住宅用太陽光の許認可プロセスを自動化! 米政府お墨付きの「SolarAPP +」
太陽光発電設備の許認可プロセスに時間がかかるのは、日本も米国も同様だ。米国エネルギー省(DOE)は、ポータルサイトを使った許認可プロセスの自動化を推奨している。このサイトを使えば、2〜8週間の許認可プロセスをたった1日に短縮できるという。自動化に用いられるポータルサイト「SolarAPP +」について紹介する。
20営業日の許認可プロセスをたった1日に
「SolarAPP +」とは、Solar Automated Permit Processing(太陽光発電の自動許可手続き)の略称だ。住宅用太陽光発電システムの設置に関する申請内容を、基準に適合しているかどうか自動で判断するポータルサイトだ。WEBサイト上の質問項目に回答を入力するだけで、法令を遵守しているかどうかが自動で判別される。
このSolarAPP +を使うと、これまで平均1週間以上要した許認可プロセスを5〜10日短縮できるという。アリゾナでは、20営業日かかっていたプロセスを1日で完了でき、カリフォルニアのサンノゼでは、SolarAPP +の導入によってプロジェクトの承認件数が6倍に増えたとされている。
米国では、州や市、郡などの地方自治体が住宅用太陽光発電の許認可を行う。許認可のプロセスが複雑だったり時間がかかったりする地方では、事業者が設置に消極的なこともあるという。そういった地方でこのSolarAPP +を活用すれば、これまで少なかった太陽光発電の導入量が改善すると期待される。
このような背景から2021年9月、DOE長官のジェニファー・グランホルム氏は、地方自治体の首長に宛ててSolarAPP +の導入を推奨するメッセージを発信した。
事業者だけでなく自治体の事務手間も削減
SolarAPP +は、主に消防や構造、電気的な観点から法令で定める要件に適合しているかどうかを審査する。まず、SolapAPP +のWEBサイトにログインし、案件の名称や住所、蓄電池の有無などの基本的な情報を入力する。
(出典:SolarAPP +ウェブサイト)
続いて、消防、構造、電気といった項目ごとにいくつかの質問に答えていく。例えば、消防に関する質問内容は「設置先の住宅にはスプリンクラーがあるか」「住宅のトータルの屋根面積は?」といったものだ。構造に関する項目では、太陽光発電システムの重量などについて質問される。こうして質問の回答を入力すると、審査の申し込みが完了するというわけだ。
さらに、SolarAPP +は、地方自治体がすでに運用している別のソフトウェアと連携させることもできる。自治体の審査部門であれば、SolarAPP +を無料でインストールできる。自治体の事務手間も大きく削減できる一石二鳥のポータルサイトだ。
太陽光のソフトコスト圧縮に期待
2022年2月現在、SolarAPP +は全米防火協会の米国電気工事規程(National Electrical Code 、NEC)の屋上太陽光の発電許可や、州・地方のライセンス検証など複数の基準に対応している。将来的には、NECの住宅用蓄電池の保有に関する許可のほか、建材一体型や集合住宅の太陽光発電システム、太陽熱や電気自動車の許可などへも範囲を拡大する見通しだ。
SolarAPP +はもともとDOEの補助事業の一環で、国立再生可能エネルギー研究所(NREL)と認証企業大手の米ULが共同で開発したものだ。カリフォルニア州の複数の都市を中心に、採用する自治体が増えつつある。
太陽光発電を導入する際、許認可プロセスで多くの手間と時間がかかるのは日本も同様ではないだろうか。こうした自動化のソリューションを活用できれば、太陽光発電のソフトコストの圧縮につながると期待される。
*参考: