「BtoBはBtoCの劣化版」と考える覚悟【経営論】
経営者が、BtoBビジネスとBtoCビジネスを並列に考えるのは危険である。
経営者は、BtoBはBtoCの劣化版と考えたほうがよいだろう。
あるいは、BtoBの進化版こそBtoCであると考えたほうがよいだろう。
BtoBは、どう足掻いても下請けであるからだ。
例えばパナソニックとソニーは、BtoCである家電事業が不調で、BtoBに移行したが、これは水平移動ではなく、落下ととらえるべきだろう。
消費者(C)を魅了する家電をつくれなくなって、家電づくりの技術をBtoBに使ったのである。
BtoBの最初のBは自社であり、下請けである。
2番目のBはクライアント、発注者である。
ソニーは下請けになるのが嫌だから、BtoBにならざるをえない電気関係を減らして、儲けが出るBtoCであるエンタメや金融に舵を切ったのである。
ではなぜBtoC会社がBtoB会社に転落するのか。
それはBtoBのほうが楽だからだ。
BtoB会社の顧客は2番目のB(企業)だから、一度契約すれば、継続して仕事をもらうことがあできる。
その間、営業も要らないし、改善も不要だ。
ところがBtoC会社の顧客である消費者(C)は気まぐれだし、移ろいやすいし、ひねくれものだ。
5回連続で自社製品・サービスを買ってくれていた人が突如買わなくなる、ということが、消費者では簡単に起こる。
こんな気まぐれな顧客(消費者、C)を追いかけるのは疲れるので、BtoCはBtoBに転落する道を選んでしまうのだ。
BtoBは結局搾取される。
最終的にカネを支払うのは消費者(C)だ。
そのカネを最初に受け取るのはBtoC会社だ。
BtoC会社は消費者から受け取ったカネを、自社のビジネスに協力してくれた下請け(BtoB会社)に配る。
力関係は常に、カネを配るほうが強く、カネを受け取るほうが弱い。
すなわち、BtoC会社のほうが有利で、BtoB会社は不利である。
なぜならBtoC会社は、BtoB会社に支払うカネを少なくすれば、いくらでも自社の利益を増やせるからだ。
最近、名店の寿司屋が冷凍食品会社に寿司を卸したり、有名ラーメン店が即席ラーメン会社の監修を手伝ったりしているが、これはBtoCからBtoBへの転落であり、あまりおすすめできない。
名店の寿司屋も有名ラーメン店も、せっかく自分たちで優良な消費者(C)をゲットできているのに、それを別のBtoC会社(冷凍食品会社と即席ラーメン会社)に渡してしまっているからだ。