を移そうとしていた時。「Point God」が忘れ去られようとした時、一人だけはクリス・ポールを信じていた。

クリス・ポール、自分自身は絶対に諦めてなっかた。

これはあとから分かったことだが、OKCもまさかクリス・ポールがシーズンの最後まユニフォームを着て戦ってくれるとは、若手と中堅ばかりのチームを、PO進出確率0.2%と言われたOKCでオールスターになってくれるとは思ってなかったらしい。

OKCの用意した「ロードマネジメント」を説明するPower Pointをクリス・ポールは笑い飛ばした。「いつでも好きな時に、試合に欠場しても家族に会いに行っていい」という条件にも首を横に振った。

「俺はpoint Godだぞ。チームを勝たせるのが仕事だ」

本当にそう言ったか分からないが、有言実行。チームは周囲の疑問の目を弾きとばしPOに出場。おしくもRocketsに敗れたが、終わった頃にはもうクリス・ポールを「終わった選手」と呼ぶ人はいなかった。

今シーズン、数々の名PGが着たSunsのユニフォームにクリス・ポールは袖を通した。見慣れたNo. 3の背番号。昨シーズン、バブルで無敗の8連勝を挙げながら惜しくも10年連続となるPO不出場となったSunsは再びPGを手に入れた。

シーズン中には気づけば西で2位の好成績。POが始まってもいきなり初戦からLakersと言うハードな戦いを勝ち抜いた。

最後は、過去にあと一歩で勝利を逃し続けたClippersを倒し。いよいよFinaslsへの切符と手に入れた。

クリス・ポールがFinalsへ行く。

一度は逃したチャンス。

何度も手をすり抜けた勝利。

相手は神話の国が生んだ怪物。

「Point God」にはぴったりの相手だね。

次は大丈夫さ。思う存分戦ってくれ。

デロン・ウィリアムスの方が好きだったけど、今回ばっかりは目を瞑るよ。







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