人生、七味とうがらし
人々よ。
「人生、七味とうがらし」
うらみ、いやみ、つらみ、ひがみ、ねたみ、やっかみ、そねみ。この七味で、人生に深みが出るのか、ただただ辛く酷い味になるかは己次第。
順調にメガバンクの出世コース歩んできた東大出身のエリート。そんな最中、メガバンクの吸収合併を機に、飲食チェーンのCFOに抜擢される。
しかしその実態はフランチャイズを拡大し過ぎ、権利金で資金繰りを自転車操業という綻びだらけの会社。そんな企業を再建すべく東奔西走する。
企業は現場で働く従業員たちのものという、触りだけ耳にすると随分と形骸化された表現だが、そこは江上氏の手腕。
爽やかな読了感を得られるが、現実は...と憂いを帯びる気がしてならない。
小説の醍醐味か。