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時代と共に、貞操観や死生観というのは移ろいでゆく

人々よ。

戦後間もない昭和の大阪。

社会の落伍者が集うアパート「飛田ホテル」
光の当たらない暗がりで悲しく交わる男女の情と性。

今日日、男女の愛憎という言葉が最早昼ドラで使われるのか怪しいくらいに、陳腐な響きになってしまったように思うが、時代と共に、貞操観や死生観というのは移ろいでゆくもの。

平安から江戸期はもちろんのことだが、戦前、戦中、全てが焼け野原になった直後からやや落ち着き始めた時期、貞操観や死生観が現代と異なるのは当然。

そんな時代を最底辺で生活している、男と女の六編の物語。

なんだろう、重いはずなんだけど、暗い気持ちにはならないな。

人間の根源みたいな原始的な、生きるって要素が滲み出てるのかな。

いや、死んだり殺されたりするんだけどさ。

そこに歪んではいるけど、彼等彼女らのイデオロギーを感じるからなのか。

不思議な一冊でした。

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