猛暑の京都と気温の長期トレンド
今年の京都の夏は、観測史上もっとも暑い夏であった昨年の記録を塗り替える猛暑となった。
10月に入ってようやく秋らしい気候になったのを機に、今年の猛暑をデータで振り返るとともに、長期的な気温のトレンドを調べてみた。
夏の暑さは記録破り
今年の夏は、平均気温、最高気温、最低気温がすべて、平年値を平均で2℃以上上回る記録的な暑さになった。
観測史上最も暑い夏であった昨年をも、大きく超えた猛暑であった。
猛暑日の日数は54日
9月になってからも猛暑日が続いて、累積日数は54日、史上最多だった昨年の43日を大幅に上回る記録となった。
京都での観測が始まった1881年以降の猛暑日の日数を下に示す。
1881年の猛暑日は2日。このころは猛暑日はないか、あっても数日程度であった。昨年の43日、今年の54日は、まさに異常である。
年によって変動があるものの、長期トレンドを見ると、1年毎に0.154日の割合で増えている。
気温の長期トレンド
当たり前のことであるが、気温は季節によって変動し、1日のなかでも時間によって変動する。
このため、長期トレンドを見るためには、1日の中の最高気温、最低気温、平均気温をとりあげ、年による変動と季節変動を分けて分析する必要がある。
最高気温、最低気温、平均気温のそれぞれについて、1881年の観測開始から現在までのデータを直線近似した結果、次のような傾向が見られた。
最高気温:0.0122℃/年の割合で上昇
最低気温:0.0361℃/年の割合で上昇
平均気温:0.0240℃/年の割合で上昇
百年では最高気温が1.2℃、最低気温が3.6℃、それぞれ上昇する傾向である。これに上のグラフの季節変動を加えたのが、気温の長期トレンドとなる。
つまり上のような季節変動を繰り返しながら、少しづつ気温が上昇してきているということである。
最低気温の上昇割合が最高気温の3倍もあることは、この上昇の主要因がヒートアイランドであることを示唆している。
長期トレンドからのズレ
長期トレンドは直線的な上昇であるが、年によってトレンドより暑い年、寒い年がある。このような年によるトレンドからのズレを下のグラフに示す。
昨年、今年の暑さはトレンドを大きく超えた暑さであることがわかる。
直線的な上昇傾向とは別に、数十年の周期のおおきな変動があるように見える。昨年、今年の暑さが、このような変動によるものであるなら、このような暑さが何年か続く可能性がある。
この変動の要因が何かはわからないが、太陽活動であるという説もあるようだ。
地球温暖化?
世界的に温暖化が進んでおり、このままでは大変なことになるので、CO2の発生をおさえなければならない、と騒がれている。
ここでは京都という地球上の一点だけを見たが、それからも温暖化していることは間違いない。
ただ、その主要因がCO2かどうかは、ここでは分析していないので、よくわからない。データの傾向を見ただけであるが、京都における温暖化は、ヒートアイランド現象と、太陽活動などによる変動のように思える。
CO2の発生を抑制することは、経済活動の大きな制約となる。ムードによってCO2抑制に取り組むことは、次世代に大きなツケを残すことになりかねない。
太陽光発電を推し進めた結果、電気料金が上がり、環境を破壊し、がけ崩れなどの災害が発生している。廃棄時の負担も大変なものになりそうだ。
電気自動車についても、「その電気を何で作るか」に目をつぶって推し進めている。すべてが感情的であり衝動的である。あるいは人々の感情を利用したビジネスである。
地球温暖化を考えることは重要であるが、だからこそ、原因をきちんと分析し、データによって裏付けられた対策を実行することが重要ではないだろうか。