仕事のこと6.ぼくらのまちづくり
『社会教育からまちづくり』を仕事にする。
将来の目標はコレだと定めて、就職活動をしていた学生時代。会社員を経て、前職のNPOに転職し、今は厚真町で社会教育に携わる日々だ。
学校教育と違い、社会教育は守備範囲が広いがゆえに、その輪郭は些(いささ)かぼんやりとしている。何でもできるし、何でも当てはまるが、だからこそ、形をつくり、保っていくのはなかなかに難しい。
厚真町放課後子ども教室は、社会教育事業の一つだ。
これはある程度、枠組みがはっきりしているので形としてはとらえやすい。でも、中身は自分たちでつくらなければいけないので、この事業を通して、厚真にどんな子どもたちが育ってほしいのか目標を立て、目標を達成するための手法を組み立てていく必要がある。
試行錯誤した結果、子ども教室では【あつまで育つ子どもたちが、自分が育ったまちのことを、自分の体験をもとに、自分の言葉で語れる人材となること】を目指してここまでやってきた。
大人になった子どもたちが、自分の子ども時代を振り返ったとき
「学校林で採った行者ニンニクやウバユリを天ぷらにして食べたなぁ」とか、
「水鉄砲合戦は水鉄砲より、最後のバケツでの水かけを目的に参加してたよね」とか、
「田植えは苗を植えるときより、終わった後の泥投げ大会の方が楽しかったなぁ」とか、
「苦いハスカップの実を、甘い実だとだまして大人に食べさせるのが面白かった」とか、
エピソード付きの思い出がたくさん語られるといいな、と思う。
将来、『自分たちにとっては当たり前の日常も、他の地域では違うんだ』という気づきがもしあったなら、自分のふるさとを見る目が変わるかもしれないし、それが地元をポジティブにとらえる視点につながれば、万々歳なのだ。
いつかどこかで芽吹くことを願って、ひたすらにタネを蒔き続けてきた子ども教室。
気が付けば10年目の入り口に立っている。
子ども教室最初の年に出会った6年生が新成人になり、厚真に来た頃にはまだ生まれていなかった子どもたちが新1年生になる。
(上:before/下:after afterは2年前の写真だけど)
子ども教室のスタッフとしての自分はもちろんだけれど、小学生の間だけじゃなく、中学生になっても高校生になっても、社会人になっても、子どもたちが地域社会とつながる場をつくれたら、『社会教育からまちづくり』という夢は叶うのではないかしら。
なんて思ったもので。
『子どもの社会参加』や『まちづくりの担い手としての子どもたち』をテーマに、子どもも大人も同じテーブルにつき、まちづくりを担うプレイヤーとして、厚真町のこれからを面白くする作戦会議を決行したのであります。
2021年2月14日(日)の午後。
【ぼくらのまちづくり~子どもの社会参加を考えるワークショップ~】を開催。
最年少参加者はもうすぐ1年生の年長さん。町内の小・中学生、10~40代の社会人、札幌から来てくれた大学生が加わって、自分の好きなコトや得意なコトから、厚真を面白くするためのアイディアを出し合った。
自分のこと ✕ 厚真町 =で出てくるものってなんだろうな?と、参加者の周りをウロウロしながら、耳だけダンボにして(大きくして)盗み聞くと…
案外、ハスカップとかサーフィンは出てこない。
歌いたい、踊りたい。
美味しいものは世界を平和にする。
『あつまれどうぶつの森 』は "あつまれ" の "れ" を "で" にするだけで何か面白いコトになりそう。
などなど、何やらおもしろキーワードがたくさん。
出てきたアイディアに、さらに知恵や情報が重なって、どんどんパワーアップしていく様子がまた面白い。
『三人寄れば文殊の知恵』が30人になったら、面白さもそりゃ10倍になりますよね。
ワークショップって、みんなでワイワイ話すこと自体は楽しいんだけど、そこで終わってしまうことが多い、という功罪があると思う。
まぁ、ワイワイ楽しいのは、気楽な妄想だからかもしれない。
じゃあ、実際にやろうぜ!となったら「…ん?私もやるの??」みたいにな空気になることも。責任がないから自由に発想できるってこともあるのでしょう。
そういう参加の仕方もひとつだと思うし、アイディアだけありがたく頂戴しますでも成立はする。
が、しかし、私は今回のワイワイ感は、実際に形にするプロセにもつながっていくんじゃないかと感じた。アプローチの仕方がぴたっとかみ合えば、きっと形にする面白さも共有できると思う。というか、そうなることを信じてる。
「最初は面倒くさいなって思って来たけど、みんなが話を聞いてくれて、自分も話すのが楽しくなってきて、またやりたいなって思いました」と最後に感想を寄せてくれた子がいる。
「ここで出たヤツ(アイディアたち)ってどうするの?何かするんだったら、自分もやってみたい」と言ってくれた子もいる。
「子どもたちの話を聞くの、とても面白かったし、良い刺激になった」と自分の学びを口にする大人がいる。
もちろん、私自身にとっても良いチャレンジであったし、次のステップが見えた。
逃げるように去っていく2月、3月。でも、ここが勝負の分かれ道。
年度末恒例作業が目白押しではあるが、打たねばならない鉄がある。あの場の熱量が冷めないうちに、急いで。
【ぼくらのまちづくり~子どもの社会参加を考えるワークショップ~】
スペシャルサンクス
・フェリシモでOPEN TOWN ATSUMAな三浦さん
・NPOファシリテーションきたのわ かなでぃ・橋本さん・みやしちゃん
・映像制作部隊 小町谷さん・なつみちゃん・じゅんやくん
・エーゼロ 花屋さん&あるぼらのみなさん
・参加者の皆々さま
ありがとうございました!