『義賊伝説』現代のジュリアン・アサンジ辺りはそうなるか?
人々よ。
義賊と言うと想起するのは、鼠小僧だろうか。
本書は、そんな触りから、ロビンフッドを引き合いに出し、ハンガリーの実在した義賊ロージャ・ジャーンドルについての一冊。
義賊。富める者から奪い、貧しき者へ与える。
このようなイメージが強いが、この考え方は18世紀以降の近代的な価値観ようだ。
それ以前の義賊は「権力者の悪を正す」ということがイデオロギーであったとのこと。
日本の初期の任侠世界に近いのだろうな。
戦後直後の自警団的な意味合いも兼ねていたしね。
農業から工業へ、社会主義から資本主義へ、旧体制から新体制への変革期には義賊が大衆の夢を代替し体現するようだ。
エチオピア辺りの体制批判バビロンも、イタリアマフィアなんかも義賊の範疇に入る。
ただ、近現代的な法治国家に則った場合はどういう者が庶民、大衆の義賊に成りうるのだろうか。
ジャーンドルが対象にした奪う目標は、国や政府ではなく、あくまで貧しき農民を管理する富農や農場管理者など、地方権力者であった。
近年では、Facebookでのジャスミン革命なんかがあったけども。
こういったSNSやネットを含んだ攻撃だと、ウィキリークスのジュリアン・アサンジ辺りがそうなるのかな。
しかし、長範が本書中に取り扱われなかったのは個人的に残念だ。
ま、伝説上の人物とされてるから仕方ないか。