行政書士報酬を考える
行政書士になって1年半を過ぎ、コロナの影響もあってなかなか機会がなかった行政書士会支部の新入会員交流会が先月開催されました。支部のほうで参加者から事前に集めた質問を、司会者がパネラーとなった先輩行政書士の方に投げて、それに回答してもらう形式で、会が進行しました。主な質問の内容は、最初の仕事、仕事で困った内容、広告宣伝活動の仕方、自宅事務所での業務の仕方、そして報酬に関してでした。開業してから、それほど多くの仕事があったわけではないですが、ある程度、広宣の仕方とか、自宅事務所での業務の仕方などは、自分で決めて仕事をしてきたので、交流会の質疑をお聞きして、さもありなん、私も一緒という感じで聞いていました。
ただ、今も迷っているのが報酬の決め方です。私自身は行政書士の仕事はタイムチャージが一番合っていると思っていて、時給単価と見積もり時間を決めて、日本行政書士会連合会が出している報酬額統計を見て、平均値当たりに決めた報酬額が着地すればいいのなと思っています。ただ、現実には、時給単価と見積もり時間を決めることはそれぞれ難しいのです。
以前は行政書士の報酬は横並びで決められていましたが(時給が3000円のイメージとお聞きしました)、平成13年10月24日に「資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方」というのが公正取引委員会事務局が示されて、行政書士が各々で価格設定しなくてはならなくなったという経緯があるそうです。結果としてですが、私自身も最低時給は3000円と申し上げているので、ちょっと胸をなでおろしたのですが、これも難点があって、手際のいい人ほど仕事にかかる時間は短くなるので、同じ仕事を同じ時給でやっても、手際の遅い人のほうが報酬額が高くなるという矛盾があるのです。この矛盾は見積もり時間においても同じことがおこります。
また、仕事の内容に関してのお客様のかかわり方でも、見積もり時間は大きく変わります。例えば書類を一枚作るにあたって、必要なデータがお客様からすぐいただける場合は短時間で済みますが、データを作るところから始めると時間は相応に要します。ただ、お客様の側に問題があったとしても、出来上がった1枚書類だけをみて、なぜこんなに時間がかかるのと思われるお客様も残念ながらおいでになるようです。この一年半で感じたのは、実際に仕事は着手してみないと、見積もり時間は適切には見積れないということです。
そして同じ人間がやる仕事であっても、初めての仕事と手慣れた仕事でも問題が生じます。実際に仕事をいただくと作る書類をみて、これならこんな感じかといって、見積りをするのですが、初めての仕事は、内容を見切るまでにも相応の時間を要するので、時間に比して単価を下げる感覚がないといけないと感じていますが、逆に手慣れた仕事であれば、仕事の質が高いために時間が短くできることになるので、時間単価を上げることが必要と感じています。このあたりのさじ加減が難しいと思っています。それであれば、やはり報酬統計の中間値あたりを報酬として設定するのが正しいあり方かなとも感じています。
報酬の決め方は本当に難しいなと思っています。
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