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ヒグマがよく現れる年
北海道では、一部の離島を除いて、どこに現れても不思議でないヒグマ。大雪山国立公園に位置するタウシュベツ川橋梁周辺は、当然のようにヒグマの生息地です。
とはいえ、ヒグマは好んで人を襲うような動物ではないので、日頃林道を使っていても見かけることは稀です。
例年であれば。
面白いもので、数年に一度、ヒグマがよく人前に現れる年があります。今シーズンはその年に当たっているようで、春先から目撃情報が続き、僕自身も頻繁に見かけています。
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多くの場合、車の音に気づいて離れていくので、至近距離で出くわすことはないのですが、これが徒歩や自転車だったら深刻な事態になっているかもしれません。
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ヒグマの行動範囲は広く、半径数キロから十数キロはゆうに移動すると言われています。タウシュベツ川橋梁へ続く林道に現れるということは、当然橋の周辺も彼らの縄張り。
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この春先には、ぬかるんだ湖底にしっかりと足跡が残っていました。
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昨日もまた林道で一頭の若いヒグマを見かけました。
今年親離れしたばかりのような小柄な個体ですが、車の音に対してあまり警戒せず、しばらく路肩の森の中でくつろいでいました。
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今シーズン、タウシュベツ川橋梁に向かう林道では、親子連れを含めて少なくとも5頭のヒグマが確認されています。
林道脇には現在夏草が生い茂っており、また道自体曲がりくねっていてブラインドコーナーが多いので、不意にヒグマと出くわす可能性が高くなっています。
稀に徒歩や自転車でタウシュベツ川橋梁に向かう人がおり、中にはそれをSNSなどにアップしている人もいますが、許可車両以外での林道進入は規制されています。
もっとも、一度でも野生のヒグマの俊敏さを見たことがあれば、もし頼まれたとしてもこんな林道は歩きたくないものですが…。
タウシュベツ川橋梁に関連して大きな事故が起きたりすると、最悪の場合には橋が取り壊しとなってしまうことが考えられます。
自然の中で徐々に風化していく橋のある光景はこれまで、訪れる観光客の良識で保たれてきました。できればこのまま人の手を加えることなく土地に還っていく様子を見ていたいものです。
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この夏は、昨年同時期には水に浸かっていたタウシュベツ川橋梁が草原に立つ様子を見ることができます。
地元ガイドセンターが主催するアーチ橋ツアーでは、ヒグマを見られるかもしれない林道を車で走り、タウシュベツ川橋梁を訪れます。
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