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サイエンスアゴラ2023       「未来と向き合う!遺伝子と人の可能性」出展報告 

2023年11月17~19日に東京お台場テレコムセンタービルで開催されたサイエンスアゴラ2023に、日本認定遺伝カウンセラー協会の啓発活動の一環として出展して参りました。
19日(日)には、「未来と向き合う!遺伝子と人の可能性」と題し、参加者の皆さまと認定遺伝カウンセラーが対話を通し、未来のゲノム医療について一緒に考えました。
なんと、定員25名を超える約40名の方が参加してくださりました。年齢層は小学校低学年のお子さんから60代の方までと幅広く、親子で参加された方が多くいらっしゃいました。心より感謝申し上げます。

17日は前夜祭のラジオ放送にも参加しました。サイエンスアゴラ2023のサイト内からご視聴いただけます。

それでは、19日の出展の様子を紹介させてください。

1.ミニレクチャーと劇

「あなたは自分や大切な人が将来なる病気を知っておきたいですか?」というテーマのもと、2つのケースについて認定遺伝カウンセラーがミニレクチャーと劇を行いました。

ケース1:自分が将来なる病気について知りたい?

まずは、西垣認定遺伝カウンセラーが、「ゲノム情報」「ゲノム情報と病気の関係」「病気が発症する前の検査」についてミニレクチャーを行いました。

皆さん、真剣に聞いていらっしゃいますね

そして、近未来の病院を想定し劇を行いました。
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ここは近未来。みんな自分のゲノム情報が記載されたカードを持っています。病院にカードを持って行くと、自分が将来なる病気を教えてくれるようです。
Aさんは、「治らない病気について、将来自分がなるか知りたい」
Bさんは、「治らない病気なら知りたくない」
と考えています。

【劇】近未来の病院を想定


ケース2:赤ちゃんが生まれる前に病気があるかわかったほうがいい?

まずは、秋山認定遺伝カウンセラーが、「受精と発生・生命の誕生」「出生前・着床前診断」についてミニレクチャーを行いました。

立ち見の方も多くいらっしゃいました


そして、近未来の遺伝カウンセリングの待合室を想定し劇を行いました。
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ここは近未来。
これから出産を考える人たちが、赤ちゃんが生まれる前にわかる将来なりやすい病気や体質の遺伝子検査について相談にきています。
待合室では、AさんとBさんんが何やらお話ししています。
Aさんは、「生まれる前に体質や将来なりやすい病気がわかる検査があるのなら知っておいて子どもを育てたいと思うな」
Bさんは、「子どもの成長を見ながら考えたいかな。生まれる前には知りたくないかな。なりやすい病気を知っても、治る病気ばかりじゃないし」
と話しています。

【劇】近未来の遺伝カウンセリングの待合室を想定

2.参加者と認定遺伝カウンセラーが対話を通して未来の医療について考える

ミニレクチャーと2つのケースを通し考えたことを、各グループで話し合いました。親子で参加して下さった方も多く、親の立場、子どもの立場からディスカッションされている場面も多々ありました。立場が変われば、ものの見方が変わります。

参加者の皆さんと15名の認定遺伝カウンセラーが一緒に未来の医療について考えています


一部、対話の中での参加者の皆さんの声を紹介します。

自分が将来なる病気について知りたい?

「将来なる病気は知りたい!治療法はなくても、予防法があるかもしれない。それに今後新たな治療が開発されるかも」
「はじめからわかっていて、将来が絞られてしまうのは嫌だ」
「後の人生を知るのには、覚悟、勇気がいる。だけど有利だと思う」
「後の人生を知るのは怖いけど、知らないでいるのも心残りがありそう」
「遺伝の病気で差別があったら困るから、法律を作って欲しい」
「もしゲノム情報をみんなが知る世の中になったらとしたら、障がい者雇用のように、病気になりやすい特性を持つ人用の枠をつくるべき?」
「検査を受けたら何かしら分かるかもしれない。就職に影響すると厳しい。自分が経営者であれば健康な人がよいと思う」

病気が予測できることで、治療や予防に活用できるメリットがあること、
差別や就職の不利益につながるのでは、、などなどの意見がありました。

赤ちゃんが生まれる前に病気があるかわかったほうがいい?

「病気については予防できるので生まれる前に知ったほうがいいと思う。でも個性や身長は知りたくない。それで将来を決めつけたくないから」
「生まれる前に検査をして、病気になることがわかっていたら生まれてこれなかったかもしれないので、お母さんが検査をしてなくて良かった」
「妊娠後は病気について知りたくないかも。産む気持ちが揺らいでしまいそう。着床前診断でも、卵の時点で自分の子ども?生まれてきたら自分の子ども?どこからが人?って悩みます」

生まれる前の検査については様々な立場から多様な意見をお聞きすることができました。

ゲノム医療や遺伝カウンセラーへの興味

「ゲノムや遺伝子の話は、普段聞くことがないので、面白い、これからこんな風に医療が進んでいくんだなと思った」
「遺伝カウンセラーという職業は初めて聞いた、そんな仕事があるのか、実際はどんなところで、どんな風に働いているのか」
ゲノム医療や、遺伝カウンセラーという職業に関心を持ってくださる方もいました。

対話を通して認定遺伝カウンセラーとして感じたこと

様々な世代・背景の方のご意見は、ゲノム医療の体制づくりを考える上で大変重要となります。
子ども達の意見としては、予防できるなら知っておきたいけど、ゲノム情報で将来を決められたくないという声が多数聞かれました。
「ゲノム医療が発展することで差別が起こらないだろうか?」と考えておられる参加者さんが多いことを知り、ゲノム情報による差別が生まれない社会を作っていくことも私達の重要な仕事であることを再認識しました。

記事を書いていきます
子どもも大人も混じって記事を書いています

参加者の皆さんが書いて下さった記事の一部紹介します。

タイトル「みんなで助け合うために」
タイトル「人によって意見はちがうんだよ」

3.最後に

想定を上回る人数の方に参加していただき、とても嬉しかったです。
これからゲノム医療は医療の場でさらに必要とされることと思います。
今回、皆さんと一緒に考えることができ、新鮮なご意見もいただけ、私達も皆さんが安心してゲノム医療を受けることができる体制をつくるべく、日々がんばっていきたいと思います。
自分だったら知りたい?知りたくない?なぜ?という問いについて皆様にも考えていただけたら幸いです。
また、今後もこのようなイベントを通じて遺伝カウンセリング、認定遺伝カウンセラーの啓発活動も続けていきたいと考えております。

認定遺伝カウンセラーについて知っていただきたく、フライヤーを配布しました。

フライヤー
参加して下さった方が絵を書いてくれました。素敵な絵を有難うございます。


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