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10年の時を越え、ハイパーヨーヨープロモーションが復活!

こんにちは!ヨーヨーパフォーマーのBLACKです。

2024年7月20日に、「新ハイパーヨーヨー」が発売されます。10年ぶりのハイパーヨーヨープロモーションということもあり、ヨーヨー愛好家の方々の間では、期待の声が日に日に大きくなっています。

本記事では、以下について書いていきます。


はじめに:筆者とハイパーヨーヨーの関係について

私は、1997年にヨーヨーを始めて、今年でヨーヨー歴は27年になるヨーヨー愛好家です。

ヨーヨーコミュニティ内での活動としては、世界大会で2度優勝しています。

現在は、ヨーヨー技を人前で披露する「パフォーマー」を本業としており、シルク・ドゥ・ソレイユなど国際的な舞台でヨーヨー文化の発信に寄与したことから、「ヨーヨーマスター」の称号を受勲しています。

BANDAI社のハイパーヨーヨープロモーションとの関係性については、以下の通りとなります。

  • 第1期(1997~2000年): 購入者のひとり

  • 第2期(2003~2005年): デモンストレーションのアルバイト

  • 第3期(2010~2014年): 発売前のマーケティングに協力

  • 第4期(2024~20??年): 関係性無し

今回の2024年ハイパーヨーヨープロモーションには全くかかわっておりませんので、本記事はPRやステルスマーケティングではないことを明示させていただきます。

ハイパーヨーヨーとは?

ハイパーヨーヨーとは、BANDAI社が販売するヨーヨーの総称です。

30代後半以降の方には、97年の第1期ハイパーヨーヨーの流行が印象深いかと思いますが、その後も第2期(2003~2005年)、第3期(2010~2014年)と定期的にキャンペーンを行っています。

今回のハイパーヨーヨープロモーションは「第4期」にあたり、前回から10年の時を経た復活、という事になります。

今回発売される「ハイパーヨーヨーアクセル」とは?

BANDAI社は、各期ごとに商品ラインナップを刷新しており、今回の第4期プロモーションでは、新作ヨーヨーが発表されています。

それが、「ハイパーヨーヨーアクセル」です。

最も大きな特徴は、「初心者の人でも、簡単に、ヨーヨーをまっすぐに回転させることが出来る」という点です。

初めてヨーヨーを遊ぶ方にとって、一つ目の壁となるのが「まっすぐ投げる事」です。どうしても斜めになってしまい、回転がすぐに止まってしまう事が多いんですね。

「ハイパーヨーヨーアクセル」では、「アクセルシステム」と呼ばれる機構を搭載しており、初心者の方でもまっすぐに回転させることができる仕様となっています(※1)。

97年のような流行は起きるのか?

第1期のハイパーヨーヨープロモーションでは、実に2700万個ものヨーヨーが売れたと言われています。今回の第4期プロモーションでも、同様の流行は起きるのでしょうか?

私個人の意見としては、かなり難しいのではないか、と思っています。

理由はいくつかあり、特に大きいと考えられるのは以下の3点です。

①最初のハードルが高い(クリア済)

「ヨーヨーで遊んでみたい」と思う方の多くは、華麗に技を披露するトップ選手の映像を見る事がキッカケであることが多いかと思います。

ところが、実際にヨーヨーを購入してみると、まずは「ヨーヨーをまっすぐ投げる練習」をしないと、基本技の練習すら始められません。

ヨーヨーとは、苦行を通過しないと本来の楽しさを味わうことができない、初心者の方にとって不親切な玩具なんです(※2)。

ただこの点においては、今回の「ハイパーヨーヨーアクセル」では解決済みとなっています。

前述の「アクセルシステム」搭載により、苦行をすっとばして、いきなり「犬の散歩」や「ブランコ」などの技が出来るようになりました。

この「手にした瞬間、練習無しで技ができる」というのが、「ハイパーヨーヨーアクセル」の最も大きな特徴であり、流行への期待がかかります(※3)。

②上達への過程における「難易度調整」が難しい

さて、初心者の方への第一関門はクリアされているのですが、その後いろいろな技を習得していくにあたっては、やはり練習が欠かせません。

しかし、上達への過程において、新たな技が「急に難度が上がった」と感じたり、これまで練習していた経験が活かしづらい技などが出てくることがあるんです。

「急にハードルが上がって、モチベーションを保ちづらくなる時期がある」とも言えますね。

昨今はスマホゲーム等が人気かと思いますが、デジタルのエンターテイメントにおいては、こうした難易度調整やプレイヤーのモチベーション維持が丁寧に調整されていて、プレイヤーが離脱しにくい仕様となっています。

この点において、リアルホビーであるヨーヨーは、どうしても難度調整にバラつきが生まれ、「いつまでもこの技が出来ない!つまんないから辞ーめよ」といった離脱が発生しがちです。

こうした離脱を防ぐためには、キャンペーン内におけるヨーヨー技リストの作成において、難度を徐々に上げつつ、習得時には達成感を得られる技を選定する、といった丁寧な調整が必要となってきます。

③動機づけの難しさ

そもそもの話になるのですが、ハイパーヨーヨーが流行るためには、多くのお子さんたちに「ハイパーヨーヨーで遊んでみたい!」と思ってもらう必要があります。

97年の大ブームの際は、「コロコロコミック」「おはスタ」等のメディアを通じ、最新機種やヨーヨー名人の情報を発信することで、「今のヨーヨーはすごいんだ!カッコいい技を僕もやりたい!」という動機づけに成功していました。

しかし現代においては、メディアの多様化が進んでおり、ターゲットであるお子さんたちへ情報を届けることが難しくなっています。

また、発信する内容についても、「最新機種やヨーヨー名人の情報」のままで良いのか、別の角度の方が現代のお子さんには響きやすいのかなどは、再検討の余地がありそうです。

現代のお子さんに合わせたメディアにおいて、現代のお子さんが「ハイパーヨーヨーで遊んでみたい!」と思うような情報発信を行う。

97年のブーム時からアップデートされた、新たな情報発信・イメージ作りが必要となるでしょう。

では、今回のハイパーヨーヨーは流行らないのか?

決してそんなことは無いと思います。

容易ではないと思いますが、BANDAI社はそのような事は百も承知でプロモーションの実施を決めているはずですし、想定される課題への対策も十分に練られているはずです。

前述の通り、初心者の方にとっての不親切を解決していたり、難易度調整についても丁寧に技リストを作成されているようですし、従来メディアだけでなくYouTube等も通じた情報発信を行っています。

またデモンストレーターにも、世界チャンピオン「ハジメ」さんを含む、若手選手の皆さんを起用しています。

逆風と言える時代背景でもプロモーションを行うと決定したBANDAI社の戦略と、競技ヨーヨーの世界で技術を磨いてきたデモンストレーターの皆さんが手を取り合い、新たなヨーヨー愛好家の方々を増やしてくれることを、心から願っています。

ハイパーヨーヨーの流行は、ヨーヨーコミュニティにとってどのような影響があるのか?

さて、私個人としては「今回のハイパーヨーヨープロモーションの成功を、心から願う」立場ではあるのですが、実際に流行るのか、あまり流行らずプロモーションが終了するのかは、正直なところ分かりません。

ただし、本音を言わせていただくと、「流行っても流行らなくても、ヨーヨーコミュニティにとっては、プラスしかない」と考えています。

ヨーヨーコミュニティの立場から見た「ハイパーヨーヨープロモーションの意味」とは、「若い新規プレイヤーを増やしてくれる」というものです。

直近5年ほど、日本ではヨーヨー愛好家の方が増加傾向にありますが、多くの方は、97年のブーム時に遊んでいた、30代の方が中心です。

これは決して悪い事ではないのですが、ヨーヨーが文化として長期的に続いていくためには、若い新規プレイヤーの増加は、重要な要素の一つです。

この点で、ハイパーヨーヨープロモーションは、流行り具合による人数の増減はあれど、若い新規プレイヤーを増やしてくれる、コミュニティにとって非常にありがたい存在である、というのが私の捉え方です。

私たちヨーヨー愛好家は、どうすればよいのか?

では、こうしてハイパーヨーヨーをきっかけにヨーヨーに興味を持ってくれたお子さんに対して、もっと深くヨーヨー文化を知ってもらうべく、他社のヨーヨーも紹介したりするべきなのでしょうか?

これは、避けた方が良いNG行為であると考えた方が良いでしょう。

BANDAI社は、あくまで自社商品である「ハイパーヨーヨー」を販売するためにプロモーションを行っています。

しかし、顧客が他社商品を購入するようになってしまっては、プロモーションを行う意味が無くなってしまいます。

プロモーションの短命化=新規プレイヤー増加に歯止めをかけることにつながってしまうんですね。

ヨーヨーコミュニティに属する私たちにとって重要なのは、「ハイパーヨーヨープロモーションの邪魔をしない」という事である、と考えています。

と言っても、特別難しい事ではなく、下記のような一般マナーを守れば十分ではあるかと思います。


  • ハイパーヨーヨーのイベントへ行く際は、他社ヨーヨーを持っていかない

  • イベントを観覧する際は、前列はお子さんに譲ってあげる

  • SNS等においてヨーヨーコミュニティの一員として発言する場合は、ネットマナーに注意する

  • 人通りの多い場所ではヨーヨーをプレイしない


一方で、各地のヨーヨー交流会にもヨーヨーを始めたお子さんが新たに参加されるケースもあるかと思いますので、そうした場合は全力で歓迎してあげたいですね。

10年ぶりのハイパーヨーヨープロモーション、成功を心より祈念しています!

長文をお読みいただきありがとうございました。

お読みくださったコミュニティの皆さんも、一緒にプロモーションの成功を支えていきましょう!


※1:「ヨーヨーを投げず、掴んで引く機構」は、20年以上前から存在しており、全く新しい機構というわけではありません。ただし、「掴みやすさ」や「ヨーヨー本体の使用感」等を含めると、ハイパーヨーヨーアクセルは、初心者向けヨーヨーとして十分画期的であると言えると思います。

※2:もちろん、まっすぐ投げる「スリーパー」さえ覚えたら、その先には楽しい技がたくさん待っているのですが…!

※3:正確には、「”ほぼ”練習無しで」「初歩的な技の一部ができる」という表現となります。ハイパーヨーヨーアクセルは、設計の仕様上、中級以上の技には不向きな仕様となっています。あくまで「初心者がヨーヨーを始める際に最適なヨーヨー」という商品コンセプトとなっています。


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