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簡単な簿記の知識(ご自分の事業の経理のために)⑤損益計算書について

損益計算書とは収入から経費を控除していって、最終的に決算するときにどれだけの利益が残ったか、あるいは損失が残ったのかを表しています。

④「貸借対照表について」で、フローとストックについて触れました。
そして、特定時点での財産状況をあらわす貸借対照表(資産・負債・資本)がストックにあたるとご説明しましたね。他方、一定期間の損益状況をあらわす損益計算書(収益・費用)がフローにあたるわけです。

法人の事業年度の計算は通常1年間を超えることはできませんので1年間の事業活動の結果、利益が出たのか、赤字になったのかを端的に見る(諸)表が損益計算書となります。

青色申告制度のところでも触れましたが、小規模な個人の事業者の方は収支日経式帳簿に記載した、売上と経費から決算書を作って所得を申告することができますが、この決算書が正に損益計算書なのです。様式は違いますが収入金額から原価を控除して、必要経費を控除して出てきた所得が利益という構造は同じですね。


損益計算書例



損益計算書では、いろいろな利益が出てきますね。
売上高から原価を控除したのちの利益が売上総利益
売上総利益から一般管理費を控除した利益が営業利益
営業利益から営業外費用を控除したものが経常利益
経常利益から特別損益を加減した利益が税引前当期利益
税引前当期利益から税金を控除した利益が当期利益となります。
それぞれの利益。イメージできますか。


売上高から原価を控除(差し引いた)後の利益、「売上総利益」っていうのがちょっとイメージとしては難しいかな?

売上総利益って、違う表現では粗利益荒利益)とも言います。
わたし、どちらかというとこちらの方がイメージしやすいかな。と思っています。

ちゃんとした最終の利益ではないけれど売上から仕入を引いたらどれくらいの利益になるのか、粗い(荒い)けれどざっくり、基本となる利益はどれだけ取れるのか。そういう利益です。

売上総利益営業利益というのはとても大切な利益なんです。
その大切な利益の一つである売上総利益

商品(製品)を販売するときに販売価格をいくらに設定するか。重要な経営判断ですよね。
即ち、仕入れてきた商品。もしくは製造した製品を販売するときにいくらの利益を乗せて販売するか。
売上総利益いかに続く利益の源泉になる売上高ですからね。
それぞれの利益の確保を目標として販売価格を決める訳です。
 当然のことですよね。

誰だって仕入れ値よりも安く販売する事なんて考えられないですよネ。
売上高を構成する商品ラインナップ。そこまで考えるとすべてにおいてそうなのか。
???

なにを言ってる?

バカバカしい。仕入れた金額や製造原価よりも安く売るなんてことあり得ない。

製品の場合にはほとんどないと思われますが、

例えば…

最近では宅配の新聞を取っておられないご家庭も多いようですが、宅配の新聞にはチラシ広告が入っていますね。
そのチラシの多くは地元スーパーのチラシではないですか。そのチラシを見比べてみたことありますか。
同じような商品なのにAスーパーとBスーパーでは価格が違う。具体的に云うとよく合った例はたまごのパックがAスーパーとBスーパーでは違う。そりゃあ、もちろん仕入れルートも違えば仕入金額も違って当然ではありますが、いわゆるこうした多店と価格競争をしている商品はおとり商品として異常な低価格の値付けさされることがあります。
この場合は、売上総利益はマイナスです。(あくまでもこの商品単独の粗利のことです。)

これは、シェア獲得のための販売戦略上の話ではございますが、たまに、こういうことも見受けられます。とはいえ、企業全体の売上総利益がマイナスになることは経営上、考えにくいことです。逆にいうと売上総利益がマイナスになる値付けは特別な場合を除いてあり得ないということです。


話が横に逸れてしまいましたが、それほど基本的な利益の概念であるということです。


続いて、営業利益
粗(荒)利益からいわゆる営業経費を差し引いた利益です。ということは、この営業利益が確保できないと事業を継続できない。だって、「この(営業)利益がマイナスということは営業を継続すればするほど、赤字が増大する。」ということだからです。

 通常の事業活動に必要な経費が原価であり、営業経費ですよね。ですから「これらの経費を賄えないと営業を継続することができないよ。」ということです。

 もしかすると、2020年から2023年のように新型コロナウイルス感染症の世界的な流行や、ウクライナへのロシアの侵攻、ハマスのテロ行為とイスラエルの攻撃など、多くの外部要因からくるコストアップ。それから来る営業へのインパクト。これがマイナスに働いているとしたら、これらに対する対応を措置しておかないと(放置していると)事業が継続できなくなるかもしれませんよ。


続いて経常利益です。経常利益は、営業外利益と営業外損失を営業利益に加減したものです。

 営業外利益には特別に生じた雑収入、利息収入、配当金収入など、営業外損失には支払利息などがあります。

なにか、お気づきになられましたか。

 営業利益というのは、事業の継続のために直接事業から発生する収入や経費の結果でしたよね。

 経常利益というのは、営業した結果に対して、財務的な損益を足した利益なんですね。財務的な損益って???
貸借対照表上でいうところの資産、負債の動きに連動した損益を足した利益ということです。

 利息収入というのは、預金から発生する収入ですよね。
 配当金収入というのは、出資、投資から発生する収入ですね。
 支払利息というのは、負債でいう借入金に対して生じる経費ですね。
 営業に関する利益に、財務的な取引により生じた損益を加えた結果が経常利益です。


次に税引前当期利益です。
 さきほど、経常利益でご説明したことと同様の見方をしますと(表現方法を使いますと)「税引前当期利益とは、経常利益に特別損益を加えた結果。」ということになります。
 特別損益って???
 特別利益には固定資産売却益、特別損失には固定資産売却した損失などがあります。
 ということは、投資活動による損益を加えた結果と言えます。
営業利益経常利益税引前当期利益の内容は、本稿では触れませんが、キャッシュフロー計算書とも連動した(直結した)理解が必要だということです。

 余談ですが、キャッシュフロー計算書は、貸借対照表と損益計算書と合わせて重要な財務諸表の一つであり、貸借対照表、損益計算書からキャッシュの流れを分析した表と言えます。

 そのキャッシュの考え方に、営業キャッシュ、投資キャッシュ、財務キャッシュというものがあり、先ほどご説明したように損益計算書とも関係して理解できるということです。

税引後当期利益は、税引前当期利益から法人税、法人県市民税、法人事業税などいわゆる法人税等と法人税調整額(企業における会計上の利益と税務会計の課税所得のズレを、解消するために用いる勘定科目)を加減した利益ということになります。

 この、法人税等調整額について、詳しい説明は省略しますが簡単に云うと、「企業会計と税務会計は会計処理におけるルールが異なるため、導き出される所得(利益)は一致しないことがあり、そのままにしていると損益計算書上の利益と納税額が食い違ってしまいます。決算の際にズレを調整するために用いるのが、法人税等調整額です。」
 この税引後当期利益が決算処分により、配当に回ったり、次期への繰越利益になるわけです。


ということで、損益計算書について書かせていただきました。


これからの予定は、
  ⑥貸借対照表、損益計算書の見方について
  ⑦最後に
 というテーマごとに短い記事をシリーズで投稿していく予定です。
 今回は「小規模事業者のための経理の基本と帳面について」という記事でした。
 次回以降もぜひ、読んでくださいね。
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