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「社長を連れてこい!」と顧客に激高され、社長に来てもらった時のこと | ターニングポイントとなった出来事

こんにちは
イデアレコードの左川です。

若かりし頃、進行していた案件で顧客とトラブルになり、「社長を連れてこい!」と激高されたことがあります。そのときの社長の行動と自分にかけてもらった言葉が今でも自分の糧になっているので、今回はそのことについて書きたいと思います。

ちなみにですが最初に言い訳しておくと、もともとトラブルになっていた案件に私が火消しで入った感じです笑

トラブル発生の経緯

制作案件で良くありがちなトラブル要因として下記の3つがあります。

①デザイン案としてコピー・文言も最終系で入れ込まないと見てくれない。
通常は構成案やラフ案で方向性を確認をしてからデザインをしていく方が効率的にも良いのですが、その手の話がまったく通用しない相手というのが存在します。

②「No」に関する理由を言語化してくれない。
なぜ「No」なのかを因数分解できないと改善策の精度は著しく低くなります。①と重なることで出し戻しの回数は増え、制作負荷は爆増し、デザイナーは嫌気がさしてきます。

③顧客の業界に関する知識を同程度持つことが求められる
これについては当たり前じゃん!という考えもあるかと思いますが、専門的な業界では必ずしも叶えられない場合があります。もちろん知識を高める努力はするけれど、付け焼刃の知識では限界があるのも事実です。
※個人的には「webサイトのプロ(制作側)×業界のプロ(顧客側)」という形でそれぞれの立場からディスカッションをしながら構築をするものの方がクオリティが高いと思います。

この案件は①②③をすべてを満たす要注意案件であり、想定通りスケジュールが大幅に遅延していきました。挽回するために人員が足される形になり、耐性がありそうな私もそこに投入されたわけです。

とはいえ、一気に挽回することは難しく、再度設定したスケジュールもさらに遅延していき、顧客が担当者と話しても埒が明かないので、「社長を連れてこい!」となった次第です。

「社長を連れてこい!」当日

当日、顧客のいるビルの下で打ち合わせ開始より少し前の時間で社長と待ち合わせをしました。

社長から改めて先方が怒っているポイントと経緯を再度確認をされ、「君は何もしゃべらなくていい。横に座っていたらいいよ」と言われました。
何からどのように話して、どんな風に説明をしたらいいのか…と悩んでいたので、正直その言葉に救われました。

そして打ち合わせが始まりました。
先方の怒りは最初からMAX状態で、不平・不満をぶつけてきます。
「いや、それは違うよ」ということも多々ありますが、そんなことお構いなしに“煉獄 by喧嘩稼業”が続きます。

煉獄 by喧嘩稼業

やがて訪れた少しの間、社長は言いました。
「社員の対応に関する責任は、すべて私社長の責任になります。」

「んん?」
いつもの社長とはなんか違う。。。

「私が責任持って、会社として最後まで対応します」
あの社長が頭を下げながら相手に真っ向から話をしていきます。

途中、別の参加者が事実を違うところについて説明をしかけたのですが、
それを制しながら、社長は相手の話を聞きます。

相手も溜まっていたものを吐き出せたこともあり、だんだんと落ち着き始めました。そして、なんとかその場は収まり、また案件は動き出す形になりました。

帰り際、社長が言いました。
「怒っている相手には何を言っても伝わらない。理路整然と反論しても、例えこちらが正しいとしても、火に油を注ぐだけだ」

そして別件があるとタクシーに乗って去っていきました。
こちらには顔を向けず手を振りながら後部座席に乗り込む姿は神々しく、
ちょっとカッコいいなと思いました。。。

その後も案件は相変わらず大変だったのですが、
なんとか無事リリースまで持っていくことが出来ました。

あれからだいぶ時が経ち、自分も社員をみる立場になっということもあり、
あのときの社長の行動や言葉を時々思い出したりします。

若かりし自分が頼りになると思ったような人間に自分は果たしてなれているのか‥


そんなわけで、自分自身にとって非常に感慨深い出来事でした。
今は某大学で客員教授をなされているそうで、
また機会があれば話を聞いてみたい。

前回の記事はこちら


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