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【OfftheJob】2024年最新版 クリエティブのヒントになるかもしれないポッドキャスト番組10選
ラジオを愛してやまないデザイナーの松本です。
今回は、ごくごく偏愛的なチョイスになるのですが、クリエティブやビジネスのヒントになるかもしれないポッドキャスト番組を、いくつか紹介したいと思います。
1. COTEN RADIO
歴史を愛する深井さんとヤンヤンさん、"歴史弱者"の樋口さんの3名が、パーソナリティを務める、歴史を学べる殿堂入りポッドキャスト番組。徹底的にテーマとなる歴史上人物を調べ上げ、何も知らないお友達に教えてあげるようなスタイルが、非常に分かりやすい構成となっています。
最新回は、人心掌握の名手、秀吉と家康! 戦国時代のリーダーのあり方と現代のビジネス経営と重ねてお話をされるあたりが、この番組のユニークなところ。
2. ウェンズデイ・ホリデイ
毎回ビジネスに関するゲストを招き、アナウンサー堀井美香さんとトークを繰り広げるポッドキャスト番組です。
主体性やリーダーシップはみんなに求められるけれども、走る車に例えた場合に組織みんながアクセルでブレーキがなかったら、どうするのかなって思うんです。役割分担なんですよね、組織は。
番組名の由来は、週の真ん中にある水曜日を1週間の折り返し地点とし、北欧では水曜日の夜を「Little Saturday(小さな土曜日)」と呼ぶことをヒントにつけられたそう。素敵ですね。
3. ゆるコンピュータ科学ラジオ
『ゆる言語学ラジオ』の兄弟番組で、作家で元プログラマーの堀元さんと、言語オタクの水野さんが、パーソナリティを務めます。専門的な知識を持たないリスナーにも楽しめます。
オススメの回は『#134 アフィリエイターが死んだ日。彼らが一斉に失職した怖い話をしよう』です。昔々、インターネットの世界で、白い背景ページの上に白いテキストをSEO対策として書くとか(悪しき風習として)あったことを思い出し目を細めました。
4. 流通空論
流通やビジネスに関するテーマを扱うポッドキャスト番組です。
ラッパーでクリエイティブディレクターのTaiTanさんがパーソナリティを務め、毎回ビジネスパーソンをゲストに招き、流通やカルチャーにまつわるトークを繰り広げます。これまでのゲストは、オフィスを実験的に一般開放したコクヨの社長や、ドムドムハンバーガーの社長など豪華。TaiTanさんの別番組『奇奇怪怪』も人気ポッドキャスト番組です。
5. IMAGE CAST
技術・デザイン・制作・表現などに関する、ラフな雑談ポッドキャストです。Image Club主宰のエンジニア・デザイナーのあずまさんと工作好きエンジニアの鉄塔さんが、パーソナリティを務めます。
最近はVision Proを実際に購入されたようで、Vision Proをつけたまま家族とどうコミュニケーションをとるか、お話をされていました。ちなみに、思ったより生活が成立するそうで逆に現実空間にクレームが出てくる、というお話です。
Image Clubさんは、子どもの絵と日記をAIで生成する『架空の絵日記を生成してくれるカメラ』を開発したり、『ブラジルにつながってる穴』(穴を覗くと360度のブラジルの動画が半球体に投影される)など、ハッとするアイディアのオブジェ等を制作されています。
6. CULTIBASE RADIO
経営コンサルティング会社のMIMIGURIの方がパーソナリティを務めます。組織づくりや、創造的なコミュニケーションにおける問いかけなど、ビジネスのヒントに役立つPODCAST番組です。
最新回では、自分の言葉を紡ぎ出すことはケアの一環にもなる、というお話をされています。
(ChatGPTなどによって)自分自身がしっくりくる言葉を作る筋肉が衰えていくと思うんです。チームとして柔軟にしなやかになるうえで、一人一人の根っこにある役割を超えた創作活力を押し込める、呪縛のようなものがあるけれど、そこを逃れる場所を作ることがチームレジリエンスで、自分の言葉を取り戻すための大事な運動なんです」(文、要約しています)
7. デザイナーの給湯室
デザイン関連のニュースを、ゆるく話り合うポッドキャスト番組です。まさにデザイナー同士が給湯室で喋っているような雰囲気ですが、デザインを学ぶ人、働く人にとって役立つトピックも満載です。デザイナーのぱちぱちさんとUTAさんがパーソナリティを務めます。
8. AFTERNOON RADIO「デザインのよみかた」
大学でデザインの教鞭を取られている先生方のポッドキャスト番組。
デザイン名著の読み解きやデザイン講義の後日談、アカデミックな内容も含みつつ、ヴァージル・アブローの考察など、お二人のデザインの深掘りがたのしい内容です。
9.月曜、朝の逆立ち
スキンケアブランドのORBISのプロジェクト。デザイナーやアーティスト、写真家のお喋りが聞けるポッドキャスト番組です。
一歩踏み出すのがすごい怖かった時、ある人に「こだわることをこだわらなければいいんじゃない」っていう言葉をもらって。例えば、今までフィルムじゃなきゃいけないって思ってたとか、自分のスタイルだと思っていたことが(中略)すごい狭いルールを十年ぐらい持ち続けてたんだなって思って、それが結構突破できた。
この話が印象的でした。長年同じ仕事をしていると手癖でやってしまうことや、自分が意識しないなくても自分で作ったルールに縛られていることってありますよね。それがある日、実はそれほど重要じゃなかったと気づく。とても共感しました。
10. 広告を楽しむアドバタラヂオ
広告に携わるおふたりが、「広告にまつわる出来事や出会いを通して、広告を好きになる人を増やしたい」をテーマにお届けするポッドキャスト番組。今年(2024年)のJAPAN PODCAST AWARDS(教養部門 優秀賞)を受賞されています。
おまけ
その後のプロフェッショナル 仕事の流儀
このポッドキャストは終わってしましましたが、多くの車両デザインを手掛けてきた水戸岡鋭治さんの回は必聴ではないでしょうか。
鈴木ジェロニモの感情
おまけです。お笑い芸人で歌人の鈴木ジェロニモさんがパーソナリティを務めるポッドキャスト番組です。
鈴木ジェロニモさんの短歌の中に、こんな歌があります。
「冷蔵庫の6Pチーズ傾けて2P残っているときの音」
すごくないですか。
番組では、彼の研ぎ澄まされた言語感覚と独特の視点とを交えながらの短歌コーナーが盛り上がりをみせています。まさに短歌は、「言葉のデザイン」と言ってもいいのではないのでしょうか。
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以上、クリエティブなヒントになるかもしれないポッドキャスト番組(私的な10選)でした。
さて皆さまは、日々お仕事で<雑談>していますでしょうか? 私はお恥ずかしながらあまりできておりませんね。
最近売れているらしい『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』(ピョートル・フェリクス・グジバチ著)という本によれば、日本人は雑談を無駄話と捉えがちですが、英語ではsmall talkやchatはざっくばらんな情報交換であり、それはdialogue(対話)に近いものだそうです。
ポッドキャストの良いところは、自由で気の抜けた雑談を、好きな時に聞ける点です。言語化能力に長けた人々の雑談を聞くだけでも、何か得られるものがあるかもしれません。
余談ですが、Spotifyには「聴きながら読む(ベータ版)」という自動文字起こし機能があり(できない番組もあります)、これiPhoneで再生していてもWEB版のSpotifyを起動しておけば文字も同期でき、操作も同期できることに今更ながら気がつきましたよ。