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NPO法人の新規事業のその後

暑い夏が過ぎようとしています。いかがお過ごしでしょうか?

 さて、ちょうど1年前のこの時期にお手伝いしているNPO法人が始めたフードパントリー事業の感想めいたものを書きました。この事業は家庭こども庁が行う保育園施設を使った子ども食堂等の地域支援の事業ですが、今読み返しながら思い出してみると、見切り発車したけど、結果オーライでよかったと思います。最初は運営の仕方が固まらず、とにかくばらまいてみるというやり方で、結果として不特定多数の方が多く参加されました。イベント参加のエントリーとして、ラインでの事前登録をお願いしていたましたが、来られてから、登録する方も多く、受付の業務は登録の仕方の案内から始まりました。イベントでは親御さん同士の交流目的を意図していたので、保育士を手当して子供のあそび場なども作っており、子供を遊ばせて参加される方に加え、時間分散はしたものの、エントリーされた方が次々に来られ、狭い園内での人の流れも制御できず、座る場所もないぐらい人が密集してしまいました。フードパントリーが無ければ、かなりクレームが入ってもおかしくない会場の状況だったと記憶しています。当法人にとっても、地域に法人の名前を広めるという目的は達成したが、交流会としての目的からは外れた、忙しいだけのイベントになってしまった感があります。

 今年度も、家庭子ども庁の保育園施設を使った子ども食堂等の地域支援は継続事業となり、当団体も7月に申請をして、今年度も事業を行うことができるようになりました。七夕の日に第1回のイベントを行い、8月3日にも第2回もイベントを行いました。第1回のイベントは、補助金の申請時期と重なり、準備期間もあまりなく、補助金の申請が通らなければ、団体の持ち出し事業となることから、フードパントリー事業としてはあまり大々的にはできませんでしたが、外の会場を利用した子育てにおいての先輩保護者の体験談を聞く会と、地域交流を目指した音楽イベントとの開催がその内容でした。ただ、去年の居場所づくり事業の成果が発揮され、当団体のイベントとしては過去最大の参加人数になりました。第2回目のイベントは保育園の夏祭りイベントと銘打ち、保育園での開催場所として、在籍する園児さん参加の第1部と、地域の方を呼び込んだ第2部の構成で開催しました。2部に関してはフードパントリー事業を組み込んだ形の内容としました。昨年と違って、参加者には、Peatixを使った定員制での事前登録をお願いしており、受付の混乱も少なく、事前受付された方の内容を見ても、今までご縁の無かったご家族の参加も一定数有ったうえに、医療的ケアを受けておられるお子さんの御家族の参加も数組あり、当団体にとってはうれしいイベントになりました。

 フードパントリーとは別に、新規事業として企図しているものに放課後児童健全育成事業があります。所謂、放課後児童クラブ(以下学童と略します)の運営です。当法人は保育園で疾患のある子どもも含めて0歳児~2歳児のお子さんをお預かりしています。一方で、他施設で医療的ケア児を受け入れるための支援も中間支援事業として行っています。この事業で、すでに保育園や学童での医療的ケア児の受入支援の実績があり、時間的経過に伴う子供の成長に応じた支援を行っていきたいということの延長線に学童の事業はあります。この事業の立ち上げが残念ながら進みません。その理由としては一義的には人の問題です。すでに稼働している事業に相応のボリューム感があるので、どうしても代表理事を始めてとして、其方が優先になってしまうのは、やむを得ない面があります。求人サイトで採用しようとはしていますが、求めるスペックと払える対価との兼ね合いなどもあり、うまくいっていないのです。それでも私が関わり始めた4年前は、15名ほどのスタッフでしたが、今は25名を超えるところまで組織も大きくなっているのですが、働き方の多様性も追及しているので、短時間勤務者も結構いて、シフト管理などが難しくなってきたと感じます。代表理事の仕事の一部を任すことのできる管理者の育成が組織としては課題となってきたかなと感じます。

 人に関して、NPO法人として悩ましい問題はほかにもあります。会員(株式会社でいう株主)と被雇用者の業務的な切り分けとその対価の問題です。具体的には被雇用者はNPO法人の会員になっていただいているので(人によってはNPO会員から被雇用者になる方もいます。)、NPO法人の会員として動いてもらうのか、被雇用者として動いてもらうのか、はたまた、その稼働は有給なのか、無給なのかという問題です。NPO法人であっても雇用契約を締結すると、被雇用者は労働基準法上の労働者に位置付けられ、有給が前提になります。一方、NPO法人の会員は、無給が前提です。当然、被雇用者であったも、会員であっても、NPO法人の運営に携わることが可能です。業務が増えて、組織が大きくなるということは、一人一人、業務業務(例えばイベント一回一回)で都度、その選択が発生することになります。特に保育園や他施設での中間支援事業は被雇用者としての位置付けにしやすいのですが、イベント開催が主体の居場所づくりの事業では、一般ボランティアとして参加していただける方もいるので、被雇用者としての参加か会員と参加か切り分けが難しくなってしまいます。イベントが大きくなれば、受け入れ態勢にそれなりに人数をかける必要も出てくる半面、イベント開催に関わる各種の補助金は人件費が対象になっていないものもあるので、なおさら難しさがあります。本当に人に関わるところの運営面での難しさを痛感しています。

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