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人はなぜ 旅をする?
40年近く旅に携わって思うこと。
「旅は道連れ 世は情け」 人生を旅に置き換えて考えることもよくある。
いつ、どこに、誰と歩くのか? シチュエーションで状況はかなり変化する。
過去、サラリーマン時代も含め、多くのツアーに出て、様々な人たちと行動を共にして、それぞれ人生の1ページに立ち会うこともあった。
シルクロードの果てを訪ねる長い旅もあれば、1泊2日の温泉旅行の場合もある。 これからその一つ一つの旅を振り返ってぼやけた記憶に少し火を灯し、再びゆっくりと味わって考えてみたい。
あるご夫妻の1泊2日の温泉旅行にお付き合いした時のこと・・・・
「今回の旅は結婚記念のお祝いに息子と娘がプレゼントしてくれたんだ」
お二人とも幸せな笑顔で話してくれた。
「多分、2人で来れる最後の旅となりそう・・」それほどご年配でもないのにその言葉に少し戸惑いながらも「そんなこと言わず、またご一緒しましょう」と明るく返すとご主人の顔が少し曇った。
「実は余命宣告を受けたんです」 返す言葉が見つからない・・・
そんな大事な「旅」に私は同行しているという責任の重さと
どうしたら思い出深い旅にできるのか・・・
という考えがぐるぐる頭をかけめぐる。
その後もおふたりは穏やかな時間をゆっくり過ごされ
帰着のご挨拶をする時も特別な言葉もかわせずにそのまま背中を見送った。
自分にとっては何度も訪れている場所でも、来られているお客様には想像もつかない特別な事情があることもある。
このひと時を最高の時間にできるよう努力が必要だが一体通りすがりの私に何ができるのか、もしかしたらこの旅が最後の旅となるかもしれない方がいらっしゃるかもしれないということを常に考えようと肝に銘じた。
お二人はお互いを優しい眼差しでみつめ、ただ、その共有できる時間を愛おしむかのように過ごし、その時を迎えるまでこの2日間を思い出してくれただろうか。