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海外旅行2024その7 厳重警戒態勢の最高級ホテルに飛び込みで宿泊した話@ペシャワール

ペシャワール(ペシャーワル表記もある)は
パキスタン北東部に位置する歴史ある街。
古くはガンダーラ王国の首都でもあったその街。
そして私の訪問を拒み続ける街。


訪問1回目→2019年12月末

ペシャワール濃霧のために飛行機が遅れに遅れ、
ただでさえ滞在予定日数が短かったのに
よりせわしない滞在となってしまった。

さらに、ホテルでは寒さのあまり自分から
部屋のダウングレードを申し出る始末。
全然いい思い出がなくリベンジを誓う。

訪問2回目→2023年9月

ペシャワールに到着したものの、
ホテルから外国人の宿泊を拒否されまくって
泊まる場所がなかった。心が折れた。
滞在時間3時間。幻の滞在。リベンジ失敗。

訪問3回目→2024年12月末

2023年にはホテルに泊まれなかった私だが、
2024年に日本人がYouTubeでペシャワールに
宿泊している様子をアップしていたのだ。
なんだ、ペシャワール泊まれるじゃん。行けるじゃん。

OTA(つまりbooking.comとかagodaとか)では
これまで見たことのない新しそうな高級ホテルを
2軒も発見。1回目の訪問時には高級ホテルにも
関わらず暖房能力が貧弱で、部屋で寒い思いをした。
よって今回はこの新しいホテルに期待を込めて予約。

しかも一応リスク分散で2泊と1泊に分けて
2軒を予約した。
1軒目はRoomy Crossroad hotelで
立地はやや悪いが値段は1泊6500円。
2軒目はTourmaline hotelで立地はよいが
値段は1泊8000円なのでこちらを1泊とした。

どちらも税込み朝食込み。agodaで予約、現地払い。
パキスタンにしては高級ランクに入る部類。
まぁそこそこ清潔で冷暖房がきちんと機能して
冬場でも40度以上のお湯が出てくるってだけだが。

3回目の訪問は、パキスタンの首都イスラマバードから
バス移動でペシャワールに向かった。
イスラマバードのファイザバードFaizabadには
各バス会社のオフィス兼バス発着所が集中しているので、
その中から大手のファイサルムーバーFaisal Movers
のバスチケットを購入。850ルピー(500円)。

ファイザバードは各バス会社がひしめき合っている混沌の地

チケットカウンターのパキ兄は
「ペシャワールまで2時間ぐらい」と言ったが、
高速道路を使うことなく一般道を進んだ関係で
実際は4時間弱もかかり私は一人でイライラ。

ようやくペシャワールに到着したのは夕方5時すぎ。
ペシャワールのファイサルムーバーのターミナルから
ホテルまでは1kmほど。荷物もあったので
配車アプリinDriveでドライバーを探すも、
どいつもこいつもリクエストに応じない。おのれ。

怒りのあまり荷物をかついでずんずん1km歩いて
ホテル到着。よい子は真似しないでね。

NOC事件簿

レセプションに入り、チェックイン。
カタカタとPCをいじったレセプションのパキ兄は
荷物を持って疲労困憊の私に衝撃の言葉を放った。

「お前の予約ないYO」

いやいや、アゴダで予約したし、ほら、これ予約確認書。

「多分それキャンセルされたYO」

いやいや、キャンセルしたのそっちだろうよ。

「それに外国人はNOCがないと泊まれないYO」

いやいや、なんだよそれ。窒素酸素炭素?
パキ兄に半分キレながらNOCの説明を求めた。

どうやらペシャワールのあるKP州独自ルールらしく
然るべき州政府機関において申請をして
(多分日数も手数料もかかる)
取得できる外人用滞在許可ライセンスらしい。
よくわからん。

「ここでNOCの申請できるYO」と
パキ兄はグーグルマップでNOCの申請をする
政府機関の場所を教えてくれたが
時すでに午後6時、当然政府機関なんぞ
閉まっている時間なわけで。

<参考>NOCの申請場所
Home & Tribal Affairs Department KP
2H65+56C,Police Lines Rd, Finance Department,
Civil Secretariat
ペシャワール博物館から徒歩10分

NOC即時取得は時間的に絶望的。
そしてホテルに宿泊拒否されるって
また前回(訪問2回目)と同様な雰囲気。
前回は即決で空港に行きカラチ行きの
航空券を買ってカラチに亡命?したが、
今回はすでに最終便は出発した後の出来事。

「このホテルのロビーに明日の朝までいていい?」
私は無理を承知で言ってみた。
もちろん拒否される前提で、相手が何か
代替案を出してくれることを期待して。

するとパキ兄、
「それはだめだYO。Serena hotelセレナホテルなら
NOCがなくても泊まれるからそっち行ってYO」
とのこと。

知ってる。セレナ。
もうぶっちぎりで値段が高い最高級ホテル。
速攻で宿泊候補からはずした最高級ホテル。
経済的に無理だから。他のホテルの費用数倍だし。

でもNOCなしで泊まれるって本当?
私は疑心暗鬼。セレナに行って断られたら悲劇だ。
今ここでセレナに電話して本当かどうか確認してくれる?
私の予約を勝手にキャンセルした負い目からか
パキ兄は電話してセレナに確認してくれた。

「NOCなしの外国人でも泊まれるってYO」
回答を引き出せた。でも高額に決まっている。
そこで私はパキ兄にたずねた。
本当にセレナだけ?ほかにトルマリン
(私が数日後に予約してある高級ホテル)とか
フォートコンチネンタル(訪問1回目に私が滞在した
一応高級ホテル)とかNOCなしで泊まれないかな?

パキ兄は断言した。
「NOCなしで泊まれるのはセレナだけだYO」

定期預金満期よ聞いて

ここで私の選択肢は2つ
1.最高級ホテルに宿泊。出費が恐ろしい。
2.イスラマバードにバスで4時間かけて戻る。

イスラマに戻ったところで真夜中、そして
イスラマのホテル探しも必要。正直面倒だ。
何より私はペシャワールを観光したいのだ。

いいじゃないか、払ってやろうじゃないか。
そういえば今月私はボーナスをもらったのだ。
そういえばちょこっと昇給もしたのだ。
そういば定期預金も満期になったのだ。

定期預金満期よ聞いて。反対から読んでも
ていきよきんまんきよきいて。

腹はくくった。OK、セレナにGO!
パキ兄に最後のリクエスト。涙のリクエスト。
セレナまでのタクシー捕まえて値段交渉して。

パキ兄はホテル前にいるタクシー運転手に
交渉するも、なんか高額をふっかけられたらしく
交渉決裂の模様。ということで流しの
オートリクシャー(三輪自動車)を捕まえ
寒いけどこれでいいか?と私に確認。

「セレナは警備がものすごく厳しいから
リクシャーは中には入れないYO。
敷地前までだYO」とパキ兄。
セレナ前まで7kmほどで300ルピー(170円)。

鉄壁の防御のセレナホテル

セレナホテルは壁で厳重に囲まれ、
ゲートは常に閉まっていて
ライフルを持った警備員が数名常駐。
超大型巨人が現れても安心安全な警護体制。
そこをまずジャパニーズスマイルで突破。

その後、車だと警備員の目視と警察犬の
嗅覚チェックによる爆発物探知検査。
歩行者の私は空港によくある金属探知機を
くぐり、その後は手荷物のX線検査、
最後にもう1回金属探知機とボディチェック
という厳戒態勢を突破してようやくホテル入り口。

どんだけこのホテルは外部から狙われてるの?
なお、私が何度も検査を受けている横では
クジャクを放し飼い。クジャクってコブラをも
食べるから、もしかしての毒蛇対策?
そんな超安全ホテルのレセプションにて私は
「本日の一番安い部屋プリーズ」と高らかに宣言。

厳重警備体制のセレナホテルではクジャクも毒蛇駆逐要員として活躍中

「プールビューの部屋が1泊朝食込み税込みで
○○○ドルだYO」と米ドルで言われる。
えっと、今1USD=158円ぐらいだから・・・
速攻で暗算して概算を掴んで目先が真っ暗。

確か160ドルだかって言われたような。44,748ルピー。
後日のカード引き落とし額を確認すると25,832円也。

いや、確かに2024年のニューヨークとかだったら
全然普通のホテルの値段なんだけど、
物価安のパキスタンだよ。
もともと予約したホテルは1泊6500円だよ。4倍だよ。

背に腹は代えられぬ。泣く泣くカードを切り、
部屋にあるお茶を淹れて一息ついて今後を考えた。
明日はどうする?この最高級ホテルに連泊する?
NOCを申請して当日取得できればもっと安いホテルに
移動できるが、当日取得できるかどうかも怪しい。
うーん、どうするべきか、結論が出ない。

大穴のトルマリンホテル

そういえば明後日の予約をしてあるトルマリンホテルを
一応キャンセルしておこう。
トルマリンはセレナから徒歩10分ほどの距離なので、
私は明日の身の振り方がまとまらないまま夜道を歩いた。

トルマリンホテルのレセプションにて、受付のパキ兄に
「明後日このホテル予約しているんだけど
NOCないから泊まれなくってさ。キャンセルプリーズ。
今夜なんかNOC不要のセレナに急遽泊まって
1泊4.5万ルピーだよ。やってらんねーよHAHAHA」
とぼやくと、

「へ?このホテル、NOCない外人でも泊まれるYO
ちな1泊税込み朝食込み1.4万ルピー(8000円)
からだYO。セレナ高いねーHAHAHA」
と、トルマリンホテルのレセプションのパキ兄。

マジか。
小一時間前セレナで4.5万ルピーを払ったばかりだが
このトルマリンだったら1.4万ルピーで泊まれたのか。

かといって、セレナを今更キャンセルできないだろう。
チェックインしちゃったし、部屋でお茶も飲んじゃったし。
ということで、泣く泣くセレナに1泊することにして、
残り2泊はトルマリンにしましたとさ。

ちなみにセレナの部屋はセントラルヒーティング弱めで肌寒く
(服を着ればいいけれど、あいにく私は裸で寝る人間)
個別空調のトルマリンのほうがよほど暖かかったという結果。
ただし温水シャワーはセレナは熱すぎ火傷注意レベルで
トルマリンは3分で適温のお湯がなくなる仕様。
ここはパキスタン。日本のスタンダードを求めてはいけない。




ま、パキスタンには行くな、という話です。
そういえば外務省も渡航勧告出してた。

いや、私は好きなんだが。パキスタン。
インドも好きだがインドは確実に腹を壊す。
パキスタンは腹を壊しにくい(インド比)。

というか、正確に言うとパキスタンのKP州は
独自ルールのために宿泊が難しかったりするので
日本人がさっと訪れてぱっと観光するのは不向き。
ついでにインスタ映えを狙う女子も不向き。

とにかくKPK州内のホテルを予約したら事前に
外国人の宿泊が可能かどうかを確認すること。
2024年末現在、私という人柱の犠牲により
セレナの他トルマリンも宿泊可能とわかったが、
いつ州の制度が変わるかわからないので
よい子は必ず事前にホテルに確認すること。



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