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相続でのご支援(3)~相続書類をそろえるのが大変

 前回お話しした、相続財産の特定がされていたとしても、実際に親が亡くなると大変なのが、実際に相続をするまでに、いろいろな場面で様々な書類をそろえる必要が出てくることです。これは、親が亡くなった時からすぐに始まります。まずは、役所への死亡届、火葬許可証、埋葬許可証の受領に始まり、葬儀や納骨といった葬祭がらみの対応が続きます。葬儀費用を払うために、一旦相続人の誰かが立て替えないとすれば、相続財産から引き出す算段をすることになり、その銀行手続きも発生します(直近の民法改正で預貯金の払戻し制度(民909条の2)が創設されました)。そして葬儀が済めば、ゆっくり悲しむ時間もないうちに、3ヶ月の熟慮期間中に相続人は相続の仕方を決めなければなりません。限定相続や相続放棄は熟慮期間中に裁判所への届出が必要になります。単純相続をすることを決めた複数の相続人は遺産分割の調整を行い、協議が整えば、遺産分割協議書を作成し、それに従って遺産を相続人の名義に変えていく手続きが必要になっていきます。そしてさらに10ヶ月以内に相続税の申告手続きも必要になります。両親ともに亡くなると、両親が持ち家だった方は実家の処理の問題も発生します。さらに、遺言があったりするとさらに手続きが必要となります。一生に何度も起こるかわからないことで、普段やりなれないことやることになるので、手間暇も掛かります。だけど、大袈裟かもしれませんが、後世に禍根を残さないためには、親からの相続は自分たちでけりをつける必要があると思います。そしてある程度の年齢になったら、今度は被相続人の立場で所謂断捨離しておくことも、遺言を書いて相続を争族にしないことも必要なことなのではないかと思います。

 私の父親の相続の実体験を少し書きたいと思います。前回書きましたが、母親が、財産目録的なものを作っていたので、財産の特定のところはあまり苦労はなかったですし、相続人間での遺産分割協議も特に問題なく済みました。

 それでも、書類を集めるという点では、いくつか苦労したことがありました。被相続人の戸籍は通常は出生から死亡まで必要とされていますが、父親は満州生まれで、国内に戸籍の移動は遡ることができたのですが、流石に満州の戸籍には遡れません。満州から転籍してきたことまでわかる除籍謄本を取得して、提出先に都度説明をして理解をしてもらう必要がありました。また自筆証書遺言があったため、裁判所の検認手続きが必要になりました。その手続きもネットで調べて、裁判所の検認を受けました。相続財産に非上場株式があったため、評価方法をどうすればいいか、相続税の知識も必要でした。上場株式は今の証券保管振替機構が発足する前に相続が発生したので、証券代行会社の登録株と証券会社預りの現物株の株数の合算して、株数を確定し、かつそのエビデンスをそれぞれ取得する必要がありました。実際に証券代行会社や証券会社に手続きの確認すると、当然相続手続きをすることを要請されました。結局通常の金融機関取引での相続手続きも含めると十数社の相続書類を取り寄せる必要がありました。

 これらを考えると、相続そのものが揉めていたらすごく時間がかかっただろうなとか、少し仕事の余裕のある時期だったからこそできたなとも思います。たしかに、相続書類を集めるということでは、かなり大変だったと思います。

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