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相談を受けるということ

 行政書士の仕事を始めて2年、いろいろな相談を受けるようになってきました。もちろん、既存のお客様からのご相談もあリマスターが、昔の同僚から久しぶりにお会いししたときに何気ない会話から始まるご相談、たまたまお仕事をいただいた方からその場で別件なのですがと言って持ち込まれるご相談、家族からの愚痴をこぼす類の相談、さらにはこの4月からは新しく行政書士会の相談員としての仕事も加わり、本当にご相談を受ける機会が増えてきた気がします。

 一言にご相談といってもいろいろあると感じます。相談者がご自分の中に知識がなく本当にどうしたらいいのかわからないといったご相談。ご自分の中で堂々巡りをしていて回答に至っていないご相談。ご自分の中ではすでに回答を持っているが、ご自身の背中を押してもらいたいがためのご相談。事業復活支援金の事前確認のように、何らかの手続き上、相談者には避けては通れないご相談などです。

 最初の、相談者が知識を持ち合わせていないご相談の場合は、単純に知識をまずは伝えることなりますが、そのあとが難しいなと思っています。お伝えした知識をすぐにご理解いただけるかどうかは、ご自身のこれまでの経験や知識によって違っていて、本当に嚙み砕いたところから説明をしなければならないケースや、参考資料をご提示するだけでいいケースなど様々です。そのあたりの見極めが難しいと感じています。
 また、回答が、例えば法律で決まっている場合で一つしかないのは、まだよいのですが、ご相談の多くは、回答の選択肢が複数あったり、条件が付く場合があり、その時の対応は難しくなります。人は自分に都合よく判断をすることがままあって、選択肢が2つあった場合でも、耳障りがよく自分に都合の良いものを選びやすいし、条件が付いた場合でも結果ばかりに目が行って、条件を忘れてしまうようなことがままあるからです。結果として、自分の意にそぐわない形になると、「どうしてくれるのよ」になって、相談する側にとってもされる側にとっても後味の悪い結果となります。お伝えしたことがちゃんと伝わっているかを確認しながらすすめていくことが大事だなと思っています。お示しする選択肢に抜けがないかを確かめることも重要だなと思っています。
 
 相談者がご自分の中で堂々巡りをしているような相談は、比較的対応しやすい相談です。それなりの知識のバックボーンがあり、検討もお済で、選択肢の絞り込みも終わられていることも多いからです。改めて何をおやりになりたいかなどをお聞きすることで、お客様ご自身が堂々巡りから抜け出してくれます。また相談時に口に出したたり、文章に落としたりすることで、ご自分の中で問題点が整理されて、結果として結論が見えてくるといったこともよく言われることです。このケースの場合は、ご相談をお受けする中で、次の相談者がご自分の中ではすでに回答を持っているご相談に移行していくことも多いように思います。

 相談者がご自分の中ではすでに回答を持っているご相談も単純に背中を押して差し上げればいいので、比較的対応しやすいですが、このケースでも工夫が必要となるケースがあります。その工夫とは、別な選択肢をあえてご用意をして提示するということです。物事の判断というのはその人の置かれた状況によって、違う判断になることがあります。同じ状況に置かれた人が複数いる場合でも同様だと思います。最終結論を出す前に、改めて別な選択肢を検討してみるというのは、冷静な判断をするためのステップだと考えるからです。

 こうして考えてくると、選択肢を用意するということが、ご相談を受ける際の私の基本スタンスなのだなと思います。よき相談者であるためには、選択肢をわかりやすくお伝えすることに力を注げればよいかなと思っています。あとは選択肢を漏れなく提示できるように、自己研鑽を絶やさないことが重要かなと思います。
 
  最後にいつもお受けするかどうか迷うご相談について書きたいと思います。それは補助金の申請をしたいという相談です。補助金の申請には事業計画がつきものですが、なんでもいいから補助金を受けられるように事業計画を作ってほしいという相談をいただくときがあります。

 これは本当にお受けするのに躊躇する相談です。その理由は補助金の支給要件を満たす事業計画を絵に描いた餅として作ることは簡単にできますが、本来事業計画というのはお客様が事業をどうしたいのかがあって初めてできるものだからです。作った事業計画を実施するのはお客様ご自身なので、お客様がこうなりたいから頑張るというのがないとせっかく作成した事業計画の実現は困難なのです。もちろん事業計画は将来にわたる話なので環境の変化で実現できないことはままありますが、計画自体はお客様がこうなりたいを願うもの、言わばお客様の魂が入らないでないとダメだということです。
 補助金の申請期限がいついつなので、その期限に向けて事業計画を作ってほしいというのは、プロセスが違っているのだと思います。お客様の思いがあって、それが事業計画に落とし込まれて、その事業計画の実現のための資金調達の手段として補助金があって、そしてお客様が事業で頑張るというのは本来の姿なのだと思います。

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