![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/93647294/rectangle_large_type_2_c68329b3bb1c5008710c76db46cb100b.jpeg?width=1200)
タウシュベツ日誌 第0号 <note版>①/7
2020年4月4日に刊行した『タウシュベツ日誌 第0号』のnote版をリリースします。収録写真全点のほか、本文やキャプションを抄録。一記事につき一ヵ月分の写真を掲載しています。
本稿冒頭では『タウシュベツ日誌』シリーズ自体についてと、シリーズ刊行に欠かすことのできないクラウドファンディングについての解説を加えています。すでにご存じの方は目次欄から本編へお進みください。
『タウシュベツ日誌』(zine版)は、A4サイズ変形判で制作し、半年に1度実施するクラウドファンディングを通じてご支援下さった皆さんにお届けしている限定本となっています。
タウシュベツ川橋梁の写真集としては、2018年に北海道新聞社から上梓した『タウシュベツ川橋梁』があります。こちらは現在もAmazonはじめ全国書店で手に取っていただけます。
『タウシュベツ日誌』シリーズとは
制作にあたってのコンセプト
タウシュベツ日誌は、水没と出現を繰り返しながら崩落へ向かうタウシュベツ川橋梁の記録写真集です。1937年に鉄道橋として造られたコンクリートアーチ橋は、役目を終えた後に残置され現在に至ります。北海道の山中でその土地に還りつつある人口建造物に漂うのは、華やかさと対極の崇高さ。その橋の最後の日々を見届けます。
『タウシュベツ日誌』は文字通り、タウシュベツ川橋梁の日々を現在進行形で記録していく写真集です。崩落間近と言われる橋を後世に記録として残していくことを目的に、2005年から長らく同橋梁を撮り続けている岩崎が創刊しました。
現在までの取り組みはマガジンハウス社のローカルネットワークマガジンCOLOCALなどで紹介されています。
2020年4月に創刊準備号となる第0号を出版して以来、半年に1冊のペースで4月と10月に刊行を続けています。各号には、直近半年分のタウシュベツ川橋梁を捉えた写真を収録。制作した冊子は国立国会図書館に納本してきました。
どうすれば手に入る?
『タウシュベツ日誌』シリーズは制作数が少ないため、一般書店に並ぶことはありません。1年に2回、2月と8月に行なうクラウドファンディングで制作費をご支援下さった皆さまにリターンとしてお届けしています。
また、部数はわずかですが北海道士幌町の道の駅・ピア21しほろ内に設けた特設コーナーでは実物の本を手に取っていただけます。
さらにタウシュベツ日誌編集室では不定期にオンラインショップを開設しています。こちらでは部数に余裕がある場合だけの取り扱いとなりますので、確実に手に入れていただくにはクラウドファンディングでのご支援をお願いします。
バックナンバーについて
在庫があるものに限り、新作の制作に向けたクラウドファンディングプロジェクトへのリターンとしてご用意しています。
クラウドファンディング(以下CF)について
『タウシュベツ日誌』は、その制作費をクラウドファンディングサイトREADYFORでのプロジェクトを通じて調達しています。
なぜCFを使うの?
本シリーズの制作にCFを使っているのにはいくつか理由があります。
必要な制作部数を見通せる
まず制作側の都合として、支援者の数に応じて印刷部数を調整することで、無駄な在庫を抱えるリスクが減るとともに、欲しい人の手元に届かない機会損失を防ぐことができます。支援金額を本のクオリティに反映できる
冊子印刷の特性上、制作部数が増えるほど1冊あたりの単価が下がります。そのため、支援者の数が増え、印刷部数が多くなれば、集まった支援金を本の仕上がりのクオリティを上げることや、ページ数を増やすために充てることができます。
支援者の数が増えるほど、「同じ金額」の支援に対してお届けできる本のクオリティが高くなります。
事前予約と同じ機能を持つCFならではの展開かもしれません。タウシュベツ川橋梁の知名度を上げられる
『タウシュベツ日誌』シリーズのCFプロジェクトには毎回多くのご支援をいただいています。そうすると「支援の集まるCFプロジェクト」として他の媒体でも話題になることがあり、それまでタウシュベツ川橋梁という名前にも触れたことがなかった人たちの目に留まる機会へとつながっています。シリーズ終了のタイミングをつかめる
「崩落へと向かう橋の記録」と銘打って制作している『タウシュベツ日誌』シリーズをいつ終えるべきか。ひとつには当然、橋が崩落して存在しなくなった時が考えられます。ただ、それがいつになるのかは誰にも分かりません。
もうひとつは『タウシュベツ日誌』が誰にも求められなくなった時だと考えています。CFはその尺度としても考えています。
『タウシュベツ日誌 第0号』本編
書誌情報
《タウシュベツ日誌 第0号》
発行:2020年4月4日
収録期間:2019年9月-2020年2月
本文52ページ、オールカラー、A4変形
著者:岩崎 量示
巻頭言
『タウシュベツ日誌』第0号 創刊準備号を手に取ってくださりありがとうございます。この本は、北海道の鉄道廃線跡に残るコンクリートアーチ橋・タウシュベツ川橋梁を記録する写真を、紙媒体で残すことを目指して制作しています。
タウシュベツ川橋梁の歴史や立地については、2018年に上梓した写真集『タウシュベツ川橋梁』(北海道新聞社)などの中で過去にまとめましたので、ここでは詳しく記しません。パイロット版となる本書、そしてこれから可能な限り発行していきたいと考えている『タウシュベツ日誌』シリーズには、まだ誰も知らないこの橋の行く末を記録していきたいと考えています。
僕がタウシュベツ川橋梁を撮り始めた頃、2005年夏のことになりますが、この橋は「あと2,3年で崩れるだろう」と言われていました。北海道好きが高じて旅行者から移住者になったものの、とくにやりたいことがあるわけでもなかった青年は「3年くらいであれば」と、住み始めた土地にたまたまあったというだけの理由で写真を撮り始めます。当時26歳。3年経っても20代という気楽さは、今振り返ると「若気の至り」としか言いようのないものです。もし15年経っても崩れないことを知っていたら…。
2005年のタウシュベツ川橋梁は、北海道内でも、観光スポットと呼ばれるにはあまりに知られていない場所でした。しかし、厳寒の土地で風雪に晒されて崩落へと向かうコンクリートアーチ橋が備えたある種の崇高さは、他のどこかで見ることができるものではないように思えました。
2005年時点でこの橋を訪れる人が少ないのは、ただ存在を知られていないからだろう。これが当時の僕が立てた仮説です。敷衍すると、10年、15年も経てば橋も知られるようになるだろう。ただ、その頃にはもう橋は崩落して無くなっていることだろう。そして、多くの人たちが「実物を見てみたかった」と考えるだろう。だから、「在りし日のタウシュベツ川橋梁」を記録しておくべきだ。
2020年。高尚な目的や固い決意に支えられたわけでもなく写真を撮り続けていた僕は、あれから15年後の未来に立っていました。この3月現在も、タウシュベツ川橋梁は崩れておらず、一方で橋を訪れる人の数は増加の一途を辿っています。あの時の未来予想図を自己採点するなら、半分外れ、半分当たり、というところでしょうか。
崩れていないとはいえ、2019/20の冬はタウシュベツ川橋梁の劣化が一段と加速したように見えます。「今年はいよいよ…」というのは、もう最近5,6年の決まり文句に。だから、僕はもうタウシュベツ川橋梁の行く末を慮るのを止めることにしました。
代わりに、『タウシュベツ日誌』を刊行します。直近半年間ほどのタウシュベツ川橋梁を収録しながら、年に2~3冊ずつ制作する写真冊子。おそらくこのシリーズの中で、橋は徐々に形を変えて土地に還っていくことでしょう。
北海道の片隅でこれから起こる出来事を、「在りし日の姿」ではなく現在進行形で共有していけることを楽しみにしています。
![](https://assets.st-note.com/img/1671266186538-toPr0B9M66.jpg?width=1200)
巻頭写真
![](https://assets.st-note.com/img/1671266818142-wf4LWrCwnd.jpg?width=1200)
〈2020年2月26日〉冬も終わりに近づいた日の朝。‐19℃近い冷え込みでも、太陽が昇ると暖かさすら感じる。
![](https://assets.st-note.com/img/1671266980666-4KuCvnHPIC.jpg?width=1200)
〈2020年2月27日〉星を見る妨げにならず、ほど良く橋を照らす月明かりを得られる夜は、北海道の長い冬の間でも数えるほど。その日が好天に恵まれることはさらに少ない。日中から天気予報と空模様とを見比べながら日没を待つ。3月間近とはいえ、日が暮れると気温は氷点下20℃近くまで下がり、どこからか霧が流れてきた。
続き:『タウシュベツ日誌 第0号』Column+2019年9月
いいなと思ったら応援しよう!
![岩崎 量示|Ryoji Iwasaki](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/126300320/profile_7492968bafd53502904930ea95b70b6a.jpg?width=600&crop=1:1,smart)