曲げなければ曲がらないが、少しでも曲げようとすれば素直に曲がる(初代隼の乗り方)
2001年製の初代隼を購入してから2カ月。
慣れてきた、という域には達していないが、時速80km以下の領域の乗り方はわかってきた、とはいえそうだ。
初代隼は乗りやすいバイクなのかーーこれは、初代隼を狙っている人には関心が高いテーマだと思う。
60万円で175馬力を手に入れることができるが、扱いきれないシロモノでは無駄になってしまう。
私が出した結論は次のとおり。
■初代隼は乗りやすいバイクなのか
●そこそこ以上のテクニックがあれば乗りやすいといえる
●バイクの操縦に自信がない人は、まだ買わないほうがよい
●大馬力の400㏄か、700㏄前後のミドルクラスを1年間しっかり乗れば、乗りにくさは感じないだろう
とにかく重いバイクなので、取り回しに自信がない人はやめておいたほうがよい。
取り回しはなんとかなりそうな人なら、上記の3つの基準が参考になると思う。
初代隼は、乗りやすいバイクではないが、時速80km以下の領域で乗りこなすことはそう難しくはない。
この中途半端な特性は、自分からは曲がろうとしないが、乗り手が少しでも曲げる努力をすれば案外簡単に曲がってくれる、という性質から生まれたものだ。
より具体的にセツメイすると、低重量、低排気量、低馬力バイクに乗っているときのように無意識にカーブを曲がろうとすると、思い描いていたラインより20cmくらい外に出てしまう。
とても危険である。
だからオーバースピードでカーブに侵入することは自殺行為だ。
しかし、ハンドルを握る力を緩めて、腰を曲がる側に落とすと、今度は驚くほど素直に狙ったラインを通ってくれる。
これは快感レベルで「こんなにでかいバイクを曲げてるぜ、俺」と思える。
ただ私は先ほど「バイクの操縦に自信がない人は、まだ買わないほうがよい」と言った。
腰をちょっと入れただけで素直に曲がるのであれば、大型バイク初心者にとっても乗りやすいバイクになりそうな気がするだろう。
ところがそうとはならないのだ。
中型やミドルバイクなら、腰をちょっと入れることはそれほど恐くないが、初代隼ではそれだけのことが結構恐い。
だからといって、カーブを曲がるたびに恐い思いをして腰を入れていると、いつか破綻してしまう。
破綻とは、思い描いていたラインを20cmオーバーしてしまうことであり、つまり自殺行為である。
したがって初代隼でのコーナリングでは、安心して腰を入れられるようになる必要がある。
そのためには中型またはミドルバイクでコーナリングの練習を積んだほうがよい。
中型またはミドルバイクは自然に曲がってくれるが、それに頼った乗り方をするのではなく、自分の意図でバイクで曲げていくのである。
例えば、コーナリングの途中でラインをわざとずらしたりするのだ。
この練習は、突然の出来事に対処するスキルを上げることにもつながる。
中型またはミドルバイクで、自分で曲げているという確信が得られれば、初代隼での腰入れはそれほど難しくない。
したがって、まだ中型またはミドルバイクで「乗れていないな」と自覚している人は、初代隼への挑戦は保留して、まずは中型またはミドルバイクで攻めた走りをしたほうがよい。