激戦州の世論調査で見るアメリカ大統領選挙
アメリカ大統領選挙の投票日(11月5日)が目前に迫ってきた。マスコミではトランプとハリスが大接戦と伝えている。
その時に引用されるのは下のような全米世論調査の結果である。これで見ると、11月2日時点でトランプ48.4%、ハリス48.1% まさにデッドヒートである。
しかし、アメリカの大統領選挙は、全米の有権者の多数を取れば勝利という仕組みではない。獲得票で勝利しても負けになることがある。
大統領選挙の仕組み
大統領選挙は州単位で行われる。50の州とワシントンDCには、それぞれ人口に応じた代議員が割り当てられており、州での勝者は、その州に割当てられたすべての代議員を獲得する。代議員の総数は528人で、この過半数である270人を獲得した候補者が大統領に選出される。
代議員数が最大の州はカリフォルニアで、代議員数は54人。そしてカリフォルニアはブルーステートと呼ばれる民主党優位の州なので、ハリスがこの54人を確実に獲得する見通しである。
カリフォルニアに次いで代議員数が多いのがテキサス州で40人。この州は共和党優位のレッドステートなので、トランプが40人を獲得する見通し。
ワシントンDCを含めた51の州の内、民主党優位のブルーステートは20州で、代議員数は226人、そして共和党優位のレッドステートは24州あり、代議員数は219人である。つまり、ハリスの226人、トランプの219人はほぼ確定である。
残りの7つの州は、民主党と共和党の支持率が拮抗しており、選挙毎に結果が揺らぐので、スイング・ステートと呼ばれる。スイング・ステートの代議員数は93人であり、この93人の内、何人を獲得するかが結果を左右する。
ハリスが勝つため条件は、スイング・ステートで44人以上を獲得すること、トランプが勝つための条件は、51人以上を獲得することである。
スイング・ステートの世論調査
RealClearPoliticsでスイング・ステート7州の世論調査は以下のようになっている。11月2日時点で、トランプは7州の内、5つの州でリードしており、ハリスはウィスコンシン州とミシガン州でかろうじてリードを保っている。
いずれにせよ、差は僅かであり、世論調査と実際の投票結果は異なるので、この結果を持ってトランプ有利とは言えるが、勝利とは言えない。
ということで、ここでいくつかの前提条件をおいて、トランプ勝利の確率を試算する。
前提条件:世論調査の誤差(標準偏差)を5%とする。
この前提で各州でのトランプ勝利の確率を計算すると以下のようになる。
この結果をもとに、スイング・ステートでトランプが獲得する選挙人数の確率を計算した。(下図)
トランプが勝利する条件は、スイング州で51人以上の選挙人を獲得すること。上のグラフでは左半分の領域がハリス勝利、右半分がトランプ勝利である。この領域の確率の合計が、それぞれの勝利確率となる。
試算結果
トランプの勝利確率:59.95%
ハリスの勝利確率 :40.05%
この結果は、世論調査にバイアスがかかっていないことを前提としている。
アメリカにおいて、トランプ支持者は民主党支持者から攻撃されることが多いので、トランプ支持を隠す人が一定割合でいると言われている。
実際に過去の選挙では、世論調査でのトランプ支持は低めに出ている。
もし今回の世論調査でも隠れトランプがいるとすれば、この確率は変わってくることに注意が必要である。
またもちろんのことであるが、選挙が正しく行われることが大前提である。
賭け市場におけるトランプvsハリス
アメリカでは選挙においても「賭け市場」がたくさんある。トランプvsハリスに関する複数の賭け市場をRealClearPoliticsがまとめている。(下図)
10月29日時点でトランプが28.9%のリードであったが、その後、差が縮まり、11月2日時点では、トランプ54.7、ハリス44.1となっている。
この賭け市場からみても、トランプ優位である。
トランプに備える
出かけるときに、降雨確率が60%であれば、傘を持っていくであろう。
同じように、トランプ勝利の確率が55-60%であるなら、それに備える必要がある。
それなのに、日本は石破政権の誕生と、その結果としての選挙での自公大惨敗で、ぐちゃぐちゃの状況。外に目を向ける余裕がなくなっている。
トランプが勝てば、大統領就任を待たずに動き出すであろう。
時間はないのに、何をやっているんだ、やれやれ。。。。